先輩からのメッセージ

CASE 13

新たな自分に出会うことを
恐れずに
たくさんのことに
挑戦してみてください

PROFILE

今 日和 さん Hiyori Kon

今 日和 さん

アイシン精機株式会社
2019年度 国際関係学部卒業

自宅/ 下宿
下宿
出身高校
青森県立鰺ケ沢高等学校
出身地
青森県
クラブ
相撲部
主な活動実績
2019年 第14回世界女子相撲選手権大会 無差別級準優勝
2018年 第13回世界女子相撲選手権大会 無差別級準優勝
イギリス公共放送BBCの「2019年の女性100人」(The BBC's 100 Women of 2019)に選出

これから入学前準備に入る高校生に向けたアドバイス

これまでに、勉強や部活動等に打ち込んだ経験がある皆さんなら、「影の努力」の大切さについて身をもって実感しているのではないかと思います。日の当たらない部分での努力が、晴れの舞台で自分を輝かせてくれます。皆さんは並々ならぬ努力ができることを評価されています。それを入学までの期間で課外活動だけでなく、正課やそれ以外のあらゆることに対しても習慣づけられたら、満足度の高い大学生活を送れると思います。今までの人生で学んだことに誇りを持ち、そして、新たな自分に出会うことを恐れずにたくさんのことに挑戦してみてください。

高校3年生~現在において、
最も成長できた点、やりとげた点

  • 正課
  • 課外
  • キャリア形成上

様々な視点からの意見を取り入れた自分なりの意見を持つ力がつきました。
かつての私は、正解を求めることに重点を置いていましたが、現実では正解のない問いというものがごまんとあり、私が人生を通してやり遂げたいことも、同様と気づきました。正解のない問いであるため、様々な視点からの様々な意見があり、どれも間違いではない中、先入観や固定概念を取り除いた自分なりの論理的な意見を持つことはとても難しいことです。正直に言って、私はこの点においてやり遂げられたとは思えませんが、異なる他者を尊重することが学問でも大事と分かっただけでも大きな収穫です。

自分の思いを他者に伝える力がつきました。
幼いころからアマチュア相撲の海外への普及に興味がありましたが、高校生の時は競技引退後に余暇として相撲を教えようと考えていました。なぜなら、現役中は選手としての強化に専念するべきという固定概念があったためです。しかし、立命館大学の「学生アスリート」に対する「選手としての成長」というよりも「人としての成長」を応援する姿勢に考えを改め、ラオスで相撲教室を開催し、また、ドキュメンタリー映画の密着にも前向きに取り組めました。協力を仰ぐためには自分の思いに共感していただかなければならず、決してうまくいくことばかりではありませんでしたが、結果的にたくさんの方のサポートにより、全うすることができました。

※女子相撲選手として世界一を目指す今さんと相撲界の「見えない壁」に迫ったドキュメンタリー短編映画「Little Miss Sumo」(邦題: 相撲人、制作: 2018 年、監督: マット・ケイ、2019 年マンチェスター国際映画祭最優秀作品賞受賞)

未来を見つめ、主体的に行動する力がつきました。
先述の通り、私は海外で相撲を教えて生きていこうと漠然と考えていましたが、かつての私が思っていたほど、国際協力の分野も甘くはなく、また、競技者として生活していくのもアマチュア相撲がマイナースポーツであるため、困難でした。そこで、私はまず初心に戻り、なぜアマチュア相撲を発展させたいのか、どのように発展させたいのか、発展させて最終的にどんな世界を目指すのかを考え、私なりの答えを出しました。そして当たって砕けろ精神で様々な企業の方に私の思いを伝えました。
その結果、現在はアイシン精機株式会社で働きながら競技を続けています。私はいわゆる一般的な就活はしていないのですが、正課も課外も100%で取り組んできた私なりのキャリアを進み始めています。

生活の軌跡

TURNING POINT

正課
大学一、二回生のときは国際関係学のベースとなることを幅広く学びましたが、中には私にとって関心を持ちにくい分野もありました。その際は、課題やテスト勉強の計画を立てて遂行するという計画性と実行力の練習と割り切るようにしました。自分で決めた計画をやり切ることを意識し、乗り切りました。
課外
大学一回生のときはなかなか稽古に集中できず、その状況で試合に臨んでも結果が出るわけもなく、ボロボロでした。しかし、意識の高い先輩や同期のおかげで、再起を決意することができました。

所属学部を選んだ理由と実際に学んで分かった魅力

海外で相撲を教えたい=国際関係学部、と短絡的に考えて入学しましたが、結果としてその直感は大当たりでした。当時の私を褒めたいです。
海外で相撲を教えるなら、それが現地の人にとって異文化の押し付けとなってしまっては元も子もないので、国際関係学部という異文化を尊重する風潮のある環境で、異文化理解について学んだことは私にとって自信になっています。また、実際に世界を舞台に活躍している教授ばかりなので、その人脈というのは計り知れないほどです。世の中、自分の力だけでどうにかなることばかりではないので、強い味方になる友だち、先輩、先生がたくさんいる国際関係学部はとても良い学部だと思いました。

正課と課外を両立するために心がけていたこと、
努力や工夫

  • 個人で工夫/努力/心がけていたこと
  • 友人に協力してもらったこと
  • 教職員に協力してもらったこと

私は、とても幸運なことに、相撲で知りえたことが授業で活き、授業で知りえたことが相撲に活きるのを実感していたのでモチベーションに困ることはほとんどありませんでした。ただ、日々の課題をする時間を多く取れず試合とテスト期間が重なることもよくあったので、その際は計画を立てることを意識していました。夜10時に稽古から帰宅した後ではどうしても課題に向き合う体力が残っていなかったので、早く寝て朝に課題をするようにしていました。定期試験については、レポートの課題が発表されたらすぐ取り掛かるようにし、定期試験期間に入るときには筆記試験に集中できるようにしていました。テスト期間中に試合があるときは、テスト勉強のリフレッシュのために稽古に行く感覚でした。逆算して計画することで、テスト期間に入る前にはしっかり自分の相撲を調整し、テスト期間中の稽古は無心でできるようにしていました。いま考えると、とてもメリハリがあったように思います。

自分で選んで入った国際関係学部でしたが、授業の内容が難しいと感じることが多く、授業後に自分の脳内を整理して再考しないといけない場面で友人に助けてもらいました。とても優秀な友人が多かったので、特に定期試験期間中などは勉強合宿のようにひたすら一緒に議論しながら、考えをそれぞれにまとめていき、乗り越えました。正課と課外を両立させるためにはまず、日々の安定した生活が必要だと思いますが、慣れない京都での一人暮らしについても友人は助言をくれました。面倒見が良い友人がいたので、大学生活が充実していたのだと思います。

私はSSPのピア・サポーターを2回生の秋学期からしていました。ピア・サポーターという立場での貢献はほとんどしていませんでしたが、SSPのプログラムで知りえたTO DOリストの作り方や1週間のスケジュールを落とし込んだものは自分の正課と課外の両立のために活用していました。それまでは計画性について自分の感覚に頼っていた部分が多かったのですが、SSPのツールを使って見える化したら、正課と課外の両立ができている理想の自分が見えてきました。両立は決して簡単なことではないのですが、決して不可能なことでもないと分かってからは、前向きに努力できたと思います。

大学の正課・課外それぞれを通じて学んだこと

  • 正課
  • 課外

異文化理解を学びました。
高校生のときは、「将来、海外で相撲を教えるために必要なもの」を学びたいと漠然と考えていましたが、私の場合は「異文化理解」を学んでから、子どもに相撲を教えたいと思っていたのだと在学中に気づきました。私の教える相撲が文化の押し付けにならずに、相互理解や人材育成のツールになってほしいと考え、そのための方法を自分なりに考えられました。異文化理解に大切なのは、他を尊重することで、これは相撲も同じでしたので、一気に関心が高くなったのを覚えています。

相撲を通してリアルな国際関係を学びました。
稽古や試合などのほかに、国際相撲連盟の選手委員、ラオス相撲教室、タイ合宿、ドキュメンタリー映画など、たくさんのことを経験できましたが、常に考えさせられました。「文化って?スポーツって?相撲って?私って?」とアイデンティティについて考えることもあり、それだけ異文化が交わる環境に身を置いていたのだと思います。そして、それぞれに考えが違う人たちと、相撲を通じ世界中の人のためになるように協力していくわけですが、やはりスムーズにいくことばかりではありませんでした。今でも、苦い思い出の方が印象に残っていますが、それも含めて相撲からたくさん学べました。

※女子相撲選手として世界一を目指す今さんと相撲界の「見えない壁」に迫ったドキュメンタリー短編映画「Little Miss Sumo」(邦題: 相撲人、制作: 2018 年、監督: マット・ケイ、2019 年マンチェスター国際映画祭最優秀作品賞受賞)

高校時代、大学時代に意識しやり遂げたこと、
やっておいて良かったこと、やっておけば良かったこと

意識しやり遂げたこと やっておいて良かったこと やっておけば良かったこと
高校時代 現状に満足せず、上を見る、広く見ること 早寝早起き、朝に勉強をする習慣づけ 料理
大学時代 自分の可能性を自ら閉じないこと イベントや合宿の主催 Excelの勉強、論理的思考の勉強

将来の目標

私は、「機会の不平等がなく、誰もが自分の持っているポテンシャルを十二分に発揮し、人生を楽しむ」、そのような世界が理想です。貧困の連鎖が続く社会や強い固定概念のある社会で埋もれていく才能を見るのは忍びないです。子どもは皆生まれながらにして天才だと思いますが、私は彼ら彼女らに相撲という一つのツールを紹介するのが、私が世のため人のためにできることでもあり相撲という競技に対してできる恩返しだとも思っています。偶然にも相撲は、体一つでできるスポーツで、お金もかけずに楽しめます。そうでなくても、私には相撲しかありませんが、世界中の子どもに相撲を教えるのが将来の目標です。私がそうであったように、彼ら彼女らの人生が相撲を通じて拓かれていくといいなと思います。
そのためには相撲という競技の国際的な発展が必要です。具体的にはオリンピック競技を目指していますが、私は競技者として世界一になり、そしてそう遠くない将来、国際相撲連盟の理事として相撲を引っ張っていきたいと考えています。

今の仕事(内定先)を選んだ理由

アイシン精機株式会社でなら、上記の目標を達成できる人物になれると考えたからです。私は、競技者としても人としても実力不足だと思ったため、どちらの点でも成長するための最適な環境を探していました。実は自動車産業は電動化、自動化、コネクテッド、シェアリングなどの新しい技術、価値によって「100年に一度の大変革期」を迎えています。そういった環境で、会社と人は、改革を余儀なくされます。このピンチをチャンスに変えて更なる国際競争力をつけていこうとする会社で私は共に成長していきたいと考え、入社しました。アイシン精機相撲部にも入部し、私が初の女子選手なので手探り状態になるときもありますが、世界一になり、相撲界を引っ張っていき、社会に貢献できる人となるよう、仕事と相撲に励んでいます。

大学で大変だった時期を、どう乗り越え、
その経験が現在の仕事/自分にどう役立っているか。

大学4回生のときに、ラオス相撲教室の主催、日本代表クラスの選手を立命に呼んでの合宿の主催、映画祭への参加など、やりたいことを全部しようとしたら、時期がまとまってしまい、てんてこ舞いになりました。それまで自分はマルチタスクが得意だと思い、それらの実行について甘く考えていたのもあり、正直に言うと、そのときは一人ではどうにもならなくなりました。しかし、そのような私の状態を見かねて友人や職員の方が助けてくださったので、全て諦めずにできました。あのときのことを教訓に、仕事でも優先順位をつけること、早めに相談することを心がけています。

私にとっての立命館大学

可能性を広げてくれたところです。高校三年生のときの私が想像していたよりはるかに多くのことに挑戦できました。先述の通り、立命館大学の学生アスリートに対する選手としての強化だけでなく人としての成長をサポートする姿勢は、プレッシャーに弱い私にとっては安心感を与えてくれました。どんな敗北を喫しても、どんな失敗をしても、それが成長に繋がるならいいんだという安心感で私は様々な挑戦ができたし、嬉しい報告もそうでない報告も真っ先にしたいと思う場所でした。端的に言えば、第二の故郷、私の帰る場所でした。社会人になった今でも、帰りたいと時々思うことがあります。