立命館あの日あの時

<学園史資料から>1950年代、学術系サークルで学ぶことへの熱い思い

  • 2014年04月02日更新
  • schoolArchives

 

4月。各サークルは新入生の獲得に一所懸命な時期ですね。

2013年3月現在、立命館大学の学術部公認サークルは32。同好会や任意団体を含めると55のサークルが日々自主的な学術研究にいそしんでいます。

今から半世紀前の1950年代、学術系サークルは37ありました。

現在まで脈々と続くサークルもあれば、当時の世相や学問状況を色濃く反映したサークルもありました。また、1950年代は新制大学となって間も無く、講義だけではなく、積極的な自主的活動を通して学問研究に真摯に取り組もうとする熱い思いも垣間見えます。

 今回は、1954年の新入生に向けた一部学術部の紹介冊子と、1951年の二部学術論文集創刊号から当時の熱い思いを振り返ってみましょう。



一部学術部

1954年当時の一部学術部は、広小路学舎では

 「社会科学」「M.E.L.S」「経済学」「経営学」「貿易」「法友会」「民科法律部会」「民科政治部会」「民科歴史部会」「歴史学」「哲学」「唯物論」「ソヴエト」「スペイン語」「エスペラント」「日本文学」「心理学」「YMCA」「雄弁会」「朝鮮文化」「民族学」「中国文学」「カソリック」「東洋史」「史前史」「英米文学」「地理学」の27研究会が活動していました。

また衣笠キャンパスに拠点を置く理工学部は、理工学部自治会所属として、広小路の人文社会系学部とは別個にクラブがありました。1958年の「学生生活」を見ると、

「建設材料」「写真」「数学」「有機化学」「音響工学」「物性論」「内燃機関」「核物理」「弁論部」「朝鮮文化」「社会科学」「ESS」の12の研究会が活動していました。

 

1954(昭和29)年の一部学術部の新入生への紹介パンフレットには、表紙には末川博の言葉が掲げられています。



「学を修めるには冷静で

学を貫くには

情熱をもってすることを要する」

また巻頭には、「研究会で共に学びとれ」と題した末川博の言があり、課外活動で学ぶことの意義を述べています。要点を抜粋してみましょう。

「大学においては、(中略)科学の研究すなわち学問をすることを本来の使命とする。」

「しかし、今日、われわれ人間の生活は、実に複雑になっていて、しかも、人類多年の努力の結果、学問もよほど進んでいる。従ってこれまで集積されている学問を一通り学びとるということだけでも容易な業ではなく、いわんや、それを越えて先人未踏の境地をひらくということは、なみ大抵のことではない。」

「(学問の道をすすめるには)教室における講義をきくだけではなく、みずからの好むところに従って、学友と共に読書し共に討論することが必要であり適切である。すなわち、諸君は、他から詰めこまれるよりも、むしろ自ら学びとるという自主的な研究態度を確立するように、研究会に入って教授のいわば個人的の指導を受けたり学友と共に研究したりする風をわが学園にみなぎらせていただきたい。」

「そして今日諸君の眼の前に無数に提起されている『なぜか』という疑問に解決を与えるように研究を進め」「諸君が諸君の将来を生かすための道を研究会に入ることによって見出すであろうことを信じ(る)」




二部学術部

二部では1950年に「二部学術部」が創設されています。

1958年の「学生生活」を見ると、二部学術部(法・経・文)には「憲法」「司法」「資本論」「会計学」「哲学」「心理学」「社会科学」「日本文学」「中国文学」「日本史」「東洋史」「西洋史」「人文地理学」「ESS」「中国語」「部落問題」「志法会」の17の研究会が、二部理工学部には、「写真」「映画」の2つの研究会が活動していました。

 

写真は、立命館大学二部学術部発行の論文集「ANTITHESE創刊号」(1951年)です。

二部学術部が創設された直後のこの論文集には、夜間で学びながら学術研究を行うことの意義が学生自身によって述べられています



巻頭の「創刊にあたって」で学生委員長は、新制大学の要卒単位は124、1科目4単位のためそれぞれの専門を深く学ぶことができない。だからこそ、学生自らが自主的に研究をしなければならない。また、新制大学の「クラス」は自治組織としては、特に二部は不十分であるがゆえに、同じ事を研究する同志の集まりが重要だ。として自主的な研究への強い意欲を喚起しています。

 さらに「194911月当時わずかに9つの研究会の会員が集まって『運動部をもたない二部の発展は学術研究会より』のスローガンを掲げ(中略)二部学術部を発足してからわずかに1年あまりの期間に研究会も21団体十数百名の会員を擁するに至り、名実ともに二部の推進力となってきた」と学生の学術部発足当時を振りかえっています。


「創刊にあたって」

末川博も学生自身も、学問は講義だけで修めることはできない、だからこそ課外活動において学術研究を自主的にすすめることが、大学で学ぶ者の使命だと確信しています。

1950年代 学術系サークルは37でした。2013年学術系サークルは55に増えています。

当時の熱い思いは、今も脈々と受け継がれているのでしょう。

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