2023年度 研究倫理ハンドブックの発行にあたって

立命館大学長 研究倫理委員会委員長 仲谷善雄先生より

  本大学は、「学園ビジョン R2030 立命館大学チャレンジデザイン」において、新たな社会共生価値と創発性人材を生み出す次世代研究大学の実現を基本目標に掲げました。その実現のためには、これまで以上に研究ならびにオープン・イノベーションの促進を図らなければなりません。しかし、どれだけ高度な研究を推進しようとも、その過程において研究倫理に反するようなことがあってはなりません。本大学は2006年度に「立命館大学研究倫理指針」を制定し、研究者の責務および行動規範を定め、本大学の学術研究が適正かつ円滑に遂行され、社会から持続的に信頼を得られることを目指しています。
  2014年8月には文部科学省より「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」が公表されました。同ガイドラインでは、研究活動における不正行為への対応は、研究者自身の規律や科学コミュニティの自律を基本としつつ、研究機関が責任を持って不正行為の防止に関わることにより、対応の強化を図ることとしており、各研究機関において研究活動の不正行為防止に向けた体制整備が求められています。
  研究倫理の範疇は、研究遂行そのものに関する倫理以外にも、「特定不正行為」(捏造、改ざん、盗用)はもちろん、いわゆる「疑わしい研究行為:Questionable Research Practice」や利益相反、研究費の適正執行等を含め広範囲に広がっています。文部科学省をはじめとする関係諸機関とも連携をとり、他の研究機関等における状況も踏まえながら、本大学に相応しい体制、ルールの整備を行い、対応しています。また、これらの広範囲にわたる課題に対して、2020年4月に「研究倫理室」を設置し、一層の公正適正な研究活動の推進と研究基盤の強化を図っています。
  今日、研究や教育における本大学の学外交流は国内外の多岐に亘って展開しています。今後も学外交流を積極的に推進するにあたり、あらためて「研究倫理指針」および「学外交流倫理基準」を確認・遵守することが大切です。次世代研究大学を目指す立命館大学にとって、研究倫理は“一丁目一番地”であること、また“研究倫理は研究者自身を守るもの”であることを理解し、今一度、研究倫理の重要性を本大学の関係者全体で共有したいと考えます。
  本ハンドブックは、本大学の教員の方々や研究者はもちろんのこと、これから研究活動に携わる大学院学生や学部学生のみなさんにも、文部科学省や日本学術会議等の諮問機関の方針を踏まえ、本大学の研究倫理に関わる考え方や取組みの概要を理解していただくために作成しました。積極的に活用いただきますようお願い申し上げます。

2023年4月
立命館大学長
研究倫理委員会委員長
仲谷 善雄


立命館大学 副学長(研究担当)研究倫理委員会副委員長 徳田昭雄先生より

  2014年8月に文部科学省より「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」が公表されており、その中で研究者、科学コミュニティ、研究機関の自律に基づく不正行為の事前防止の取組みと不正事案の一覧化公開(※)が定められています。
  本大学では同ガイドラインを受け、2015年3月に「立命館大学研究活動不正行為防止規程」を制定し、研究活動における不正行為の防止のための取組みを進めています。本ハンドブックの作成・配布もその一環のものです。

  大学や研究機関における捏造や改ざん、盗用などの研究不正は大きな社会問題として取り上げられ、2022年度も国立大学や私立大学、研究開発法人における研究不正が大きく取りざたされました。研究不正は論文等の共同執筆者はもちろん、不正を調査する委員会に関わる方々にも調査等で負担をかけるなど、不正に直接関与しない研究者にも大きな影響を与えることから、発生しない・させないことが重要です。

  本ハンドブックには本大学の研究倫理に関わる考え方や倫理審査の取組み概要などを記載しておりますので、ご活用いただき、適正な研究活動の推進に努めていただきますようお願い申し上げます。
また、研究倫理に関して疑問や不明な点が生じられた場合は、お気軽に事務局へお問合せいただけますと幸いです。

2023年4月
立命館大学副学長(研究担当)
研究倫理委員会副委員長
徳田 昭雄


(※)文部科学省の予算の配分又は措置により行われる研究活動において不正行為が認定された事案(一覧)https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/1360484.htm

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