教員紹介
- アメリカ
デジタル情報社会の中で、一時期は図書館不要論も唱えられましたが、今や公共図書館は地域活性化、まちづくりの中核として活況を呈しています。公共図書館は、静かな読書と勉強の場というイメージを脱却し、出会いと交流の場として、あらゆる人びとの生活と生涯学習を支えています。大学図書館でさえも会話や飲食のできるコモンズやカフェを擁し、学校図書館も生徒の心の居場所、交流の場ともなっています。「場としての図書館」研究は、複層的な機能と空間によって大きく変容する図書館の新たな意義と社会的、教育的価値を学術的に考察する図書館情報学の新しい分野です。なので、私は図書館の新たな可能性を開拓すべく、いつも研究に夢中になっています。
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小寺 未知留准教授
- 所属専攻:
- 日本語情報学専攻
- 専門分野:
- 音楽学
楽曲を創作・演奏し、それを聴取するだけが音楽文化ではありません。多くの人が音楽について語り・考えることで、音楽文化はより豊かなものになってきました。私の研究では、アーティストや研究者が残した著述を検証し、彼ら/彼女らの価値観を明らかにするとともに、音楽文化の拡がりを描き出すことを目的としています。特に、サウンド・アートと音楽の境界線、音楽理論と音楽心理学の学際性など、ある種の「境界領域」に着目して研究を進めています。このような境界領域は、しばしば異なる価値観が出会い、ときに共鳴し、ときに反発し合いながら、新たな価値観を創り出していく現場であり、研究ではその臨場感を追体験することができます。
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中川 優子教授
- 所属専攻:
- 英米文学専攻
- 専門分野:
- 英米文学、ジェンダー
南北戦争後のアメリカは大きな転換期をむかえ、健康で裕福で活発なアメリカ女性が、新しい国アメリカを象徴するものとして雑誌や広告、文学に描かれるようになりました。一見明るい未来を象徴しているようにみえますが、実際そう単純ではありません。またこの頃社会進出を試みる「新しい女性」がイギリス小説にも登場しました。私はこのような女性の表象を英米小説、とくにこの女性たちに共感しながらも、複雑な思いをもって描いたヘンリー・ジェイムズやその周辺の作品にみいだし、研究しています。作品を精読する以外にたくさんの資料も読まないといけませんが、意外な作品間のつながりがみえたりするのが面白いです。
COLUMN
小説を深く読み込むことで得られる「文学の力」
英米文学専攻
中川 優子
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国際文化学域
ポスト国民文学時代の英語文学と翻訳の役割
- キーワード :
- クリエイティヴ・ライティング・プログラム、文芸翻訳の諸問題、ベースボール
吉田 恭子教授
- 所属専攻:
- 英米文学専攻
- 専門分野:
- 現代英語小説、アメリカ文学
アメリカでは、作家の視点から文学作品を研究し、自作の作品を学位論文として執筆するクリエイティヴ・ライティング・プログラム大学院が1930年頃から発展してきました。わたし自身も合衆国で創作教育を受け英語で小説を執筆しています。今日、イギリス文学、アメリカ文学といった国による区切りが意味を失ったポスト国民文学の時代を迎え、世界中に広がる創作科の教育手法もまた米主導の世界化の一貫なのでしょうか?戦後の英語小説に創作教育の反映を読み取る一方で、現代文学の生産体制と翻訳を通じた流通について探るのが目下の研究課題です。また戦前の日米野球交流やベースボールを描いた小説・映画についても調べています。
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上田 高弘教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 西洋美術史、比較芸術学
モダン・アートというと、何が描いているか分からない抽象画や、既製品をただ置いただけのオブジェなど、「美術」の定義を混乱させる作品が思い浮かぶかもしれません。言い換えると、かつては美術と認められなかった事物や行為を作品と映じさせる「批評」の文脈があるわけで、その解明が本来の研究関心なのですが、美術にかぎれば正直、お腹いっぱいという感じで、それもあって近年は音楽(オペラ)や文学に関する論文を公表するなど、レパートリーを拡げています。そうしてさらに一歩、踏み込もうと構想を温めているのが、若いころから関心を抱いてきた新約聖書学の分野でのささやかな試論。研究生活も終盤に入って、残り時間との競争です。
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“The unknowable”をキーワードに、19世紀アメリカ文学を研究しています。科学発展により知識が拡大した時代に、むしろ「不可知なもの」の意義や成り立ちを追究していた作家たちに関心があります。フレデリック・ダグラス、エミリー・ディキンスン、スイシンファーなどは、宗教的な謎にくわえ、失われた証拠、奴隷制に奪われた知識、権力をあざむく秘密作りの技法など、生活に根ざした知の限界を描きました。解らなさを見つめることで、彼らはどんな人生の機微に触れたり、社会問題に迫ったり、新たな知のあり方を模索したりしたのか?そうした探究に、なぜ詩やミステリー、自伝など特定の文学形式が選ばれたのか?こちらも手探りで考えています。
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小川 真和子教授
- 所属専攻:
- 英語圏文化専攻
- 専門分野:
- アメリカ研究、アメリカ史
私はこれまで、太平洋を越えて国際的な平和運動や社会改良運動などに携わった日本人やアメリカ人の活動について研究してきました。 近年ではハワイへ渡った日本人水産業者や、それを取り巻くハワイ、日本、アメリカとの関連についてローカル、そしてグローバルな視点から探求しています。日本は周囲の海によっ て諸外国と隔てられた島国なのではなく、海によって世界とつながり交流してきた太平洋世界の一員と捉えています。またアメリカも太平洋の政治や経済、文化に強い影響を与えてきました。日本とアメリカの間に位置するハワイを定点観測地点として、日米関係を「海」から捉え直すというのが私の現在の研究テーマです。
COLUMN
海を渡った日系移民の足跡をたどり、 日本とアメリカの未来について考える。
英語圏文化専攻
小川 真和子
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私の専門はアフリカ系アメリカ人の歴史と文化です。その中でも特に彼・彼女らたちを標的とした暴力と、こうした人種暴力に対する抵抗の歴史を、さまざまな視点から研究しています。当時の出来事を明らかにすることだけではなく、それが現在に至るまでどのように語られてきたかという commemoration(公的記憶)の問題を考えることにも関心があります。たとえば博物館などにおいて、暴力の歴史はどのように展示されているのか。教科書はどのようにその歴史を教えてきたのか。過去と現在のつながりを見ていくと、歴史はますます面白いものになります。
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