史資料センターの展示企画
「立命館 スポーツと平和」
~戦前 二人のオリンピアンと戦場に散ったアスリート~
が9月14日の立命館中学校高等学校(長岡京キャンパス)の文化祭からスタートしました。
この展示は、戦前の立命館に学び陸上競技に取り組んだ三人のアスリートたちが、戦争へと向う時代のなかでどのようにスポーツと共に生きてきたかを紹介するものです。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を前に、スポーツを通じて平和を考える機会としてもらえればと企画しました。
(立命館中高の学園展示コーナー)
権泰夏は朝鮮半島に生まれ、後に立命館中学(当時の正式校名)へと転校しました。立命館中学では徒歩部(後に陸上部)に所属し、長距離で活躍しながら修了まで通っていました。その後、明治大学へ進学し卒業後、1932年ロサンゼルスオリンピックマラソンの日本代表選手に選出されたのでした。戦後は祖国の若手マラソン選手の育成に生涯を投じました。
(権泰夏選手の展示)
市原正雄は京都府亀岡出身で、立命館大学専門部に入学後から本格的に400mハードルを始め、3年目で日本選手権や日本学生選手権に優勝し、以後、日本のトップで活躍するようになったのでした。大学3年生の時、1936年ベルリンオリンピックには立命館の学生として初めて出場しました。卒業後は北海道へ移り、そして戦場へ。戦後は、北海道の陸上競技協会を一つにまとめ、現在の北海道陸上競技発展の礎を築いたのでした。
(市原正雄選手の展示)
高木正平は京都府福知山出身で、中学校入学から大学予科、大学卒業までの10年間、立命館で学び走り続けました。中学3年生の頃から本格的に走り始め、大学生になってからは、全国大会に上位入賞する実力者になりました。主将として陸上競技部を牽引し、大学駅伝では京都や関西の大会で連覇を達成し、「駅伝の立命館」と言われる伝統を築き上げたのでした。卒業後も走り続けましたが、応召により戦場へ。1939年8月ノモンハンの激戦地で戦死。26歳。未来のある青年ランナーが戦場に散った短すぎる生涯でした。
(高木正平選手の展示)
三人のアスリートの紹介と併せ、1964年の東京オリンピック時に国際的に高く評価された公式ポスター(複製)を展示しています。この撮影を担当した写真家が早崎治(立命館高校卒・立命館大学卒)で、28歳の頃の作品でした。戦後19年で実現した東京オリンピックを世界の平和のスポーツ祭典として紹介した国際的写真家でした(60歳の時に撮影中に事故死)。
(1932年、1936年、1964年のオリンピックポスター)
会場では、写真パネルや略年表による紹介、三名を紹介した写真集や雑誌、オリンピックを題材にした玩具類(大河氏寄贈資料)、ロサンゼルスオリンピック出場選手サイン帳等などを展示しています。
この展示は、以下の日程と会場で巡回します。立命館大学での展示は一般の方の見学もできますが、開館日時及び休館日は各開館スケジュールをご確認ください。
2019年9月14日(土)~10月10日(木)立命館中学校・高等学校
11月19日(火)~12月 9日(月)
立命館大学びわこ・くさつキャンパス メディアセンター風除室
開館スケジュール https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=87773
12月18日(水)~2020年1月12日(日)
立命館大学いばらきキャンパス ライブラリー展示室
開館スケジュール https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=191480
1月17日(金)~2月9日(日)
開館スケジュール https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=87771
なお、お越しの際は各種公共交通機関をご利用ください。