②正課以外の取り組み

多様な学⽣の⾃分らしい学び・学⽣⽣活を実現する取り組み

包括的学習者支援

包括的学習者⽀援の考え⽅のもと、2011年度に特別ニーズ学⽣⽀援室の設置(精神・発達での障害を持つ学⽣への⽀援)、2015年度に人事部から学⽣部への保健センターの移管、さらに2016年度に障害学⽣⽀援室(DRC)を教学部から学⽣部に移管し特別ニーズ学⽣⽀援室と統合、2017年度にSSPの設置、2019年度に学⽣相談の総合案内HPの公開、など、一貫した相談が可能な体制づくりを進めました。これらをふまえ、個々の「困りごと」を適切な⽀援を行うことで解決を図る専⾨家間・部課間連携の促進を進めています。このほか、性の多様性に関わる学⽣⽀援として、ダイバーシティ&インクルージョン推進室を設置し、関連部課と連携して性の多様性に関わる学⽣⽀援の対応ガイドラインの検討を⾏い、「性の多様性に関わる学⽣⽀援の対応ガイドライン」を制定し、HPなどでの周知を進めています。

留学⽣受⼊促進と⽀援の⾼度化

2018年度全学協議会において、留学生支援の一層の充実をめざした体制整備の必要性が確認され、2019年度より協創施策の一環として、衣笠C、BKC、OICの各キャンパスに、留学生の多様な支援ニーズに対して最初の相談窓口となる「留学生支援コーディネーター」を1名ずつ配置しました。「留学生支援コーディネーター」は、大学内の関連部課や行政とも連携・協働し、解決へと導く役割を担っています。留学生の就職支援に関しては、留学生の採用に関心のある企業を大学に招聘し、マッチングの機会を設けるとともに、就職活動で必要となる日本語力を向上させる支援を行っています。さらに、新型コロナウイルス禍で渡日できない留学生へ向けて、Zendeskを利用し、オンラインでの支援を実施しました。今後も対面での支援とオンラインでの支援の両者を積極的に活用した留学生支援を推進し、留学生の多様な悩みや困りごとに応えていきます。

学⽣交流の促進の取り組み

様々な学びのコミュニティでの活動の促進

⽴命館⼤学には、様々な「学びのコミュニティ」が存在しています。正課では、初年次小集団クラスや専門演習(ゼミ)といった⼩集団科⽬があります。また、正課外では、学友会所属の各クラブ・サークル団体、校友会未来⼈財育成奨励⾦など、成⻑⽀援型奨学⾦を受給して活動する団体、学部の⽀援を受けながら活動する学部プロジェクト団体・⾃主ゼミのほか、学部や各部⾨からのサポートを受けながら活動するピア・サポート団体、学生・卒業生が協力し合って進路を考えるスチューデンツ・ネットワークなど、多様なコミュニティが存在しています。学⽣がコミュニティでともに学ぶ機会は重要であると捉え、従来からある活動の枠組みにとどまらず、学⽣のニーズをふまえて、活動の領域を広げ、⽀援する取り組みを進めてきています。

例えば、成⻑⽀援型奨学⾦は、2011年度全学協議会の議論をふまえ、2012年度から①正課・正課外の枠を超えた総合的な学習者⽀援、②「個⼈」と「集団」の2つの側⾯からの⽀援、③結果への⽀援だけではなくこれからの⽬標、⽬的にむかうチャレンジのプロセスを応援する支援、とした3つの考え方に基づいた制度を整備し、2012年度より成長支援型奨学金制度の運⽤を開始しました。その後、2017年度には制度を再編し、学⽣にとってわかりやすい制度となる取り組みを続けています。

また、キャンパスを越えて正課外での活動を進める基盤として、キャンパス間シャトルバスを運⾏しています。OIC開設に伴い、2015年度からは3キャンパス間での運⾏を開始しました。2018年度からは、学⽣ニーズをふまえた柔軟な運⾏計画(ダイヤ、降⾞場所の設定)などを検討した運行を行っています。

さらに、2019年度には、⽴命館学園で⾏われている起業家育成プログラムや研究シーズを使った⼤学発ベンチャー⽀援プログラムなど、様々な「挑戦」を⽀援する取り組みについて、1つのプラットフォーム(RIMIX)として⾒える化を試みました。そこでは、学⽣・⽣徒・児童と研究者に挑戦の機会を提供し、課題の発⾒から起業まで一貫して取り組みを行うための⽀援の取り組みも進めています。

⽇本⼈学⽣と留学⽣の交流促進

立命館大学では、多様な学⽣がともに学び合う「共修」の取り組みを進めています。正課では、国際教養科⽬(教養科⽬B群)の英語開講科⽬について、2017年では40クラスだったものを、2021年では55クラス(819名から1,300名規模)に拡充しました。また、正課以外の取り組みでは、BBPで国際交流企画を各種実施し、2021年度には、企画参加者は延べ約2,000名、オンラインによる参加・視聴は延べ約60,000名に⾄っています。このほか、同じく2021年度には、協定校とのオンラインを活⽤した国際交流には226名が参加(2021年実績)、BBPスタッフとして延べ138名が活躍するなど、多様な学⽣がともに学び合う仕組みが広がってきています。

課外⾃主活動の⾼度化に向けた取り組み

R2020での、学びの⽴命館モデルの具現化に向けた「課外⾃主活動⽀援を充実し、学⽣の⾃主性に基づく、“学びと成⻑”を⽀援し伸ばす仕組みづくり」を整備、構築するための⼀環として、重点強化クラブを指定し、サポートする制度を2012年度に開始しました。

この指定においては、①⼤学・学園の多くの構成員から⽀持と理解を得ることができる、②地域・社会の発展に貢献できるものである、③これまでの活動の到達点をふまえて、学⽣の学びと成⻑に寄与するものである、④他の学⽣に積極的かつ有益な影響を与えるものである、ことを視点としています。特に、スポーツ活動分野の課外自主活動においては、2014年4⽉には「⽴命館スポーツ宣⾔」を制定し、スポーツが、学園づくりの理念(未来を信じ、未来に⽣きる)を具現化し、学園の発展を促す原動⼒になることを宣⾔しました。この取り組みの成果として、各分野で活動成績を上げるだけなく、活動を通じて学び得た知識や⾃⼰の成⻑を、多様な場⾯で周囲の仲間に還元することで、学園アイデンティティ・⽂化の醸成に寄与しています。また、この過程で、課外活動における学びと成長を重視し、⽴命館が⽬指す⼈材育成像を実現することも⽬標の⼀つとして位置づけています。

重点強化クラブ

<第1期>(2012〜2016年度) スポーツ:8団体、⽂芸11団体
<第2期>(2017〜2020年度) スポーツ:7団体、⽂芸10団体
<第3期>(2021〜2025年度) スポーツ:7団体、⽂芸10団体

また、「⽂化・芸術活動に優れた者の特別選抜⼊学試験」、「スポーツ能⼒に優れた者の特別選抜⼊学試験」、「特別奨学⽣」、「⽴命館⼤学アスリート・クリエーター育成奨学⾦」などの制度は、上記の取り組みの基盤として機能しています。

さらに、スポーツの課外自主活動分野では、①「アシックスジャパン株式会社との包括的連携交流協定(2017年度)」を締結し、⼈材育成・交流、社会貢献活動の促進、研究・開発の⾼度化の3つを柱として連携事業を推進、②「2020年東京オリンピック競技⼤会および東京パラリンピック競技⼤会活動費⽤助成⾦規程」を制定(2017年)し、学⽣・院生への代表合宿などへの旅費・遠征費などの⽀援を開始しました。そして、③「スポーツ能⼒に優れた能⼒を有する附属校⽣を対象とした予約採⽤型奨学⾦制度」を開始(2017年度)し、2020年度には「課外⾃主活動において優れた能⼒を有する附属校⽣を対象とした予約採⽤型奨学⾦制度」へ改編、④「(⼀社)⼤学スポーツコンソーシアムKANSAI」の運営を中⼼的事業として、スポーツ庁の『⽇本版NCAA創設事業(UNIVAS)』に選定(2019年度)、など立命館スポーツの高度化に向けた取り組みを進めています。

海外をフィールドにした学びの取り組み

⽴命館⼤学ではSGUの取り組みを背景に、先述の留学⽣⽀援と並び、海外で学ぶ取り組みを推進してきました。この取り組みは、「グローバル・アジア・コミュニティに貢献する多⽂化協働⼈材の育成」を⽬指し、「国際通⽤性・開放性・交流性」の3点で教育・研究、学⽣諸活動などの分野において、諸改⾰を実施してきたものです。この実施に向けて、学⻑・理事⻑のリーダーシップによる「⽴命館⼤学グローバル・イニシアティブ推進本部」のもと、⽴命館⼤学の全部⾨が関わる体制を構築し、進めてきました。

具体的な取り組みとして、2018年度から開始した短期体験型海外留学⼊⾨プログラム(Global Fieldwork Project (GFP))、各キャンパス国際教育センターでのきめ細やかな留学相談、国際交流と⾔語学習の拠点の⼀元化として開設したBBPの活⽤、海外留学プログラムホームページやZendeskを通じて留学関連の最新情報の発信、学内外の奨学制度の充実などがあります。こうした取り組みをふまえ、2019年度には、年間2,300名の派遣⽬標に対し1,941名(⽇本⼈学⽣1,623名、留学⽣318名)に海外で学ぶ機会を提供しました(新型コロナウイルス禍により2、3⽉は派遣できず)。

新型コロナウイルス禍の影響はあるものの、2021年度には派遣計画変更と対応を確認し、2022年度の⽬標を2,780名、2023年度は3,220名として、より多くの学⽣が海外で学ぶ機会を設けていきます。

各種学びを⽀える奨学⾦

⽴命館⼤学では、「経済⽀援型」と「成⻑⽀援型」の2つの枠組みの奨学⾦で学びと成⻑を支えています。経済⽀援型奨学⾦は、経済的な理由で学業をあきらめることなく、⾃らの意志と責任で夢を追い求められることを⽀援します。成⻑⽀援型奨学⾦では、先述のとおり正課での学びや正課外での活動を意欲的に取り組む個⼈・集団・団体を⽀援します。

経済支援型奨学金については、2012年度に拡充の判断をし、その規模は国内トップクラスの⽔準となりました。これにより、奨学⾦全体における経済⽀援型奨学⾦の⽐重を⾼め、経済支援型2:成長支援型8から、経済支援型5:成長支援型5に比率を変更しました。特に、修学奨励奨学⾦では、「給与収⼊400万円以下層」のうち、収⼊329万円以下の層を特に優先して採⽤する⽅針とし、前期学費の1/2または全額給付(単年度限り)とする内容にしました。また、入学試験受験前予約採⽤型奨学⾦の新設も⾏いました。

2017年度には、「入学試験受験前予約採⽤型奨学⾦」制度を、「近畿圏外からの進学者を⽀援する奨学⾦」に再編しました。加えて、「修学奨励奨学⾦」と「学内推薦⼊学者奨学⾦」および「社会⼈修学奨励⾦」を整理・統合し、「経済⽀援給付奨学⾦」を新設しました。その内容は、採⽤時から標準修業年限まで、半期授業料の半額相当額を減免するものです。採⽤⼈数を約400名規模とし、⽗⺟の年間収⼊400万円以下層を⽀援対象としつつ、採⽤の上限基準は、年間収⼊が給与収⼊で600万円以下、⾃営業その他の所得で197万円以下として設定しました。

さらに、2020年度には、国の修学⽀援新制度(給付・減免)を包括した「⽴命館学費減免」を新設し、「経済⽀援給付奨学⾦」を整理・再編しました。これは、国の給与収⼊380万円以下層に加え、⽴命館⼤学独⾃区分の400万円以下層を対象とした制度です。

このほか、家計急変や⾃然災害といった不測の事態によって、修学が困難となった受験⽣・学⽣を⽀援するために「家計急変学費減免」を新設しました。「⾮常災害による修学困難者に対する立命館大学学費減免」や「緊急⼊学時給付奨学⾦」を整理・統合してきています。

こうした経済支援奨学金を通じて、さまざまな事情を持つ学生が、安心して学修を継続できる制度充実を図ってきています。

また、成⻑⽀援型奨学⾦については、「学⽣交流の促進の取り組み」や「海外をフィールドにした学びの取り組み」の項でもふれているように、正課での学びや正課以外での活動(海外留学・資格取得・クラブ活動など)を意欲的に取り組む個⼈・集団・団体を⽀援するものとして、改善を進めながら運営をしています。

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