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2022.05.10

Meridian180の第2セッション「ジェンダー秩序と新自由主義経済、社会的再生産の変容」開催!(2022年2月28日)

 2022年2月18日(金)、グローバル多言語フォーラムMeridian180の第2セッション「ジェンダー秩序と新自由主義経済、社会的再生産の変容」が開催されました。このセッションでは、第1回で議論された東アジアにおけるパンデミックのジェンダー課題のなかでも、有償・無償、家庭内・外におけるケアの課題、またケアを過小評価してきた新自由主義経済の変化について、エコロジーの側面も含めた幅広い社会的再生産に焦点を当てて3人のパネリストによる討論が行われました。

 覃玉蓉氏(Awakening Foundation事務局長)は、政府による社会的再生産の軽視が、子どもを持つ親とくに母親に著しい「時間の貧困」をもたらしており、このことへの視点の欠如が政府のパンデミック対策を不十分にしていることを指摘しました。小川玲子氏(千葉大学教授)は、日本における高齢者介護の重要な担い手となっている移住ケア労働者が、制度的不平等におかれる一方、ケア労働がエンパワーメントの手段にもなりうると指摘し、移住労働者の再生産を保障する必要を論じました。最後に、金賢美氏(延世大学教授)は、パンデミックが露わにしたケアのジェンダー不平等を、資本主義による環境破壊の問題と接続させ、広い社会的再生産の枠組みから社会と生態系の二項対立システムを解体する必要を強調しました。

 コメンテーターの郭書琴氏(台湾・国立成功大学教授)は、パンデミック下で生じている新しい生活様式の変化が意味することについて詳細に見ていく必要を指摘し、エイミー・スタンレー氏(ノースウェスタン大学教授)は、ケアを女性の家庭内役割とする観念が歴史的構築物であることを指摘し、パンデミック下の状況を新しい歴史的変化としてとらえうることを示唆しました。

 これらの議論を通して本セッションは、パンデミック下でのケアをめぐる困難が、社会的再生産を女性の役割として軽視してきた社会経済システムの根本的問題であることともに、その変容の兆候を示す事象をジェンダー視点から分析する重要性を確認しました。

Meridian180_228
当日の会場の様子