全国各地に入学試験会場を設置して実施する「出張入試」に関する資料が、出張入試が行われて2年目の1957(昭和32)年の資料から、史資料センターに残されていることを以前にこのホームページで紹介しました。
<懐かしの立命館>出張入試(地方入試)の歴史と当時を伝える関係書類・写真
https://www.ritsumei.ac.jp/archives/column/article.html/?id=41
史資料センター開設に向けて、改めて資料一点一点を確認し整理する中で、1964(昭和39)年の出張入試の資料には、当時の様子を伝える写真が綴じこまれていることがわかりました。
そのいくつかは上記のページで紹介した通りですが、中には完全に癒着していて、はがれない状態になっている写真もありました。写真の紙の表面の薬液がくっついて乾燥してしまっている状態です。
見たところ、試験会場内の様子が撮影されたもののようで、当時の入学試験の様子を知ることのできる写真は現在のところ史資料センターでは発見されていないため、貴重な資料になるものと思われました。
そこで、株式会社東京光音 様に相談・依頼したところ、水による剝離は難しい状態だったようで、専用の薬剤にて癒着部分をきれいにはがしていただくことができました。
写真が一枚ずつの状態になり、史資料センターに戻ってきました。
(写真が出てきた手製簡易アルバム もとはこのような状態でおさめられていたのでしょう)
試験会場内の様子のみならず、出張入試を実施する本部内で、おそらく試験監督者の方に向けて説明を行っていると思われる写真も出てきました。
写真手前には、これから試験会場ごとに配付されると思われる試験問題や解答用紙と思われるものも写っていて、当時の様子が伝わります。
1964(昭和39)年の出張入試で撮られた写真は、「ハーフサイズ」で撮影され、「手札版」で焼き付けられています。
「ハーフサイズ」とは、35mmフィルムの半分のサイズで、1本のフィルムで2倍の枚数が撮影できたことから、フィルムや現像の価格が高かった60~70年代に、一世風靡しました。「手札版」は、大体縦7~8センチ、横10~11センチくらいの小さなサイズで60~70年代には安価な焼付けサイズでした。
翌年1965(昭和40)年の資料に綴じこまれていた写真はサイズが異なり35mmフルサイズになっているようです。
カメラや写真にお詳しい方は、「ハーフサイズ」とか「手札版」は懐かしく思われるかもしれませんね。
写真は、PETフィルムを和紙テープでとめた、癒着をしない保護フィルムに入れ、今後、史資料センターで大切に保存していきます。
株式会社東京光音様の会社概要や業務内容・実績につきましては、ホームページに紹介があります。