(2)⼤学院におけるより⾼度な研究やキャリア⽀援の取り組み

⽴命館⼤学大学院におけるキャリア形成⽀援・研究⽀援の発展において、これまで4期にわたって実施されてきたキャリアパス⽀援制度が、中⼼的な役割を果たしてきました。R2020以前の2007年度より、第1期(2007〜2009年度)を「後期課程キャリアパス形成⽀援制度」として開始し、R2020の前半期には第2期(2010〜2012年度)および第3期(2013〜2015年度)に移⾏しました。第3期には、「後期課程キャリアパス形成⽀援制度」を「⼤学院キャリアパス⽀援制度」に変更し、第2期(2010年度)に創設した「博⼠キャリアパス推進室」を「⼤学院キャリアパス推進室」(2013年度〜)として改組しました。これは、第2期までの⽀援制度が主として博⼠課程後期課程院⽣を中心としていたのに対し、第3期から、博士課程前期課程(修⼠課程)の院⽣も含めた総合的な⽀援として、その枠組みを拡⼤することが⽬的でした。加えて、教育・研究の垣根を越えて⼤学院キャリアパス推進室が、より包摂的な観点から⽀援策を実施・展開していることは、他の⼤学院などからも高い評価を得ています。

R2020前半期(〜第3期)には、現⾏も継続している、研究奨励奨学⾦S、研究奨励奨学⾦A、研究奨励奨学⾦B、国際的研究活動促進研究費、国内学会発表補助、国外学会発表補助、研究会活動⽀援制度などの研究支援制度を新設しました。

R2020の後半期での取り組みとなるキャリアパス⽀援制度は、第4期(2016〜2020年度)では、博⼠論⽂出版助成制度、国外共同研究奨学⾦、英語論⽂投稿⽀援制度(院⽣)(以上、2017年度より)を新設しました。同時に、大学院の量的・質的展開を図るための教学政策の一環として授業料の減額を行い、2017年度入学者および在学者から適用をはじめました。さらに、2018年度には教学RA、2019年度には初任研究員・初任助教の制度の運⽤を開始しました。同時に、国内研究活動補助や博⼠課程後期課程インターンシップ助成⾦制度などの諸制度も新設するとともに、奨学⾦や助成⾦だけでなく、キャリア形成⽀援・研究⽀援のための各種プログラムも本格的に導⼊しました。2018年度の卓越⼤学院プログラムへの申請を背景に2019年度から開始された「超創⼈財育成プログラム」は、その先駆けといえます。同じく2019年度から、北海道⼤学を代表機関とする諸⼤学による「イノベーション創出⼈材連携育成プログラム」(2022年度より「連携型博⼠研究⼈材総合育成システム」)が開始され、⽴命館⼤学もその取り組みに参加しています。

このようなR2020のもとでの諸改⾰を基礎とし、キャリア形成⽀援・研究⽀援をR2030へとさらに発展的に繋げていく取り組みとして、2021年度より、「⽴命館⼤学NEXT(New Educational Xross-Training)フェローシップ」も開始しています。NEXTフェローシップは、⽂部科学省の「科学技術イノベーション創出に向けた⼤学フェローシップ創設事業」に採択された事業です。本プログラムのねらいは、⽴命館⼤学内の多様な学際融合型研究拠点から選定された「育成拠点」において、研究プロジェクトに参加するフェローシップ⽣(採⽤された後期課程院⽣)が、最先端で活躍する異分野の⼈財と協働しながら、深い専⾨性と学際的な視点を獲得し、社会実装能⼒を備えた⾼度専⾨⼈財へと成⻑する⽀援をすることです。この趣旨は、R2030チャレンジ・デザインの基本的な⽅向性と軌を⼀にするものであり、同チャレンジ・デザインの⼤学院政策分野における具体化・実施化の先駆けの位置づけにあるといえます。また、2021年度に立命館大学は、科学技術振興機構(JST)が公募した優秀な博士を次世代の研究者として支援を行う「次世代研究者挑戦的研究プログラム」に「立命館先進研究アカデミー(RARA/Ritsumeikan Advanced Research Academy)次世代研究者育成プログラム」として申請し、採択を受けました。本プログラムでは、選抜された優秀な博士後期課程学生をRARA学生フェローとして採用し、次世代を担う研究者となるための充実した研究支援を行います。

このような取り組みに加え、各種セミナー(キャリアマネジメントセミナー、博⼠と企業とのマッチングセミナーなど)や、英語運⽤能⼒の向上に関する⽀援策(ベーススキル向上⽀援補助⾦、英語団体受験補助制度、英⽂アカデミックライティング、オンライン英語論⽂個別指導など)など、幅広い分野で院⽣⽀援のための制度を整えてきています。また、院生の希望する進路実現に向けて、人文・社会・自然科学系の違いなどもふまえて支援対象を分け、⽀援を充実させる取り組みも進めています。

以上のように、院生に対する⽴命館⼤学のキャリア形成⽀援・研究⽀援は、R2020期間(⼀部、R2030への移⾏期含む)に飛躍的に進展しました。

NEXT:第Ⅱ章(3)より豊かで快適な学習・学⽣⽣活を実現するためのキャンパス環境整備

目次