研究プロジェクト紹介

共創領域

政策科学研究によるアジア都市論の再構築

プロジェクトリーダー
政策科学部

吉田 友彦 教授

アジアの多様な都市事情を明らかにし、都市問題を解決する有効施策を模索する

著しい経済発展によってアジア諸国の都市は大きく様変わりし、かつてのように「開発途上国と先進国」などといった画一的な枠組みで捉えることはもはや難しくなっています。本プロジェクトは、そうしたアジアの多様な都市事情を明らかにした上で、各都市が抱える問題の解決に役立つ都市政策研究の知見を蓄積することを目指しています。研究にあたっては、アジア地域に焦点を絞るのではなく、あえて欧米の視点を入れることで、従来「アジアと日本」と二極論的に語られがちな論調から脱することも試みます。

プロジェクトでは、アジアの都市における今日的な課題について3つのテーマを設け、社会経済、公共政策の観点から研究しています。一つ目としてインドネシアの大都市圏に注目。近年、開発志向の強い拡張路線から転換し、歴史的な町並みを保存するなど都市再編の新たなプロセスに入りつつある大都市を調査し、空間計画の新たな展開を考察しています。二つ目には、少子高齢化の進む中国に着目し、福祉政策の需要増大の実態と今後の方向性について研究を進めています。さらに三つ目として、東南アジア全体の課題である所得格差の是正に寄与するため、経済的な視点から実態把握や有効施策の検証を行っています。

また本プロジェクトは、日本、タイ、韓国の研究者らとこれまで培ってきた連携を基盤に国際研究拠点を形成し、ネットワーク機能を強化しつつ、各々の国の若手人材を育成することも重要な目的に据えています。国内外のプロジェクトメンバーによる合同研究会を定例化。2017年2月にはコーネル大学、オーストラリア国立大学(ANU)との国際カンファレンス「アジアの都市・地域研究の課題と展望」、2017年7月には「日本・インドネシア国際シンポジウム」を開催し、立命館大学政策科学研究科に在籍するインドネシアや欧米からの留学生を含めた学生、若手研究者が発表、交流しました。

今後もインドネシア、中国をはじめアジア諸国と日本の都市について多角的な研究を蓄積していきます。いずれは都市ごとに研究成果をまとめた書籍を刊行するとともに、アジア地域特有の都市に対する理念として「アジア都市論」の学術的な確立につなげたい考えです。

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