アジア・マップ Vol.01 | アラブ首長国連邦
アラブ首長国連邦21世紀年表
堀拔功二(日本エネルギー経済研究所・主任研究員)
1999年 | |
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2月 | カタル・UAE間の天然ガス・パイプライン開発計画「ドルフィン・プロジェクト」が発表 日本UAE協会が日本人2名をUAE大学へ留学派遣 |
11月 | 労働力自国民化推進に向けて人材開発・雇用庁を設立 |
2000年 | |
3月 | UAEと米国は80機のF-16戦闘機購入契約を締結 ドバイ証券取引所がオープン |
8月 | ザーイド大統領が米国で腎臓移植手術 |
2001年 | |
1月 | フリーゾーン「ドバイ・メディア・シティ」が開設、国際報道機関の支局誘致が始まる |
9月 | 米国同時多発テロ事件。実行犯のうち2名がUAE人 UAEはターリバーン政権との外交関係を破棄 |
11月 | 政府は62の組織・個人の資産米国へのテロ資金拠出の疑いで凍結 |
2002年 | |
6月 | UAE・オマーン間の北部国境の確定に合意 |
10月 | エミレーツ航空が大阪に就航 |
2003年 | |
6月 | ラアス・アル=ハイマ皇太子解任事件 |
9月 | 第58回国際通貨基金・世界銀行年次総会がドバイで開催 |
11月 | アブダビのムハンマド・ビン・ザーイドが副皇太子に任命 エティハド航空が運航開始、ベイルートに就航 |
2004年 | |
9月 | ドバイ国際金融センター(DIFC)が設立、営業開始へ |
8月 | ドバイ首長家のアフマド・ビン・ムハンマドがアテネ五輪男子クレー射撃ダブルトラップ競技に出場し、UAE史上初の金メダルを獲得 |
11月 | 内閣改造でルブナー・カースィミーが経済・計画相に任命。国内初の女性閣僚が誕生 ザーイド大統領が逝去。後任として息子のハリーファが新大統領に就任。日本から川口順子元外相が総理特使として弔問 |
12月 | ムハンマド・アブダビ皇太子がアブダビ執行評議会議長に就任 |
2005年 | |
1月 | ムハンマド・アブダビ皇太子が連邦軍副最高司令官に就任 |
8月 | アブダビで外国人の不動産所有を認める法律が公布 |
11月 | 日本UAE協会元会長の中山素平氏が死去 |
12月 | ハリーファ大統領が2006年に議会選挙の実施を発表 |
2006年 | |
1月 | ドバイのマクトゥーム・ビン・ラーシド首長が逝去。皇太子のムハンマド・ビン・ラーシドが新首長、連邦副大統領、首相に就任。第1次ムハンマド内閣発足 |
3月 | ドバイで外国人の不動産所有を認める法律が公布 ドバイのブルジュ・ドバイなど複数の建設現場で待遇改善を求める外国人労働者による抗議活動が発生 |
9月 | 休日を「木・金」から「金・土」へ変更。国際ビジネス環境の整備が目的 |
12月 | 第1回連邦国民評議会選挙が実施、4,883人が投票 |
この年より、アブダビ日本人学校附属幼稚園にUAE人幼児2名が入園 | |
2007年 | |
1月 | フジャイラ首長家のムハンマド・ビン・ハマドが皇太子に就任 再生可能エネルギー研究機関Masdar Instituteをアブダビに設立 |
4月 | 安倍晋三首相が日本国首相として29年ぶりにUAEを訪問 |
7月 | ドルフィン・パイプラインが開通し、カタルからの天然ガス輸入が開始 |
12月 | ムハンマド・アブダビ皇太子が来日 |
2008年 | |
2月 | ドバイのムハンマド首長は息子のハムダーンをドバイ皇太子に、マクトゥームを副首長に任命 |
4月 | 米国との間に原子力の平和的利用に関するMoUを締結 |
9月 | UAEは同国初となる女性大使を2名任命 |
11月 | 世界最大のショッピングモール「ドバイ・モール」が営業開始。日本の紀伊国屋書店もオープン ドバイが世界金融危機の影響を受け苦境に。800億ドルの負債を公表 |
12月 | 憲法の一部が改正、議会議員の任期が延長 |
2009年 | |
1月 | ウンム・アル=クワインのラーシド・ムアッラー首長が逝去。息子のサウード皇太子が新首長に就任 UAEと米国は原子力協力協定(123合意)を締結 |
5月 | GCC通貨統合計画からUAEが撤退 フランスがアブダビに軍事基地を開設 |
6月 | 国際再生可能エネルギー機関は本部をアブダビに置くことを決定 |
9月 | ドバイ・メトロが開業。日本からは三菱商事、三菱重工、大林組、鹿島建設がプロジェクトに参加 |
12月 | アブダビに建設予定の原子力発電所は韓国企業連合が受注 |
2010年 | |
1月 | 世界最高層ビル「ブルジュ・ハリーファ」開業 ハマース幹部がドバイの高級ホテルでイスラエル諜報機関により暗殺 |
2月,3月 | エディハド航空が日本の中部国際空港(2月)と成田国際空港(3月)に就航 |
7月 | アブダビを出港した商船三井運航のタンカーがホルムズ海峡で被弾 |
10月 | ラアス・アル=ハイマのサクル・カースィミー首長が逝去。息子のサウード皇太子が新首長に就任 |
2011年 | |
1月 | オマーンでUAEのスパイ組織が摘発 |
2月 | 日本のアブダビ石油が石油権益の更新に成功 |
3月 | 政治改革派が建白書を大統領へ提出 UAE軍がリビアでの国際軍事作戦に参加 |
4月,11月 | 政治改革派5名が逮捕(4月)、裁判で禁固刑判決も恩赦で釈放(11月) |
9月 | 第2回連邦国民評議会選挙が実施、女性候補も1名当選 |
12月 | ムスリム同胞団系組織「イスラーハ」関係者が摘発。これ以降、2014年ごろまで大規模摘発が続く |
2012年 | |
3月 | 米国とドイツ系シンクタンクのUAE事務所が当局によって閉鎖 |
4月 | イラン大統領がアブームーサー島を訪問しUAEが抗議、駐イラン大使を召還 政治改革を求めたラアス・アル=ハイマ首長家関係者が拘束 |
7月 | ホルムズ海峡を迂回するハブシャーン・パイプラインが運用開始 |
11月 | サイバー犯罪法が成立、インターネット上での言論統制が強化 |
12月 | 米国RAND研究所アブダビ事務所が当局によって閉鎖 |
2013年 | |
3月 | 第5次ムハンマド内閣発足と省庁改編の実施 |
5月 | 安倍首相がUAEを訪問。「安定と繁栄に向けた日 UAE 間の包括的パートナーシップの強化に関する共同声明」を発出 |
7月 | 政府転覆を企てたとしてイスラーハ関係者69名に禁固刑判決 |
11月 | 2020年万博のドバイ開催が決定 |
2014年 | |
1月 | ハリーファ大統領が脳卒中で倒れ、これ以降政治の表舞台から退く |
3月 | UAE、サウジアラビア、バハレーンがカタルの「内政干渉」に抗議して大使を本国へ召還 |
6月 | 18~30歳の男性を対象とした徴兵制が導入 |
7月 | UAEは火星探査機打ち上げ計画を発表 |
9月 | UAE軍は米国・アラブ有志連合軍とシリアでの対IS空爆作戦に参加 |
12月 | 日UAE租税条約が発効 |
2015年 | |
3月 | UAE軍がイエメン内戦に介入。2019年の撤退までに数百名のUAE人兵士が戦死 |
4月 | UAEが中国主導のアジア・インフラ投資銀行への参加を表明 |
7月 | ヘイトクライム・人種差別禁止法が交付 |
8月 | ガソリン補助金を廃止 |
10月 | 第3回連邦国民評議会選挙が実施 |
12月 | サウジ主導のイスラーム諸国対テロ軍事連合へ参加 |
2016年 | |
1月 | 在イラン・サウジ外交施設襲撃事件を受けて、UAEはイランとの外交関係を格下げ |
2月 | 大規模な省庁再編を実施され、第6次ムハンマド内閣が発足。寛容担当国務相などの新ポスト設置や女性のシャンマ・マズルーイー(当時22歳)入閣が注目 |
7月 | 公教育のカリキュラムに道徳教育の導入を決定 |
11月 | アブダビに殉教者慰霊施設が完成 |
2017年 | |
1月 | 「UAEエネルギー戦略2050」が発表、電源構成に占めるクリーン・エネルギーを44%に引き上げる計画 |
3月 | 建国100周年に向けた国家長期戦略「UAEセンテニアル2071」が発表 |
6月 | カタルと路線対立により断交、同国を経済封鎖する |
8月 | タレントの滝沢秀明氏が日本UAE親善大使に任命 |
10月 | 第7次ムハンマド内閣発足、人工知能や食糧安全保障担当など複数の国務相ポストが新設 |
11月 | ルーヴル・アブダビ美術館が開業 |
2018年 | |
1月 | 建国の父である故ザーイド大統領の生誕100周年を記念して2018年は「ザーイドの年」と設定 5%の付加価値税(VAT)が導入、税収の70%は地方財政に組み込まれる |
4月 | 日本の安倍晋三首相がUAEを訪問、日UAE投資保護協定が締結 |
11月 | 投資家・起業家・高度人材に対する長期居住ビザ制度を導入へ |
12月 | 連邦国民評議会の議員定数の半数を女性と定める |
2019年 | |
2月 | ローマ法王がUAEを訪問、アブダビで大規模ミサを開催 |
5月 | フジャイラ沖で4隻の民間船舶が妨害攻撃を受ける |
9月 | ハッザーア・マンスーリーがUAE人初の宇宙飛行士として国際宇宙ステーションに到着 |
10月 | 第4回連邦国民評議会選挙が実施 ハッザーア・ビン・ザーイドが即位礼正殿の儀に参列のため来日 |
11月 | 政府は2,500名の科学者、研究者、投資家に永住権を付与 |
2020年 | |
1月 | 日本の安倍晋三首相がUAEを訪問 中東で初の新型コロナウイルス感染者を確認。これ以降、国内は厳戒態勢に |
7月 | 大規模な行政機構改革の実施と第8次ムハンマド内閣の発足 UAE製の火星探査機「アル=アマル」が種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げに成功 |
9月 | アブラハム合意締結によりイスラエルと国交正常化 |
12月 | アブダビの最高石油評議会は最高財務経済評議会へ改組 |
2021年 | |
9月 | ウラー宣言により対カタル断交解除 市民権法を改正し、外国人投資家や科学者などの帰化を容認 |
1~2月 | UAEとイスラエルはそれぞれ大使を任命 |
4月 | アブダビのバッラーカ原発1号機が商業運電を開始 |
9月 | 新国家戦略「次の50年プロジェクト」「政策10原則」が発表 第9次ムハンマド内閣が発足 |
10月 | ドバイ万博が予定より一年遅れで開幕 2050年までのカーボンニュートラル計画を発表 |
12月 | UAEは建国50周年を迎える |
2022年 | |
1月 | 国連安全保障理事会非常任理事国に就任 財務省は2023年7月から法人税を導入することを発表 イエメン武装勢力のフーシー派がアブダビに弾道ミサイル・ドローン攻撃を実施、複数人の死傷者が発生 |
3月 | ドバイ万博が閉幕、約2400万人が来場 |
5月 | 日本・UAE国交樹立50周年記念 ハリーファ大統領逝去。後任としてムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子が新大統領に就任 |
12月 | ムハンマド大統領がカタルを訪問、両国の関係改善に一区切り |
書誌情報
堀拔功二「アラブ首長国連邦21世紀年表」『アジア・マップ:アジア・日本研究Webマガジン』Vol.1, AE.3.02 (2023年3月22日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/uae/timeline/