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2025.04.22

【刊行情報】Dr.塚原真梨佳が『戦艦大和の歴史社会学:軍事技術と日本の自画像』(2025年、新曜社)を刊行しました!

書籍『戦艦大和の歴史社会学:軍事技術と日本の自画像』

Dr.塚原真梨佳(立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が『戦艦大和の歴史社会学:軍事技術と日本の自画像』(2025年、新曜社)を刊行しました。本書は、博士論文(立命館大学社会学研究科 2024年学位取得)とその後の研究成果をまとめたものです。

本書は、戦前、国産戦艦建造事業が推し進められる中で、科学技術の水準に依拠した国家像を構想する「テクノ・ナショナリズム」の知的基盤がいかに準備されたか、そして敗戦後、軍国主義から平和主義へと転じていったにも関わらず、戦艦大和に代表される旧軍技術がなぜ「民族の誇り」あるいは「科学技術立国の礎」として見出されていったのかを、軍事雑誌をはじめとした諸資料を丹念に読み解くことを通じて詳細に検証したものです。これまで、主に戦後の民生技術の発展との関わりを中心に論じられてきた日本のテクノ・ナショナリズムの歴史的展開を、旧軍技術に照明を当てることで、明治から平成史にかけての長いスパンの中で描き出している点に本書の特色があります。

さらに、軍事技術開発という営みがどのように受容・解釈され社会に位置付けられていったのか、軍事技術の所産である戦艦を自国の象徴として記憶することで、逆に忘却されるものは何であるのかといった問いを明らかにした本書は、ナショナリズム研究のみならず軍事社会学や戦争の記憶研究への貢献も期待されます。

なお、2025年5月14日(水)に開催予定の第23回AJIブックローンチでは、Dr.塚原が自著について語っていただきます。ご関心をお持ちの方は是非ご参加ください(参加無料、要登録)

同書の出版は、立命館大学大学院の博士論文出版助成制度の助成を受けています。

現在、Dr.塚原は、科研費・研究活動スタートアップ支援で次の研究課題として、「戦後日本の防衛産業と軍事技術開発の歴史社会学:企業論理と平和社会との相関の研究」という内容の研究を行っています。

その他の研究所メンバーの出版物について、以下のリンクよりご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/books/