教員紹介
- イスラーム史
一般に「近代」と呼ばれる19世紀から20世紀初頭までの時期に、アジア・アフリカ諸地域で試みられた国家や社会を作り替えるための改革は、往々にして欧米諸国をモデルとする「西洋化」といったような言葉で言い表されます。私の専攻しているイランでもこの時期に軍事面での改革が行われましたが、それは「西洋化」の尺度で見ると「失敗」と評価されかねないようなものでした。ただ、改革の内実を現地の国家や社会のありようと絡めて検討すると、一概にそうとも言い切れない固有の歴史的意味を持っていたことがわかります。このように、単一の尺度では捉えきれない各地域の固有な近代のあり方を想定することで、その延長線上にある現代世界の理解をも刷新することを目指しています。
もっと見る閉じる
中世イスラーム世界は、今日のように国境に区切られていない陸と海を様々な人々や物が移動することで、幾度もの変容を経験しました。そうしたなかでもアラビア半島南西部に興ったラスール朝では、インド洋周縁部で生産される種々の産物が行き交うとともに、北方や東アフリカ出身の人々やイエメン出身の人々が社会を構成していたことが知られています。さらにはイエメンを出奔して、インド洋をわたる人々も見られました。こうした人々や物の移動が往時の世界に与えた影響を探り、現代の世界を考え直すことを意図して、研究を進めています。
もっと見る閉じる