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ゲスト講義実施報告(教育協力NGOネットワーク事務局次長 小荒井 理恵様)
ゲスト講義実施報告:在日ビルマ(ミャンマー)難民 / 岐阜女子大学南アジア研究センター(CSAS)客員研究員 ティン・ウィン・アクバル氏
ミャンマー生まれ、日本在住、講演者・研究者として活躍。2023年から2024年の2学期間、法政大学法学部国際政治学科で ジャーナリズム関連授業の非常勤講師を務めた。ラングーン大学経済学部を卒業後、ジャーナリストとして活動した。日本では、在日ミャンマー人労働組合連合会(FWUBC)を設立し、初代会長を務めた。過去に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所およびパートナー団体と協力、多言語支援を通じた難民申請者のコミュニケーション支援や接受支援などを行ってきた。現在は、認知バイアス、批判的思考、メディア・AIリテラシー、政治予測を専門とし、特にミャンマーとその周辺地域に焦点を当てた研究を行う。
2026年度「グローバル・シミュレーション・ゲーミング」を開催。300名を超える2回生全員が模擬国際交渉を行いました。
300名を超える受講生が「国家」「国際機関」「NGO」「メディア」などの国際社会に実在するアクターに扮し、実際の国際問題を解決するために擬似的に国際交渉を体験します。
当日は、327名の2回生が60のアクターに分かれ、GSGをスタートしました。
日本語基準の国際関係学専攻(IR専攻)と英語基準のグローバル・スタディーズ専攻(GS専攻)・アメリカン大学・立命館大学国際連携学科(JDP)の学生が合同で実施。「英語」を基本言語として交渉や会議を行います。
1つのアクターは5~8人で構成され、アクター内で役職(大統領、外務大臣など)を決めるなど役割分担を行い、他アクターとの国際交渉に備えました。
ゲスト講義実施報告 Harmony Sisters Network代表(元ロヒンギャ難民) 春成カディージャ様
2026年6月15日と16日、国際人権法ゼミおよび国際機構論(担当教員:金児真依)の授業にてHarmony Sisters Network代表・さぼうと21地域コーディネーターもあり、帰化された元ロヒンギャ難民でいらっしゃる春成カディージャ様にお話しいただきました。
今回の講義では、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの歴史と無国籍をはじめとする深刻な人権侵害、日本で生活する難民等申請者と難民が直面する制度・教育・就労上の課題、そして難民当事者主導(refugee-led)の支援の重要性について学びました。冒頭の「お国はどこですか」という問いから、国籍を持つことが決して当然ではなく、無国籍が権利の享受やアイデンティティに深く関わることが示されました。春成さんは、1982年のミャンマー国籍法の運用によりロヒンギャが国籍を剥奪された経緯や、ロヒンギャの場合は「難民」と「無国籍者」、「国内避難民」と「無国籍者」という地位が重なることを説明されました。公式な統計は存在しないものの、春成さんの把握によれば現時点で日本に暮らすロヒンギャは400人程度と思われるとのこと。春成さんは、ロヒンギャの人は通常は人道上の配慮や本国情勢を踏まえた措置によって在留を認められているほか、条約難民として難民認定を受けている人も約35人ほどはいるであろうとの推測を示されました。
「教育が人生を変える」という信念のもと、来日後に日本語を必死で学び、2人の子どもを育て働きながら、国連難民高等弁務官(UNHCR)の難民高等教育プログラムによる奨学金も得て大学・大学院へ進学した春成さん。ボランティアで多くのコミュニティの女性たちをエンパワーされ、2025年末には日本国籍を得るまでの想像を絶する努力の積み重ねの歩みには、多くの学生が圧倒され、感銘を受けていました。春成さんは同時にこのプロセスに19年を要した経験から、難民コミュニティにおいて法制度についての説明の強化はじめ定住支援の充実が有用であると語りました。多くの人が暮らす群馬県館林市では、日本語の壁、不安定な雇用や在留資格、子育て・教育情報の不足、支援へのアクセスの難しさが相互に連鎖していることが紹介されました。
こうした課題に対し、春成さんが設立されたHarmony Sisters Networkでは、当事者の視点からニーズを確実に把握し、ロヒンギャの子どもの学習・進学支援、行動範囲が限定されがちな女性の日本語学習や健康維持のための支援、帰化・在留に関する法的支援、地域住民との交流などを展開しています。毎年30人以上の女性を支え、100人以上の子どもに学習支援を届け、運転免許の取得や就労など経済的社会的自立にもつなげているとのことです。
支援を受ける人を一方的な「受益者」と捉えるのではなく、女性や子どもが能力を発揮し、社会の担い手となることを目指す姿勢が印象的でした。将来は難民・移民当事者が主導するソーシャルビジネスへ発展させたいという展望も示されました。「難民の女性が働けるようになったら労働力と納税者が増え、日本に貢献できてウィンウィン(win win)でしょう」という実際的な観点にも学生たちが深く頷いていました。移民・難民とホスト社会との軋轢を防ぐためにはごみの分別やリサイクル等も含め、社会文化的違いについて十分かつ繰り返しの説明が有用であるとされていました。
学生たちからは、「『お国はどこですか?』という質問に答えるのが難しいと感じたことはなく、自分たちの『当たり前』が世界のどこかの人にとっては当たり前ではない」ことを実感した、「難民を『支援される存在』としてだけ見るのではなく、教育や就労の機会があれば社会を支える存在にもなれると学んだ」「互いの文化や価値観を尊重し合うことこそが真の共生であり、難民や移民に対する否定的なイメージは、一部の報道や知識不足によって形成されていることにも気付かされた」といった感想が寄せられました。難民や無国籍の問題を統計や制度だけでなく、一人ひとりの人生、尊厳と可能性から考え、地域での具体的な行動につなげる貴重な機会となりました。
国際人権法ゼミにて
プロフィール 春成カディージャ
2006年12月30日に来日した元ロヒンギャ難民。2025年に帰化により日本国民となる。2013年青山学院大学国際関係学部卒業、2023年に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科で修士号取得。2014年から2025年まで株式会社ユニクロに社員として勤務し、2022年~2024年まで社会起業家等向けにバックオフィス支援サービスを提供する株式会社Shared Digital Center(SDC)でも勤務。2017年から日本国際社会事業団(ISSJ)の館林市のムスリム女性を対象とした日本語教室の運営委員を務める。NPO法人HSFでは2017年から2023年までプロジェクト・コーディネーターを務めた。2020年には、女性や難民当事者の社会参加と自立を支援する「Harmony Sisters Network」を設立し、代表として活動している。現在は、慶應義塾大学SALのロヒンギャプロジェクトを支え、さぽうと21による館林市オンライン学習支援事業にも地域コーディネーターとして参画し、地域と教育の両面から支援活動を展開している。
これらの活動が評価され、2025年にアジア福祉教育財団(FWEAP) Best Refugee-Led Organization Award」を受賞したほか、公益財団法人パブリックリソース財団の女性リーダー支援基金「一粒の麦」に採択された。また、2025年から2026年にかけて「APNOR Refugee-Led Advocacy Grant」の助成対象者となり、2026年には米国ボストンで行われる「JWLI Fellowship」および「Babson College Women’s Leadership Program」に参加するなど、難民当事者によるリーダーシップと社会課題の解決に取り組んでいる。
ゲスト講義実施報告「人道と開発と平和の連携を考える―国際機関の役割と全社会的な連携の可能性」(国際協力機構(JICA)中部センター 古本秀彦様)
駒澤大学法学部政治学科卒、サセックス大学にて現代紛争平和学修士取得。NGO勤務を経て国際協力機構(JICA)ジュニア専門員(平和構築)。その後、広島平和構築人材育成センターの立ち上げや民間コンサルでの勤務を経て、2010年より国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)でイラン・イエメンのプログラム担当官を歴任。内閣府国際平和協力研究員を経て、2015年からUNHCR駐日事務所渉外担当官、2020~2023年は上級パートナーシップ専門官としてJICAへ出向。2024~2025年はUNHCRアフガニスタンにて再統合ユニット長を務め、現職。専門はHDPネクサス、資金調達、パートナーシップ構築等。
ゲスト講義実施報告(国連世界食糧計画アジア太平洋地域事務所パートナーシップ部長 佐藤さや香様)
東京都出身。上智大学卒業後、米国タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修了。WFP日本事務所でのインターン、コンサルタントを経て、2010年、JPOとしてWFPへ派遣。イエメン、エジプト、中央アフリカ共和国などで7年間にわたり緊急食糧支援を担当。その後、ワシントンDC及びバンコクで9年間資金調達・パートナーシップ業務に従事し、2026年夏に再び現場であるニジェール事務所へ赴任予定。既婚、3児の母。