研究プロジェクト紹介

和解領域

北朝鮮問題についての総合的研究-北朝鮮問題の長期化と国際化の観点からの再構築

足立 研幾教授 写真

国際関係学部

中戸 祐夫 教授

足立 研幾教授 写真

従来の常識を覆す視点に立ち、総合的で国際的な北朝鮮研究を行う

集合写真

冷戦体制崩壊以降、これまでの北朝鮮をめぐる研究は、北朝鮮経済の脆弱さや大国の圧力による弱体化を根拠に早期崩壊を前提とした、一面的で近視眼的なものが多数を占めてきました。しかし近年、北朝鮮における核兵器の高度化を見ても、同国の長期的存続の可能性は高まっており、従来の見解に疑問が生じています。加えて、北朝鮮の核兵器の脅威はいまや北東アジアに限ったものではなく、国際的な関心事となっています。本プロジェクトでは、従来研究の不足や、国際社会による対北朝鮮政策の失敗は、北朝鮮体制の強靭性と自律性を過小評価したことによるとの視点から、新たに北朝鮮の長期存続を前提とした、より総合的で国際的な北朝鮮研究を行おうとしています。

足立 研幾教授 写真

研究にあたっては、政治・経済・歴史・文化人類学・技術の5つの研究分野に分かれてプロジェクトチームを組織。日本だけでなくアメリカや中国、韓国など海外の研究者も加えてグローバルな共同研究を行います。1年目の2018年は、まず5つの研究分野のメンバーがそれぞれに研究関心にアプローチし、北朝鮮問題の長期化、国際化についてその妥当性を検証しています。

2018年は、6月の米朝首脳会議で北朝鮮が非核化を約束するという朝鮮半島を巡る国際問題においてまさにエポックメイキングな年となりました。果たしてこの約束が本当に実行されるのか、現在国際社会が最も関心を寄せる論点を考えることも本プロジェクトの使命です。そのため韓国や中国、台湾などで実際に北朝鮮問題に取り組んできた政策立案者や官僚を招いてシンポジウムや研究会を開催し、その実態に迫り、研究成果を共有しています。さらに2年目以降は、各チームの研究成果を共有し、長期的、国際的な視点に立って総合的に北朝鮮を把握。最終的には、朝鮮半島を越えて北東アジア地域で和解を構築していくためのモデルを提供し、政策提言に生かすことを目指します。
将来は、グローバルな視点で北朝鮮を巡る問題を捉える、日本で最高水準の朝鮮半島研究拠点を形成したいと考えています。

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