教員紹介
- 日本語教師
専門は「日本語言語学」、つまり、日本語を国語ではなく一つの言語として研究することです。私が飽きずに続けているテーマは「条件文」です。日本語には英語の if に相当する表現が少なくとも 4つ(「と」、「ば」、「たら」、「なら」) あり、なぜ、4つもあるのか、その分化のメカニズムを探っています。これは外国人に日本語を教える日本語教師を悩ませる文法項目の一つとしても注目されています。最近は、地域差にも関心を持ち、特に、九州方言特有の条件形式を調べています。現地でインタビューするたびに日本語の多様性を実感し、そこが面白くて、やめられません。
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最近の漫才で、「ボケを否定しないつっこみ」という形が出てきました。従来型の「なんでやねん!」とボケを否定するパターンを逸らして、「それもありだね」と受け止める変化球型です。一例ですが、典型例に当てはまらない多様性を認めていこうという社会的動きがみえます。同じような変化が、言語教育でも起きています。従来の言語教育では、「日本人は謙遜する」のような典型的な言動の研究や教育が当然とされていました。しかし、多言語・多文化が入り混じる現代社会では、○○人や○○語を越えた柔軟なコミュニケーション能力が鍵となります。このような、翻訳アプリでは代用できない能力や育成方法とは何かについて研究しています。
COLUMN
世界各国の留学生と一緒に学び、
課題解決に取り組む
言語学・日本語教育専攻
北出 慶子
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「第二言語」として日本語を学んでいる人たちを対象に、日本語学習に関わる心理的要因と効果的な日本語指導の方法について研究しています。みなさんのほとんどは英語を学んだことがあると思いますが、なかには英語に加えて中国語や韓国語などの第二外国語に関心を抱いている人もいるのではないでしょうか。日本語学習者の場合も多くは、日本語だけではなく英語を学んでいる人がほとんどです。しかし、国際的な言語である「英語」と「(日本語を含む)英語以外の言語」では、学習に対する動機づけや学習にかけられる時間などが異なる場合もあります。私は、このような複言語話者としての日本語学習者に着目し、動機づけの実態や動機づけを高めるための働きかけの方法を探っています。
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言語は、意思伝達のための道具という側面をもつと同時に、人間と他の動物を区別する重要な特質でもあります。私の本来の専門は言語研究(特に(主として)英語の文法)ですが、その研究のために、母語話者が書いた・話した資料を大量に集め、コンピュータ上で処理可能にしているデータベース(「コーパス」と呼ばれます)を重要な研究資料の一つとして使っています。私は従来の方法に加え、コーパスを使うことで初めて暴くことのできる無意識の知識の一端の解明に興味をもっています。もとより言語研究は言語教育を行う際の基礎としても不可欠です。教育の現場で使われている文法に関する記述の改善にも関心をもっています。
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効果的な日本語教育の方法と日本語の変化について研究しています。「変化する」というのは生きている言語全てに共通する特性だと言えますが、現在進行中の変化にはなかなか気づきにくいものです。例えば、「いや、それは全然違くて、…」では「違う」という動詞に形容詞活用を適用していて、日本語教育的には誤用になりますが、若い世代にはかなり広がっている用法です。過去に起こった変化や現在進行中の変化を分析することで、日本語、そして、言語全般についての理解も深まると考えています。
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口語英語コーパスを使って、英語の話し言葉の実態を探る研究をしています。話し言葉を収集したコーパスの編纂が進み、インフォーマルな会話の言語研究に取り組みやすくなりました。私たちは会話という「待ったなし」の状況で、「相手がいるからこそ」の言語の使い方をしています。相づち一つとってもそうでしょう。言語を人と人のコミュニケーションや社会の営みの中でとらえると、これまで「間違い」や「例外」、「規格外」と思われていた言語現象にも重要な意味があることが見えてきます。また、話し言葉文法研究を英語教育へ応用することによって、インタラクション指導や文法指導、教材開発などに新たな視点を提供したいと考えています。
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