教員紹介

  • 移民・エスニシティ

日本文学研究学域

デジタル情報社会におけるリアルな「場」としての図書館の社会的、教育的意義について考える

久野 和子教授

所属専攻:
日本語情報学専攻
専門分野:
図書館情報学
デジタル情報社会の中で、一時期は図書館不要論も唱えられましたが、今や公共図書館は地域活性化、まちづくりの中核として活況を呈しています。公共図書館は、静かな読書と勉強の場というイメージを脱却し、出会いと交流の場として、あらゆる人びとの生活と生涯学習を支えています。大学図書館でさえも会話や飲食のできるコモンズやカフェを擁し、学校図書館も生徒の心の居場所、交流の場ともなっています。「場としての図書館」研究は、複層的な機能と空間によって大きく変容する図書館の新たな意義と社会的、教育的価値を学術的に考察する図書館情報学の新しい分野です。なので、私は図書館の新たな可能性を開拓すべく、いつも研究に夢中になっています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

現代社会においては、人々の社会的格差や分断が拡大し、地域や家族のつながりが薄れ、環境破壊や自然災害、戦争などで多くの人々の生命と生活が脅かされています。実は、図書館はそうした課題解決にある程度寄与できる可能性と示唆を持っています。皆さんの身近にある図書館をぜひ広い視野をもって応援していただきたいです。

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東アジア研究学域

中国南方に住む人々の行動様式に関する歴史学的考察
キーワード :
中国農村社会、血縁と地縁、伝統と近代、広東・香港

宮内 肇准教授

所属専攻:
現代東アジア言語・文化専攻
専門分野:
中国近現代史、中国社会史
近代以降の中国は、革命・戦争・社会主義を経験してきましたが、その時々の指導者は、いかに「国民」を創生し、国家を建設するかを考えてきました。そして、それは確かに中国社会を大きく変化させてきました。しかし、基層社会に生きる農民などの「ふつうの人々」の生活規範や行動様式はそう簡単に変わるものなのだろうか、そんな疑問を明らかにすることが私の関心です。具体的には中国南方の華南地域を考察対象に、当時の新聞や雑誌・民間文書などを利用し、近現代の中国を生きた「ふつうの人々」が、政府の政策をどのように受け入れ、あるいは反発したのかについて考えています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

アジアの言語や文化あるいは歴史について、大学で学べることは少なくありません。しかし、日本を飛び出せば、それは無限に広がります。全身でアジアを体感してほしいと思います。

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国際文化学域

文学における異文化間接触
キーワード :
異文化間接触、宗教と文学

PRESTON NATHANIEL H.教授

所属専攻:
英米文学専攻
専門分野:
英米文学
By exploring how the experience of immigration has influenced American writers with roots in South Asia and how non-Asian writers express interest in South Asian traditions, I seek to understand how literature can both illuminate conflicts and foster constructive dialogue between cultures.

MESSAGE

受験生へのメッセージ

I teach mostly in English, but a desire to learn is more important than your English level. Let’s explore the world of English-language literature together!

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国際文化学域

現代社会とは何か、その歴史的解明

高橋 秀寿教授

所属専攻:
ヨーロッパ・イスラーム史専攻
専門分野:
ドイツ現代史、歴史社会学
戦後のドイツ人がナチズムの時代や第二次世界大戦、ホロコーストをいかに記憶して行ったのかを分析することが私の研究テーマですが、この問題はこれまで政治家や思想家の発言、ジャーナリズムや学問での論争などによってアプローチされてきました。私は流行歌や映画、テレビ・ドラマ、記念碑などにも注目することによって、記憶の形成・変化と国民そのものの変化を関連づけて論じることで、その構造を明らかにして、現在起こっているさまざまな記憶の現象(日本では従軍慰安婦の問題や小林よしのりの戦争論など)も、社会構造、すなわち時間と空間、そして国民の構造的な変化とかかわっていることを明らかにしようとしています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

私が学生だった頃、自分がどんな人生を歩むのか、なんとなくわかっていました。進むべきレールが引かれていたからで、そのレールの良し悪しが議論されていました。でもいまはそんなレールがなく、自らがレールを作り、敷いていかなければなりません。現代社会を歴史的に研究している私は、そのレール敷きのお手伝をしていきたいと思います。

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国際文化学域

近代ユーラシア商業のネットワークと太平洋世界

森永 貴子教授

所属専攻:
ヨーロッパ・イスラーム史専攻
専門分野:
近代ロシア社会経済史
近代ロシア商人史が専門ですが、これを出発点にユーラシア大陸の商業ネットワークや民族などを研究しています。ユーラシアではロシア人の他にユダヤ人、ギリシア人、タタール人、アルメニア人、モンゴル人などの多様な民族が独自のネットワークを形成しました。彼らは中世に北方の毛皮を、近代に中国の茶を求めて国境を越えていきました。その活動は探検も含めて太平洋、地中海にも広がっています。研究の中で面白いのは、彼らのローカルな文化や慣習の違いがあるのに、「モノ」への欲望は共通している点です。現代のグローバル社会を生きる私たちにとって、「ヒト」の交流・混淆がもたらすものを考えるのは大きな意味があると思います。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

歴史は単なる年表や人名の羅列ではありません。歴史の本当の面白さは、「異文化としての過去」に生きた人々が、どんな世界観や価値観を持ち、それが現代までどうつながっているのか知る事です。受験生の皆さんには「歴史が好き」という気持ちや興味関心を大事に、学ぶ楽しさを知ってほしいです。

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国際文化学域

船も人も漂流して:人類学というビーチコーミング術
キーワード :
大衆的図像、複製技術

中村 忠男教授

所属専攻:
文化芸術専攻
専門分野:
文化人類学、説話学
もともとは南インドやパキスタン西部でヒンドゥー教の巡礼を研究していました。ところが、辺境の聖地にもかかわらず、国外から来た巡礼者に遭遇することが多く、そこからインド洋全域におけるインド系移民の移動=ディアスポラを研究することになりました。おかげで、パキスタン沖合にある孤島の聖地の調査中に、古代からあるダウ船の漁船をチャーターしたところ、エンジン不調で半日ほど漂流し、漁師から「心配するな、たぶんオマーン(アラビア半島)には着くから」と慰められ、インド洋交易の現実を痛感する羽目に。こうして、現在ではインド洋東部域にあるアンダマン諸島の植民地化とその表象をめぐる人類学的研究をおこなっています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

共に、頭と体を使って考えましょう。「問い」を産出すように日常をサヴァイヴしていきましょう。

COLUMN

文化人類学は、“石蹴り遊び”。 思いがけない発見が待っている。

文化芸術専攻

中村 忠男

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地域研究学域

データ分析でみる家族と暮らしの地理学
キーワード :
地理情報システム、データ分析、海外研究

花岡 和聖教授

所属専攻:
地理学専攻
専門分野:
地理情報科学、人文地理学
私たちのライフスタイルや価値観はユニークなものであったり、逆に、友人と似ているところがあったりします。私の研究では、一人一人を区別できるデータを精査することで、人々の暮らし方の共通点や相違点を明らかにしていきます。膨大な人口のデータを調べ、そこに仮説と一致する特徴や意外な特徴が見いだされたときが一番面白いです。具体的な研究テーマは、日本人特有の働き方や家族関係、国際結婚夫婦の出生行動、さらには防災・復興、外国人の居住地選択に関する分析など多岐にわたります。最近では、オーストラリアやフィリピン、ヨーロッパをフィールドにした研究も行っています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

紙の地図がデジタルな地図へと変わってきたように地理学の研究でもデジタル化が進んでいます。そうしたことから私が担当する講義では、まちづくりや防災、環境保全、観光、マーケティングをテーマに、地理情報システムを使った地図作成や地域データ分析、衛星画像の解析方法を紹介しています。

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地域研究学域

生きることをめぐるツーリズム・モビリティーズに関する文化人類学的研究
キーワード :
国際退職移住(international retirement migration)、 ライフスタイル移住(lifestyle migration)、ロングステイツーリズム、ケアの越境化

小野 真由美准教授

所属専攻:
地域観光学専攻
専門分野:
文化人類学、観光人類学、東南アジア地域研究
長期滞在型観光(ロングステイツーリズム)と国際退職移住、ライフスタイル移住に関する文化人類学的研究を行っています。特に、マレーシアとタイを中心に、東南アジアにおける日本人(若者や高齢者)の長期滞在・移住のあり様について長期フィールドワークを行ってきました。最近、フィリピンでの調査も開始しました。また、医療ツーリズムや高齢者向けの介護リゾートの生成にみられるケアの越境化について、その実態の把握とトランスナショナルな連関を明らかにすることに取り組んでいます。国際退職移住に関する研究は、ウェルネスやウェルビーイング、さらに、高齢者のもつ「迷惑をかけたくない」意識と自立・自律にどのように関わるのかについて探求しています。

MESSAGE

受験生へのメッセージ

旅をするといつもと違った風景や地域の人々のふるまいに触れ、新鮮さや驚きを感じます。観光人類学という領域は、旅の魅力や観光と社会文化の関わりについてフィールドワークを通して深く探究します。旅が好きな人、異文化に関心のある人、外国で生活してみたい人、異文化を理解するものの見方や他者とのかかわり方について観光研究のフィールドワークで実践的に学んでみませんか。

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