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2023.07.21

【レポート】 第57回AJI研究最前線セミナーを開催しました!Dr.李遊: “Graphical Decomposition Model to Estimate Hourly Global Solar Radiation Considering Weather Stochasticity”

 7月18日(火)、第57回AJI研究最前線セミナーをオンラインで開催しました。今回は、Dr.李遊(立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が“Graphical Decomposition Model to Estimate Hourly Global Solar Radiation Considering Weather Stochasticity”と題する発表を行いました。発表は、Dr.李の研究チームが隔週発行の科学雑誌Journal, Energy Conversion and Managementに最近発表した論文に基づいて行われました。この論文は、太陽熱の放射の測定精度を高めるための新しいモデルを提示するものです。太陽光エネルギーは、気候変動を防止する代替策として、太陽光を利用した海水淡水化装置、建物の冷暖房、農業や生物学の分野など様々な分野で利用されるようになってきています。Dr.李は、発表において、気象データ (太陽放射を含む))のクラスタリング、回帰分析、分類、および識別によって実現できる太陽熱の日射パターンに基づくグラフィカルな日射分解モデルを提案した。

 Dr.李が属する研究チームは、一般的に使用されているモデルと比較して8.3%高い精度で1時間ごとの全天日射の信頼できる予測を可能にするシステムの開発に成功したことを報告しました。また、研究を通じて、天気、雲量、日照時間は太陽放射量の日ごとの変化パターンに時間的な整合性があることも明らかになりました。一般的なクラスタリング手法を用いると、太陽放射の季節ごとの特徴を確定することは困難だったところに、Dr.李の研究は、太陽放射の幾何学的な特徴を取り除く新しい方法を提示しています。彼の研究チームの方法を使うことで、太陽光発電システムの新しい施設の場所や季節ごとにその特性を容易に評価できるため、新しい製品やサービスを開発することが期待できます。

 Dr.李は、この技術的なテーマについて、非専門家でもその研究プロジェクトを理解しやすいように明快に説明しました。以上の興味深い発表に続き、太陽放射と実際のエネルギー生産の関係や、高度な蓄電方法の開発による暗闇や悪天候の問題の克服について、活発な質疑応答が行われました。たとえば、人工知能(AI)について議論が及んだとき、Dr.李は、AIは類似した太陽放射に関する解を導き出すかもしれないが、それに関わったプロセスの正確な説明を提供することはできないと説明しました。Dr.李の発表を通じて、研究最前線セミナーの参加者の間で有益な知見を共有することができる回となりました。

57th報告写真
発表を行うDr.李遊

過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/