立命館あの日あの時

<懐かしの立命館>寄贈された末川名誉総長の扁額

  • 2022年08月30日更新
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Ⅰ.寄贈された末川博名誉総長の扁額は語る

末川扁額自動車部7
写真1 「世界元来大山川終不老」(注1)末川博  大鳥居満也 雅兄

1.こうして扁額は立命館に寄贈された。
 2022年6月某日 N総合企画部長から史資料センターオフィスの担当課長にメールが届きました。その内容は、「元総長川口清史先生から資料寄贈のご紹介です。資料を寄贈してくださる方は、川口先生の先輩(高知県土佐高校出身)にあたる永野元玄(ながのもとはる)様です。詳しいことは永野元玄様からお聞きください。」
 永野元玄さんは寄贈にいたる経緯を次のように語りました。
 「川口先生とは同窓生の誼(よしみ)のこともありまして、義父が末川博先生からいただいた『末川博先生御揮毫(きごう)扁額』(上記写真)を寄贈したいと思います。現物のご確認と授受の方法等につきましては、次女のOがご対応させて頂きたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
 Oさんは、「幼い頃から自宅の座敷に飾られていた、末川博様の扁額が御校に戻りますこと、大変嬉しく思っております。」と述べ、授受の方法など相談の結果、6月8日(水)午前10時から11時頃に自宅にて受理することにしました。
 6月8日(水)10時30分 当日は、永野元玄さんとOさんが待っていてくれました。早々「扁額」を確認の上、受理いたしました。

2.この扁額の来歴
 Oさんは、この扁額の来歴を次のように語ってくれました。
 この扁額は、「自動車部なのに部所有の自動車がない」という、本学自動車部の苦しい実情を聞くに及んで祖父(大鳥居満也氏)が所有していたフォードの自動車を寄贈させてもらったということです。当時を知る伯父に問い合わせたところ、自動車部に寄贈した車は、1951年型リンカーンコンチネンタルだそうです。祖父は馬車が苦手で、車が良いということで、リンカーンを手に入れたと聞いています。当時の自動車部に大鳥居(大鳥井?)という同姓の部員がいたので、同じ苗字に親しみを持ち寄贈した、とのことです。
 自動車部に贈ったのは1956(昭和31)年以降だと思います。そして先日の部誌の写真(写真2)の車と同じであることもわかりました。その事に感謝された末川博総長(当時)が、「お礼に」と、大鳥居満也さんに贈られた揮毫(きごう)です。


末川扁額自動車部2
写真2 自動車部の写真(『体育会の歩み』立命館大学体育会 昭和35年11月6日発行)
写真に写る4台の内、左から3台目が大鳥居さんから寄贈された車と思われます

末川扁額自動車部4
写真3 自動車部に贈った51型リンカーンコンチネンタルと大鳥居満也さん
(写真は永野家からお借りした写真を複写いたしました。)

末川扁額自動車部3
写真4 自動車部に贈った51型リンカーンコンチネンタル
(写真は永野家からお借りした写真を複写いたしました。)

 この温かいストーリーは、末川先生のお人柄が偲ばれるものでありました。史資料センターで保存している物には一つ一つに物語があります。それを掘り起こすのも立命館 史資料センターの大切な役割です。
 この扁額を受理後、史資料センター木立雅朗センター長名のお礼状をお送りし、大学としての謝意を表しました。
 Oさんからは、「センター長の感謝状は親族で大事にさせていただきます。」と連絡がありました。
 大学ができる精一杯の感謝のしるしです。


Ⅱ.歴史ある自動車部

1.航空研究会から自立独立した自動車部

 1931(昭和6)年(初夏)5月、航空研究会が創設された。この研究会は、平時は航空研究会として航空知識の普及向上に努め、ひとたび事あるときには禁衛航空隊を組織すべく犠牲的奉仕の精神を基調とする研究会でした。この研究会で1931(昭和6)年9月より自動車の練習を始めている。日常的には、輜重隊(しちょうたい)における自動車操縦練習に引き続き、専属練習用自動車を購入し、上賀茂グランドで練習していました(『学誌157号』 昭和7年12月1日)。ちなみに飛行機の方は日本学生航空連盟に加入し練習を始めています。


末川扁額自動車部5
写真5 当時(昭和15年)としてはめずらしい自動車部の活動の様子(史資料センター所蔵)

 航空研究会の使命の一つとして、自動車操縦法並びに交通法規研究、発動機構造、修理法、取扱法など研究・実践を行っていました。
 1935(昭和10)年9月 これまで航空研究会は、基礎時代の4年間は漸くすぎて正に飛躍時代に入って来た。されど各部の活躍に支障ないようにと、研究会を4部に分ちそれぞれ独立して活動することになりました。航空部、グライダー部、自動車部、研究部(学科、通信科、写真科、機関科) (航空研究会・たより『蛉縢』NO.183)


末川扁額自動車部6
写真6 等持院学舎(現在の衣笠キャンパス)における自動車部の練習風景(昭和15年)(史資料センター所蔵)


2.戦後、自動車部の復活

 1949(昭和24)年秋、戦争の烈しくなると共に一時中断されていた自動車部は、8~9名の工学部の学生により、同好会として発足されました。当初は車もなく理工学部の内燃機関教室の1938年型ダットサンを大学から借り受けていました。1951(昭和26)年、理工学部以外の法・経・文学部にも10名程の学生が集まって自動車部を結成しましたが、自動車はまだ高嶺の華で部員が集まって、自動車の話をしてはお別れ、という車のない自動車部でした。
 1955(昭和30)年体育会本部にも正式に加入を認められ立命館大学体育会自動車部として公認されました。この頃には、一般の自動車熱が高まると共に部員数も増加し、この年には部員100名を越え、近代スポーツの花形になりました。車両も、寄贈された51年型リンカーンコンチネンタル(注2)と62年型プリムス、ダッジ、ダッジウェ-ポンを購入し、洗車設備も完備し、修理用機具を設置し、破損した車は自分の手で修理することをモットーにして自分たちで車体検査も見事にパスさせた喜ばしい年でした。この年を機に自動車部は躍進していきました(『立命館大学体育会の歩み-自動車部史-』)。

2022年8月30日 立命館 史資料センター 調査研究員 齋藤重


注釈

(注1)この扁額には、末川名誉総長の自筆で『「世界元来大山川終不老」末川博 大鳥居満也 雅兄』と書かれています。似た言葉が立命館大学ワンダーフォーゲル部に贈られ、その機関誌『漂運』に掲載されている。それによると末川先生自身は、次のようにその意味を解釈しています。
  山川終不老世界元来大
    雲のさすらいに、あてなどないけれど
    山にも川にも道があるように 
    われらのさすらいには遠くてとうとい道がある。
           末川博 「立命館大学ワンダーフォーゲル会機関誌『漂運』」

(注2) 部誌ではリンカーンコンチネンタルを購入した、となっているが、この車は大鳥居満也さんから寄贈されたものです。

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