立命館高等学校には、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災の復興支援活動から誕生したボランティア活動団体「RIVIO」があります。
1)誕生と名の由来
大震災直後は、生徒も教職員も何とかしたいけれども何から手をつけていいのかわからないという状態にありました。そのような1月末、高校生徒会の一人の男子生徒が現地へ行き、西宮ボランティアネットワークと連携がとれるようになりました。
2月からは、高校入試ホームワークや春休みに生徒や教職員の有志に呼び掛けて救援活動の輪を広げていきました。救援作業の内容は、西宮市内でほとんどが物資の仕分けでした。
その年の夏休みに、生徒会が「立命館高等学校として組織的な参加を」と全校生徒へ呼びかけたところ、想定以上の多くの参加者を得ることになりました。参加者は、現地での被害状況把握や救援活動のなかで、それらに携わる多くの人々と交流ができるようになり、「我々の学校にもボランティア活動を」「ボランティアをもっと身近に」という声が高まっていきました。
そこで生徒会が中心となって、ボランティアの情報を集めて発信する窓口をつくろうという設立趣旨から「Ritsumeikan Volunteer Infomaition Office」と命名し、頭文字をとった「RIVIO」が生徒会の公式団体として誕生したのでした。
2)広がる輪
当初のメンバーは数人でしたが、ボランティア情報のなかから自分に関心のある活動に参加し、その参加者が他のメンバーを誘ってまた参加するというかたちで、「RIVIO」から他の生徒へ発信される時にはそれが活きた情報として広がっていきました。
その後の活動は、あしなが育英会の募金活動、自閉症の子どもたちと遊ぶ「スクール」、障がい者の作業所やグループホーム、老人介護、手話・点字サークル【写真1】、
【写真1】校内での手話講座(1997年)
清掃活動などと様々な分野で活動を展開し、報告会や学習会を通じて仲間を増やしてきています。日本海重油流出事故(1997年)に対する重油回収活動に参加したり【写真2】、
【写真2】日本海での重油流出事故にともなう重油回収作業に参加(1997年)
文化祭では難民キャンプで救済活動を行っている現地スタッフの方を招いての講演会を行いました。
2011年3月11日発生の東日本大震災では、再び復興支援が「RIVIO」の活動の中心となって取り組んできました。
誕生から30年が経過しても、「RIVIO」の当初の目的である「知る、伝える」を大切にしながら、生徒たち自身の力でボランティア精神、助け合う豊かな心、人の痛みがわかる心を育んでいっています。
2025年4月17日 立命館 史資料センター 調査研究員 西田 俊博
【写真3】石巻市門脇小学校周辺での除草作業(2013年)
【写真4】東日本大震災・復興のシンボル「ヒマワリの種」と植木鉢贈呈(2014年)
【写真5】熊本地震災害復興作業(2017年)
【写真6】南三陸での災害復興作業(2018年)