アジア・マップ Vol.01 | カタル
カタル21世紀年表
堀拔 功二(日本エネルギー経済研究所・主任研究員)
1999年 | |
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3月 | 第1回中央市政評議会選挙を実施。女性も選挙権・被選挙権が認められる |
4月 | ハマド首長が訪日 |
7月 | 1996年のクーデター未遂の首謀者であるハマド・ビン・ジャースィム・ビン・ハマド・アール・サーニー元経済貿易相が逮捕 |
8月 | 日本・カタール航空協定が発効 |
2000年 | |
11月 | カタル政府は在ドーハ・イスラエル通商代表部を閉鎖 |
アジア五輪委員会は2006年アジア大会をドーハで開催することを決定 | |
2001年 | |
1月 | 河野外相が日本国外務大臣として初めてカタルを訪問 |
3月 | 国際司法裁判所はカタル・バハレーンの領土問題について判決。ハワール諸島とジャラーダ島はバハレーンの帰属となった |
7月 | 在留邦人の児童数減少によりドーハ日本人学校が閉校 |
10月 | カタルの衛星放送局アル=ジャズィーラが米国同時多発テロを称賛するオサーマ・ビン・ラーディンの映像を放送 |
11月 | WTOドーハ・ラウンドが開催 |
2002年 | |
4月 | ドーハで反イスラエル・デモが開催され、約1万人が参加 |
7月 | 恒久憲法起草委員会が憲法草案をハマド首長に提出。草案には諮問評議会における選挙導入なども盛り込まれた |
9月 | サウジアラビアはアル=ジャズィーラの放送内容に抗議、駐カタル大使を本国に召還 |
2003年 | |
4月 | 第1回ドーハ・フォーラム会議が開催。同会議は国際社会の対話推進や問題解決に向け、これ以降毎年開催されている |
米国が中央軍司令部をサウジアラビアからカタルへ移転 | |
恒久憲法制定に向けた国民投票が実施 | |
8月 | ジャースィム・ビン・ハマドが皇太子を退任し、タミーム・ビン・ハマドが皇太子に就任 |
2004年 | |
2月 | ドーハでチェチェン共和国のゼリムハン・ヤンダルビエフ元大統領がモスク外で爆殺 |
5月 | アル=ジャズィーラが東京支局を開設 |
新労働法が公布。GCC諸国で初めて労働組合の結成が認められた | |
6月 | 恒久憲法を発布 |
2005年 | |
3月 | カタール航空がドーハ・関西国際空港線に就航 |
カタルは愛知万博に出展 | |
4月 | ノースフィールド・ガス田の新規開発停止(モラトリアム)を発表 |
5月 | ドーハで自爆テロが発生し、英国人1名が死亡 |
6月 | ハマド首長・モウザ首長妃が訪日 |
2006年 | |
1月 | 国連安全保障理事会非常任理事国の任期開始 |
4月 | 日カタール合同経済委員会が発足 |
6月 | 国内初のGTL(Gas to Liquids)プラントが完成 |
12月 | 第15回アジア競技大会がドーハで開催、39種目の競技が行われた |
2007年 | |
5月 | 安倍晋三首相が総理大臣として29年ぶりにカタルを訪問、ハマド首長らと会談 |
7月 | カタルの仲介により、リビアで終身刑判決を受けていたブルガリア人看護師が釈放 |
12月 | 第28回GCC首脳会議がドーハで開催。イランのアフマディネジャード大統領も出席 |
2008年 | |
5月 | レバノン国民対話会議が開催され、政治危機を終結するためのドーハ合意が締結 |
7月 | 包括的な国家開発戦略「カタル国家ビジョン2030」が発表 |
11月 | ドーハにイスラーム美術館が開業 |
12月 | カタルなど11か国によってガス輸出国フォーラム(GECF)が設立、ドーハに本部が設置される |
2009年 | |
1月 | イスラエルによるガザ侵攻を受けて、カタルはイスラエルとの通商関係を断絶 |
4月 | 在留邦人児童の増加を受けてドーハ日本人学校が再開 |
8月 | ロッカビー事件の犯人のリビア人が収監先のスコットランドから釈放。人道的観点からカタル政府が仲介 |
2010年 | |
4月 | カタール航空がドーハ・成田国際空港線を就航 |
5月 | カタル政府系投資ファンドがロンドンにある有名デパートのハロッズを23億ドルで買収 |
12月 | 2022年にサッカーFIFAワールドカップのカタル開催が決定 |
2011年 | |
2月 | 「アラブの春」でカタルはエジプト民衆を支援 |
3月 | カタル軍はリビア制裁に参加し戦闘機を派遣 |
4月 | 東日本大震災を受け、カタルは日本とLNGの400万トン追加供給に合意 |
7月 | カタルの仲介でスーダン政府と反政府勢力がダルフール和平合意文書に調印 |
2012年 | |
5月 | 日本・カタル国交樹立40周年 |
8月 | カタルはエジプト経済支援のために20億ドルを融資 |
ラアス・ガス社がコンピュータ・ウィルスによる攻撃被害。天然ガス生産への影響はなかった | |
11月 | カタル人詩人のムハンマド・アジャミーの詩が首長を侮辱したとして終身刑判決。翌年の控訴審で禁固15年に減刑 |
気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18)がドーハで開催 | |
12月 | カタル国旗の色・デザインが変更 |
2013年 | |
6月 | ターリバーンがドーハに政治事務所を開設 |
ハマド首長が退任、息子のタミーム皇太子へ首長位を移譲 | |
8月 | 安倍晋三首相がカタルを訪問 |
10月 | 労働社会省は外国人労働者に対する国際的な批判を受けて、弁護士事務所に実態調査を依頼 |
2014年 | |
3月 | サウジアラビア、UAE、バハレーンはカタルによる「ムスリム同胞団支援」を理由に駐ドーハ大使を召還 |
4月 | ハマド国際空港が開業。日本の大成建設が建設事業に参加 |
兵役法が施行され、18歳から35歳までの男性に3~4か月間の兵役訓練が課せられる | |
6月 | UAEはカタル人2名を「スパイ」として逮捕 |
9月 | 米・アラブ有志連合軍はシリアにおいて「イスラーム国」空爆作戦を実施、カタルも参加 |
11月 | リヤード補完協定の締結によりサウジ・UAE・バハレーンとの外交対立は解消 |
2015年 | |
2月 | タミーム首長が訪日 |
5月 | 中央市政評議会選挙が実施され、女性候補が初当選 |
10月 | カファーラ(スポンサー)制度の廃止を決定。外国人労働者は転職や出国に際して雇用主の許可は不要に |
12月 | トルコはカタルに軍事基地を設置することを発表 |
2016年 | |
1月 | 在イラン・サウジアラビア外交施設焼き討ち事件を受け、カタルは駐イラン大使を本国へ召還 |
10月 | ハリーファ・ビン・ハマド元首長(在位1972~1995年)が逝去。1995年にハマド皇太子(当時)のクーデターによって退位していた |
12月 | カタル投資庁はスイスのグレンコアとともに、ロシア国営石油企業ロスネフチ株の19.5%を取得 |
2017年 | |
4月 | 2017年 QPは2005年に設定されたノースフィールド・ガス田の新規開発停止(モラトリアム)を解除 |
イラクで狩猟中に地元武装勢力によって拘束されていたカタル人26名が解放 | |
5月 | カタル国営通信がハッキング被害。これをきっかけに周辺国との緊張が高まる |
6月 | サウジアラビア、UAE、バハレーン、エジプトなど中東・アフリカ諸国がカタルと断交・外交関係引き下げ |
8月 | カタルは駐イラン大使を再派遣 |
9月 | ロンドンでカタル反体制派が国際会議を開催 |
2018年 | |
4月 | 米トランプ大統領はサウジアラビアのサルマーン国王と電話会談し、カタル危機の早期終結を要請 |
10月 | カタルとトルコは、シリアで拘束されていた日本人ジャーナリストの解放交渉を支援 |
外国人の永住権取得を定めた法律を施行 | |
2019年 | |
1月 | カタルがOPECから脱退 |
UAEで開催されたサッカーAFCアジア杯で、カタル代表はUAE代表に勝利。この試合で観客からカタル選手に対してブーイングや物を投げ込むなどの問題が発生 | |
タミーム首長が公式事務訪問客として来日。安倍首相と会談が行われ、戦略対話の設置に関する共同宣言が採択 | |
5月 | ドーハ・メトロが開通。日仏企業連合が受注・建設していた |
10月 | タミーム首長が即位礼に参列のため訪日 |
2020年 | |
1月 | 外国人の出国ビザ制度を廃止 |
2月 | 米国・ターリバーンの和平協定の締結をカタルが仲介 |
12月 | クウェートはカタル危機の解決に向けた前進があったことを明らかにした。カタルはクウェートと米国の仲介努力に謝意を示した |
2030年アジア大会のカタル開催が決定 | |
2021年 | |
1月 | ウラー宣言により周辺国による対カタル断交が解除 |
2月 | 日本の千代田化工建設は仏企業と共同でノースフィールド・ガス田の拡張に関するLNGプラント開発事業を受注 |
7~8月 | 東京オリンピックでカタル人選手は3種目で金メダルを2つ、銅メダルを1つ獲得。 |
8月 | アフガニスタンでターリバーンが政権樹立。カタルは同国からの外交官や難民の退避支援や、国際社会との仲介を実施 |
10月 | 諮問評議会選挙 |
12月 | 日本のJERAはカタルとの25年にわたるLNG長期契約を終了 |
2022年 | |
1月 | 米国はカタルを非NATO主要同盟国に指定 |
5月 | 日本・カタル国交樹立50周年 |
タミーム首長がUAEのハリーファ大統領の逝去を受けて同国を弔問 | |
9月 | カタル在住のイスラーム法学者のユースフ・カラダーウィー師(96)が死去 |
タミーム首長は安倍晋三元首相の国葬儀に参列のため訪日 | |
11月 | サッカーFIFAワールドカップ開催。カタル代表はグループステージで敗退 |
12月 | UAEのムハンマド大統領がカタルを訪問。両国の外交的緊張に一区切り |
出所:現地報道、日本国外務省ウェブサイト、Timeline Qatarをもとに作成
書誌情報
堀拔功二「カタル21世紀年表」『アジア・マップ:アジア・日本研究Webマガジン』Vol.1, QA.3.03(2023年3月22日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/qatar/timeline/