研究プロジェクト紹介

共創領域

ベトナムの農畜水産業を支える環境技術

プロジェクトリーダー
理工学部

惣田 訓 教授

プロジェクト紹介

 この研究プロジェクトは、ベトナムの農業、畜産業、水産業に関わる環境問題の解決を目指して、「水循環」、「資源循環」、「食糧生産」の3 つの視点から持続可能な環境技術の開発を目指します。そのために、これまでの研究実績や人材ネットワークを基盤としてプロジェクトを進めるだけでなく、ベトナム出身の本学立命館の大学院生を若手研究者として育成して、将来のベトナムと日本の友好的発展に貢献していくことも目指します。

 ベトナムは、東アジア・太平洋地域の発展途上国の中で最高のGDP 成長率を達成しており、日本もODAなどを通して、ベトナムに経済協力して、大企業だけでなく、ベトナム進出を目指す日本の中小企業も増えています。しかし、工業的な発展に伴う大気、河川、海洋の環境汚染が問題となっています。そのための対策の責任については、ベトナムだけでなく、日本も無関係ではありません。ベトナムの基盤産業は農畜水産です。特に、農地や漁場の環境保全は、持続可能な経済発展、食の安全・安心のために重要課題となっています。

 ベトナムでは、収量増大を目的とした農薬や化学肥料、抗生物質の過剰使用による農水畜産物や土壌・水環境の汚染が生じています。この状況において、ベトナムから日本への輸入食品に関しても、農薬や動物医薬品に関する食品衛生法上の基準値違反の事例も増加しています。しかし、ベトナムの一次産業従事者自身の安全性に対する意識は高いとは言えません。この点で、安全・安心な農水畜産物の生産方法が、生産者に必要とされます。

 この問題に対して、日本は、様々な公害問題の経験や環境対策事業のモデル化を行った蓄積があります。この観点から、それらの経験や技術をベトナムに活用することが期待することができます。現状では、ベトナムの都市下水や工業産業廃水の処理に対しては、一定の貢献成果を挙げていますが、このプロジェクトの目的でもあるベトナム固有の農畜水産問題への対応は、現状では十分とは言えません。この問題に対して、本プロジェクトは、ウキサクのような水性植物やアサリの貝殻や、地理情報システム(GIS)の技術を用いた水質・環境の改善に寄与する研究を行います。

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