研究プロジェクト紹介

共創領域

東アジアのグリーンリカバリーと炭素中立の実現に関する研究

プロジェクトリーダー
政策科学部

周 瑋生 教授

プロジェクト紹介

 本研究は、日中韓三国が脱炭素社会を目指して設定した「2050 年と2060 年までに炭素中立(炭素排出実質ゼロ)」目標、いわゆる「5060 目標」、それと、グリーンリカバリー(Green Recovery)を実現するためのロードマップの構築に寄与するためのものです。現在、東アジアは、経済発展、公害克服、地球温暖化防止という3つの課題に同時に直面しています。また、新型コロナという未曾有の「危機」をバネにして、これらの課題にも同時に対応し、さらに強靭な社会を創造する、いわゆる「グリーンリカバリー」(新型コロナ禍による景気後退への対策で、気候対策等環境を重視した投資などを通して経済を復興させようとする手法)が求められています。

 また、日中韓3カ国は1 次エネルギー消費とCO2排出量において、それぞれ世界の約3割を占めています。その状況で、炭素排出量の約9 割を占めるエネルギー消費について、ベースロード電源としての石炭利用の今後のあり方や、再生可能エネルギーとの競合、原発導入の是非、そして国際的な協調の枠組である炭素排出権取引制度の導入の検討など、さまざまな課題が現れています。なにより、カーボンニュートラルの実現を、東アジア共通の戦略課題として位置づけ、さまざまなアクターが相互に連携して、共通の問題に取り組んでいかなくてはなりません。

 本プロジェクトを通じて、3つの目的の実現に向けてプロジェクトを動かしていきます。第一に、多次元な評価軸を総合した評価モデルを開発し、「5060 目標」の実現へ向けたシナリオを分析すること、第二に、いわゆるエネルギー基本原則3E+2S(Economy, Environment, Energy Security, Safety, Sustainability)に基づく最適なエネルギー供給のシステムのあり方を明らかにすること、第三に、東アジア炭素排出権取引制度(EA-ETS)を具体的に構想することです。また、このプロジェクトは、多くの若手研究者に参加してもらうことで、彼らの育成にも取り組んでいきます。

 また、本研究プロジェクトは、経済成長と気候対策の両立を図るグリーンリカバリーのあり方に関する研究であるため、SDGsがその目標とする貧困問題の解決、持続可能なエネルギー供給のあり方の実現、気候変動対策のためのグローバルな連携の必要性など、多くの点でSDGsが提示する目標の実現に関与しています。

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