教員紹介
- フィールドワーク
日本(アイヌを含む)、東アジア(韓国・中国)、英国スコットランドなどにおけるフィールドワークに基づいて、子守唄・わらべうた・民間説話などの伝承児童文学における「子どものコスモロジー」の問題、特にいのちやたましいがどのように表現され、子どもたちに伝えられてきたのかを追究しています。そしてまた、いのちやたましいを今日の子どもたちにどのように語り伝えていけばいいかについて、うたや語りや絵本よみきかせや紙芝居の実演を通して考究しています。
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教育を成り立たせているのは、未だない新しいものが生じてくるかもしれないという希望ではないでしょうか。この意味で、教育という営みには、今ある価値の枠組みをただ肯定するだけではなく、それを批判的に捉える視点が必要になります。私の研究テーマである「物語」は、教育に携わる人たちが、当たり前に見える教育のあり方を問い直し、生きた教育の意味を再び語りだすうえで、とても重要な見方です。教育や教育問題をめぐる言葉が、自閉的で排他的になっている状況を分析したうえで、教育をめぐる語りを豊かな意味生成へとひらくことを志向するのが、私が進めている臨床教育学的な研究です。
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フランスでは200年以上も、バカロレア試験という、論述式の大学入学資格試験を続けてきました。選択肢問題はほとんどなく、論述試験が中心です。哲学の試験では、「自由とは障害のないことか」という題で論述するといった問題が出ます。作問・採点の中心は、高校教員です。バカロレア試験はどのような評価の考え方に支えられているのか、また、バカロレア試験に向けて、どんな指導や評価をしているのかを研究しています。さらに、日本の学校で、知識を活用して論理的に思考し、表現する力をいかに育み、評価していくべきかを、フランスを鏡としながら探求しています。
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専門は「日本語言語学」、つまり、日本語を国語ではなく一つの言語として研究することです。私が飽きずに続けているテーマは「条件文」です。日本語には英語の if に相当する表現が少なくとも 4つ(「と」、「ば」、「たら」、「なら」) あり、なぜ、4つもあるのか、その分化のメカニズムを探っています。これは外国人に日本語を教える日本語教師を悩ませる文法項目の一つとしても注目されています。最近は、地域差にも関心を持ち、特に、九州方言特有の条件形式を調べています。現地でインタビューするたびに日本語の多様性を実感し、そこが面白くて、やめられません。
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デジタル情報社会の中で、一時期は図書館不要論も唱えられましたが、今や公共図書館は地域活性化、まちづくりの中核として活況を呈しています。公共図書館は、静かな読書と勉強の場というイメージを脱却し、出会いと交流の場として、あらゆる人びとの生活と生涯学習を支えています。大学図書館でさえも会話や飲食のできるコモンズやカフェを擁し、学校図書館も生徒の心の居場所、交流の場ともなっています。「場としての図書館」研究は、複層的な機能と空間によって大きく変容する図書館の新たな意義と社会的、教育的価値を学術的に考察する図書館情報学の新しい分野です。なので、私は図書館の新たな可能性を開拓すべく、いつも研究に夢中になっています。
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皆さんは、図書館を「静かに勉強しないといけない場」「静寂を保って本を読む場」と思っていませんか?私は、大学 / 公共の図書館を「知の倉庫」から、「知の交流」や「知の創造」の場へと進化させていく実践と研究を行っています。つまり、本や資料を提供する場から、それらを媒介にして人々が交流する場、さらには、本や資料を含む様々な情報資源、道具、空間、他者といった構成要素が効果的に協奏して人々が「知を創造」する場へと変容していく図書館の姿を探究しています。特に、デジタル情報社会に求められるイノベートした図書館の機能や、図書館を舞台とした社会のイノベーティブな人材の育成など、「図書館イノベーション」をキーワードに、図書館の社会的・教育的なイノベーションについて日々考えています。まずは皆さん、入学後、大学の図書館に足を運んでください。
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地中に埋没した遺跡(遺構・遺物)などの考古資料は、確かに文字資料(文献史料)には及ばないほど、歴史的事象を表すには多弁ではありません。しかし地中に刻まれた遺跡は歴史的な重要性の多寡に関係なく、歴史的な事実の反映であることに疑いはありません。この点が考古資料における最大の利点であると言えます。こうした物質資料から歴史的な重要性を導き出す学問研究分野が考古学です。
日本列島には、3~4万箇所もの中世の山城などの城郭遺跡があります。既に文字資料が存在していた時代でも、これらの膨大な数の構造物の比較検討を通していくことで、文字資料だけでは解き明かせない中近世史の解明を目指しています。
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弥生から古墳時代には、水稲農耕の普及、王権の成立、古代国家形成過程の解明など、日本の歴史を知るうえで重要な研究テーマが豊富にあります。私は、弥生・古墳時代を、ものづくりや食文化、海外との交流関係から研究しています。考古学的研究を軸としながら、民族学的調査をおこなったり、共同研究者らと理化学的分析と考古学研究成果を総合化するなど、時には学域を超えて研究を進めるなかで、視野がひらけ疑問の解けたときの喜びはひとしおです。過去の人々の生活の痕跡や墓、そこに残された物から歴史を再構築する楽しさを、ともに感じてみませんか。
COLUMN
何の変哲もない石に
価値を見つけるのが考古学の醍醐味
考古学・文化遺産専攻
長友 朋子
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