所長室から

今年もよろしくお願い申し上げます

明けましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 2020年は、コロナ状況に直面して、たいへんなこともいろいろありました(今も続いています)が、皆さまから応援とご支援をいただいて、本研究所も「ウィズコロナ状況」に対応しながら、活発に活動することができました。厚く御礼申し上げます。

  昨年をふりかえると、たくさんのことがありました。特筆すべきことは、『立命館アジア・日本研究学術年報』の創刊かと思います。一昨年は、所内で「ジャーナル」と「ブレティン」と通称している『Journal of the Asia-Japan Research Institute of Ritsumeikan University』と『Asia-Japan Research Academic Bulletin』という英文2誌を創刊しましたが、それに加えて、和文の『学術年報』を刊行できたことは、とても嬉しいことでした。

 本研究所はグローバル化の推進、研究成果の国際的な発進に力を入れていますが、国際化に努めるためには、それを支えてくださる日本国内の社会的なサポートが欠かせません。その意味で、和文の『学術年報』の創刊にはグローバル化の営為をお知らせする面があり、大きく見ればグローバル化を推進する方途の1つと言えます。
この『学術年報』の1つの目玉は、書評欄で積極的に学内の先生方の著書、編著、訳書をとりあげたことです。目次にずらっと書名が並んでみると、立命館大学の中でアジア・日本研究のさまざまな成果が生まれていることが実感されます。これは、とても勇気づけられることでした。
学術誌の刊行体制としては、英文2誌、和文1誌が出揃い、しっかりした形になってきたかと存じます。少ない人数で、これだけの定期刊行物を維持するには、編集にたずさわる現場の努力もかかせません。スタッフには、おおいに感謝しています。皆さまも、是非ご声援ください。また、この3誌は皆さまの発表の場として皆さまのご投稿をいつでもお待ちしていますので、是非、ご活用ください。
Withコロナ状況への対応としては、学内の「With コロナ社会 提案公募研究プログラム -Visionaries for the New Normal-2020」に研究所として応募して、「Withコロナ時代のアジア研究を先導する《拡張現実》の活用と情報可視化の手法開発」というプロジェクトが採択されました(昨年9月)。このプロジェクトを今、鋭意推進しているところです。遠からぬうちに、成果の一部をご覧に入れたいと思っております。

 若手研究者育成もおおいに展開することができました。若手の皆さんが企画する国際研究集会は、コロナ状況で海外との行き来ができない中、オンライン開催の形で活発に進められています。
Withコロナ時代への若手の対応として、大きな目玉は、「研究者エッセイ」の連載をおこなったことでした。アジア・日本研究は、アジアの現場に出かける「フィールド・サイエンス」の側面を持っていますが、それができない中、若い皆さんが自分たちの研究について、どんなことを考えながら頑張っているのか、その一端を著したエッセイ・シリーズを是非お読み下さい。

 今年の抱負と予定を申し上げます。まず何よりも、立命館アジア・日本研究機構とアジア・日本研究所の5つのミッションのうち、特に若手育成について新しいプログラムを開始いたします。これは「大学院連携次世代研究者育成プログラム」と名づけられました。次世代を担う若手を「専門研究員」として雇用し、自ら「キャリアパス形成力」を付けていただくという、野心的なプログラムです。4月1日スタートをめざして、公募を開始しましたので、是非、詳細をご覧ください。私もYouTubeの動画クリップを作って、趣旨をお話申し上げています。 学内の大学院と連携して、そこを修了した若手を次世代研究者として育成するという構想は、言うまでもなく、アジア・日本研究の分野だけに限られるべきものではありません。アジア・日本研究機構・研究所は全学的な機構であり研究所ですので、全学的であるべき構想に先鞭を付けようと手を上げました。このような試みがうまく軌道に乗って、次第に全学に広がっていくことを願っています。
4月からアジア・日本研究の「第2期」に入りますので、若手育成だけではなく、他のミッションについても、いろいろな構想を実現しようとしております。
今、「第2期」と申し上げたのは、全学では研究高度化の第4期にあたりますが、立命館アジア・日本研究機構とアジア・日本研究所は2015年12月に設立されましたので、ちょうど5年が過ぎたばかりです。これから、第2の5年間に入るところです。
満5周年を記念して、2月下旬には、5周年記念シンポジウムを開催いたします。オンライン国際シンポジウムで、いろいろな国から参加を得ますので、時差のためにセッションを分散しての開催となります。詳細については後ほどお知らせいたしますが、4つのセッションを組んで、アジア・日本研究の成果の一部をご覧に入れ、また今後の展望について語り合いたいと存じます。ご来場(オンラインで)をお待ちしています。

本年も、どうぞご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

アジア・日本研究所所長 小杉 泰
(2021.1.1記)