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2024.07.02

【レポート】第68回AJI研究最前線セミナー開催! Dr. ユシ・ウィダラヘスティ:“Gatekeepers in Labor Migration to Japan: Preliminary Studies on Southeast Asian Cases”

6月11日(火)、第68回AJI研究最前線セミナーをオンラインで開催しました。今回は、Dr.ユシ・ウィダラヘスティ(立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が“Gatekeepers in Labor Migration to Japan: Preliminary Studies on Southeast Asian Cases”と題して発表を行いました。

最初に、Dr.ウィダラヘスティは、日本が深刻な労働力不足を補うために東南アジア諸国からの移民労働者に頼っている現状を説明しました。この背景のもとに、インドネシア、ベトナム、フィリピンに焦点を当て、技能実習制度(TITP)や特定技能制度(SSW)において労働者の募集・育成・監督を行う管理者(gatekeepers)の役割について調査し、労働者を管理するメカニズムを明らかにする発表を行いました。東南アジア諸国でもそうした管理方法に違いがあります。たとえば、一方で、インドネシアとベトナムからの研修生は、高い受講料を支払うことに加え、厳しい選考プロセスと長期にわたる厳しい研修プログラムを受講しなければならなりませんが、他方で、フィリピンからの研修生の場合は、日本語と日本文化について簡単に学ぶにとどまり、受講料はゼロであるなどの各国の管理体制に違いが見られます。

ただし、彼女の研究では、以上の管理体制の違いにもかかわらず、調査からベトナムとインドネシアの仲介業者は規制を厳格に遵守せず、フィリピンの仲介業者の多くが倫理規則に基づいた採用活動を行っているという逆説的な結果も浮き彫りになりました。また、日本のTITP は、労働法違反で欧米から批判されていますが、東南アジア諸国は概して日本に好意的な印象を持っているという点も示されました。近年では、インドネシアとベトナムのTITPプログラムへの新たなコミットメント、特定技能 (SSW) プログラムへのベトナムと日本の署名(2019年)、フィリピンが大阪に開設した海外雇用プログラムのための特別窓口など、理想的なプログラムを確保するために、3カ国は協力関係を競って結んでいる現状があります。

質疑応答では、日本での移民労働者が直面している問題や、移民労働者が直面している問題にどのように対処しているのか、移民前研修の詳細についての質問が参加者から投げかけられ、活発な議論が共有されました。

発表を行うDr. ユシ・ウィダラヘスティ
発表を行うDr. ユシ・ウィダラヘスティ

過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/