アジア・マップ Vol.01 | ブータン

ブータン21世紀年表  1998~2022年

宮本万里(慶應義塾大学商学部・准教授)

1998年

第四代国王は行政の長を退き、政府に首相位を再設。以降大臣で構成される閣僚会議が行政の最高意思決定機関となり、大臣が輪番制で首相職を担った。
2001年

新憲法作成に向けた準備が開始される。
2003年

南部の森林地帯を長年不法占拠していたインドの反政府組織掃討のため、ボランティアによる軍隊が編成され、国王の指揮下で軍事作成が実施された。
2004年

4月、ACD(アジア協力対話)に加盟し、8月にはBIMSTEC(多面的技術経済援助のためのベンガル湾構想)に加盟。
2006年

君主の定年制を掲げる第4代国王の退位が国民に告知され、長男のジクメ・ケサル・ナムギャル・ワンチュクが第5代国王に即位。
2007年

印ブ友好条約を改訂し、外交に関してインドの助言に従うとの条項は撤廃され、ブータンの主権を明らかにした上で、経済協力、教育、保健、文化、スポーツ、科学技術の分野での協力関係の促進を謳った新たな規定が盛り込まれた。「地方電化計画」のため、日本政府より初の円借款が行われる。12月に第一回国家評議会(上院)議員選挙が実施される。
2008年

3月に第一回国民議会(下院)選挙が全国47選挙区で実施される。小選挙区制のもとブータン調和党(DPT)と国民民主党(PDP)が議席を争い、DPTが圧倒的勝利をおさめて政権与党となる。

7月「ブータン王国憲法」発布。

11月には各国首脳を招き、第5代国王の戴冠式が開催される。
2011年

10月に国王がジツェン・ペマと成婚の儀を実施。

11月に国交樹立25周年を記念し夫妻が国賓として日本に招聘される。ブータン政府が提唱する国民総幸福(GNH: Gross National Happiness)の開発理念がOECD諸国でも注目を集め、国連総会で「幸福:開発の全体論的アプローチへ向けて」が採択される。
2013年

第2回国政選挙実施。予備選挙により4党から2党(DPTとPDP)が選抜され、本選挙の結果、PDPが政権与党となる。国連で「国際幸福デー」の設置が決まる。
2017年

6月にインド・ブータン・中国国境が交わるドクラム地域で、中国によるブータン側への国境侵犯が確認され、インド軍が自国のシッキム側からドクラムに進軍。中印両軍が国境を挟んで2ヶ月間睨み合いを続けたが、8月に両軍共に撤退した。
2018年

第3回国政選挙実施。予備選挙では与党PDPが3位となって排除され、本選挙の結果、新顔の共同党(DNT)が政権与党となり、DPTが再び野党となった。
2020年

新型コロナウイルスの感染拡大により、国境や県境を封鎖するロックダウンが頻発し、外国人旅行者の受付も停止される。国外在住ブータン人の帰国のため、政府はチャーター便を準備し、国民の安全な帰国をサポートした。
2022年

9月に外国人旅行者の受け入れを再開し、これ以降の外国人旅行者に対しては、旅費と別に一日200USDのSDF(Sustainable Development Fee)の支払いが義務化された。

書誌情報
宮本万里「ブータン21世紀年表」『《アジア・日本研究 Webマガジン》アジア・マップ』1, BT.3.01(2023年9月15日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/bhutan/timeline/