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2026.07.22
【Report】第91回AJI研究最前線セミナー開催! Dr. 連傑濤「中国の共同養育家庭における食事場面での養育実践:子どもの食行動・BMI・社会情緒的発達との関連」
7月14日(火)、第91回AJI研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr. 連傑濤(立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が「中国の共同養育家庭における食事場面での養育実践:子どもの食行動・BMI・社会情緒的発達との関連」と題する発表を行いました。
本報告は、養育者が「問題」とみなす子どもの食事行動が、はたして発達上のリスクを意味するのかを問うものです。連氏は、食事場面を単なる栄養摂取の場としてではなく、自律性やルールの形成、情緒の調整といった発達の諸側面が日常的に立ち現れる場面として捉えます。とりわけ中国では祖父母が幼児の養育に関わることが一般的ですが、その関与をめぐる先行研究の知見は肯定・否定の両面に分かれてきましたが、本研究では「祖父母がいるかどうか」ではなく、食卓で誰がどのように子どもの行動に関わるかに着目しています。
調査は、上海市の協力幼稚園に通う3〜6歳児とその主たる養育者を対象に行われ、有効回答は619件でした。食事場面で主に食事を管理する人物にもとづいて対象を親主導群と祖父母主導群に分類したうえで、両群を比較しています。肥満度の指標であるBMIは中国国家衛生健康委員会の基準(2023年)により子どもの性別・年齢別に評価し、食事行動と食事上の「問題」行動は養育者の報告から、社会情緒的能力はDECA(Devereux Early Childhood Assessment)乳幼児版を用いてアタッチメント・主体性・自己調整の三つの側面から測定しました。
分析の結果、食事の管理者の違いは、BMIや過体重のリスクとは有意に関連しませんでしたが、祖父母主導群では、食事時の自立性の弱さや偏食、食事中の遊び・動画視聴・食べこぼしといった食事行動上の問題が相対的に多くみられました。また、養育者がしばしば案じる「食べるのが遅い」ことは、本研究では過体重リスクを示さず、むしろ子どもが自分で食べる能力こそが、社会情緒的能力の三つの側面すべてと安定して関連しており、食事の管理者そのものは、社会情緒的能力を直接には予測しなくなりました。
これらの知見から連氏は、支援において重視すべきは「誰が食事を管理するか」よりも、子どもが自分で食べる能力をどう育むかであると論じ、「遅さ」を一方的に否定的に評価せず、子どもの探究心や満腹のサインを尊重する関わりの重要性を指摘しました。あわせて、本研究が横断的な養育者報告にもとづく点をふまえ、今後の課題として、縦断的な検討や食事場面の観察、複数の報告者による多面的な把握の必要性が挙げられました。
報告後には、参加者との間で活発な質疑応答が行われ、測定や調査設計をめぐる方法論的な論点を中心に、今後の研究の展開に資する建設的な意見交換がなされました。
過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/