研究プロジェクト紹介

協働領域

中国対外政策と途上国弱者層の人間の安全保障

プロジェクトリーダー
グローバル教養学部

廣野 美和 教授

プロジェクト紹介

 この研究プロジェクトは、中国の一帯一路構想などの対外政策がアジアの途上国に与える影響に焦点を当てるものです。しかし、先行研究では主に政府やエリート層への影響が研究されてきました。これに対して、本研究では途上国の弱者層に注目し、彼らが直面する問題とそれらが中国の対外政策、当事国の国内政治経済、企業間の関係とどのように関連しているかを明らかにしていきます。私たちは、中国を中心として変動するアジア地域の分析のために、「人間の安全保障」という視点を軸に研究を進めていきます。こうした研究は、中国の影響力拡大に伴い、アジアの途上国において政治的混乱、経済停滞、人権問題などのリスクが高まっていることから非常に重要です。私たちの研究では、弱者の置かれた状況を厳密に把握することを通じて、アジアにおける人間の安全保障の概念の明確化、労働市場やジェンダー、労働環境などの領域における問題の解明、学際的アプローチの実践と有効性の検証、弱者を重視した政策提言へと結びつけていきたいと考えていきます。

 こうした研究は、SDGsの課題の解決のために不可欠です。特に、本研究は、弱者層の労働市場、ジェンダー、労働環境、生活水準に焦点を当てるため、「1.貧困をなくそう」「8.働きがいも経済成長も」の目標達成に資すると考えられます。また、弱者の立場を明確に理解し、政策提言につなげていくという観点では、「10.人や国の不平等をなくそう」などの目標に密接に関連します。

 また、このプロジェクトには、若手研究者や博士後期課程の大学院生も参加しています。若手研究者によるイニシアティブのもとで、参加メンバーの研究コミュニケーションを促進し、実際にその成果を各種の国際的な研究発信媒体を通じて発信していきます。そうした経験を通じて、研究者のキャリア形成へとつなげていくことに力を入れています。

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