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2025.01.08
【レポート】第74回AJI研究最前線セミナー開催!:Sarma Jonali, “Leveraging the Synergy of Scientific Technology and Agronomic Practices: Exploring the Possibility of Enhancing Community Development in India”
2024年12月10日(火)、第74回AJI研究最前線セミナーをオンラインで開催しました。今回は、Sarma Jonali氏(立命館大学大学院国際関係学研究科博士課程後期課程)が“Leveraging the Synergy of Scientific Technology and Agronomic Practices: Exploring the Possibility of Enhancing Community Development in India”と題して発表を行いました。
はじめに、Sarma Jonali氏は、人口が急速に増加するインドにとって、食料安全保障は極めて重要な課題である中で、先端技術が農業生産性の驚異的な成長につながる重要な役割を果たしていると説明しました。インドにおける農業は、モンスーンや気温変動などの気候条件、熱波や干ばつ、地球温暖化の影響などに大きく左右されます。しかし、従来の農法と米や小麦などの主食作物への依存度が高いため、インドの農業部門は病害虫や市場の変動に対して脆弱であるという問題に直面してきました。彼女は、特に土壌の健康を維持するために作物を多様化することによって、過酷な条件下での収量を増加させるために、気候に対して強い農業のあり方を農民に教示することができることを提案し、さらに、政府の介入が農業収量を増加させるために有益であることを示唆しました。発表のなかで、Sarma氏は、マハーラーシュトラ州の例を挙げ、政府の支援により、衛星技術を用いた精密農業が、水不足や干ばつのような状況にある地域で、水資源の利用と効率的な作付を改善し、農民の収量を増やすことを可能にした事例を紹介しました。同地域における農家は、生産性を高めるために、畑で作業しながらモバイル技術や各種のデジタル・プラットフォームを利用することができます。
くわえて、彼女は、農村部の貧困、教育の欠如、変化に対する抵抗を克服する必要があると議論し、農村部のコミュニティに力を与えるために新しい技能を提供し、アグリビジネスの機会を促進することの重要性を強調しました。また、彼女は、この目的のために、農村農業の発展を目的とした政府機関、非営利団体、自助グループの間の関係を構築するための地域コミュニティ開発センターの設立が必要であることも指摘しました。彼女は、持続可能性が開発を実現する鍵となるため、農村部の農家が近代技術の適用やアグリビジネス地域の創設などのイニシアティブから得られた前向きな成果を認識していくべきであることも強調しました。
Jonali氏の興味深いプレゼンテーションに続き、Q&Aが行われました。参加者は、インド農村部の現場の実情や、農村部でこのような先端的な農業技術を採用することに対する農民の抵抗について活発に議論しました。議論を通じて、インドは、農民の教育を支援し、農民に奨励するための補助金を提供しながら、農民が集団を通じて協力することを奨励できる制度を構築すべきである点について参加者との間で共有されました。インドの人口増加は持続可能な食糧供給に依存するため、今後もSarma氏の研究はより重要な研究テーマとなっていくでしょう。
発表を行う Sarma Jonali 氏
過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/