立命館大学の学部学生・
大学院生のみなさんへ

⽴命館⼤学は、時代の変化や要請に向き合いながら教育・研究を高い水準で進めてきました。そのなかで、この間の新型コロナウイルス禍、環境問題や国際情勢などの急激な変化は、予測が困難な時代(VUCA*時代)への突⼊を実感させるものです。とりわけ、新型コロナウイルス禍は、これまでの、個⼈の⽣活、社会、政治、経済などのあらゆる⾯で、前提や常識の変化を迫りました。学部学⽣(以下、学⽣)・⼤学院⽣(以下、院⽣)のみなさんの学習・研究・⽣活にも⼤きな変化をもたらし、その影響は今も続いています。同時に⼤学にとっても、新型コロナウイルス禍への対応は重要な課題であり、⼤学の教育・研究のあり⽅そのものを改めて問い直す機会となりました。世界中の誰もが、従来の価値観や常識だけでは課題の発⾒ができず、解決への道筋が⽴てられない状況に、まさに直⾯したのです。このような、唯⼀の正解が無い不確実性の時代を⽣きていくために改めて重要と認識した点は、「よりよい⾃分、よりよい社会を探し求めて、学び、成長し続けることの⼤切さ」です。そして、⾃⾝の役割を⾃覚し、進路を開拓し、変化する社会のなかで役割を果たすことです。その意味において、学び、成長し続ける場と機会を提供する⼤学としての使命を、改めて捉え直す必要があります。

⽴命館⼤学は、その時代や来るべき未来の情勢と課題をふまえながら、学⽣・院⽣の主体性・能動性を育み、学びと成長の機会をさらに充実したものにするための営みを続けています。不確実性の時代にある現在、⼤学のあり⽅、教育・研究の将来像をどのように描き、実現していくのかという課題について、学⽣・院⽣のみなさんと向き合い、議論することがきわめて重要な局⾯を迎えています。

⽴命館⼤学には、学⽣・院⽣のみなさんと⼤学づくりについて議論する場として、全学協議会があり、2022年度は全学協議会を公開で開催する年です。立命館大学が普遍的な価値の創造と、人類的な諸課題の解明のため、持続的に教育・研究の⽔準や質を⾼め、より充実した学びと成長の場と機会を創出し続ける⼤学創造を継続するために、R2020で取り組んできた内容を総括し、R2030に向けての展望について、皆さんと旺盛に議論したいと考えています。

本文書の発行に先立って、6月3日(金)に、学長も出席する全学協議会代表者会議を開催し、学生・院生の代表である学友会、院生協議会連合会と、10月の全学協議会での議論の方向性について意見交換を行いました。そのなかで、学友会からは、「現在の学生と未来の学生」という2つの観点から議論を行うことが提案されました。この背景には、学友会が示した学友会・全学アンケートにおける厳しい意見にもあるように、新型コロナウイルス禍に伴う学習や大学生活の変化があるなかで、学生の学費に対する関心が高まっているという認識があります。学友会はそうした学生の声をふまえて、現在の教育や学生支援等の施策が学生の負担する学費に見合っているのかを議論するとともに、大学の学費や財務が、未来の学生に対する教学創造に繋がっているという理解から、大学の中期計画であるR2030に掲げる大学像の実現にむけた議論を行うことを提起しました。

学友会からの主張を受けて、この全学協議会代表者会議では、学費の使途としての教育や学生支援等の施策について、また大学での学びと成長のあり方について、10月の公開で開催する全学協議会で議論を行うことを確認しました。

*VUCA:《volatility(変動性)、uncertainty(不確実性)、complexity(複雑性)、ambiguity(曖昧性)の頭文字から。「ブカ」とも》変化が激しく複雑で、将来の予測が困難となった社会を表す語。
"ブーカ【VUCA】[volatility, uncertainty, complexity, ambiguity]", デジタル大辞泉, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2022-06-10)

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