今回は、宇治市広野町にキャンパスがある立命館宇治中学校・高等学校の記念碑を紹介します。
立命館宇治高等学校は、立命館が1994年に学校法人宇治学園と法人合併し、宇治高等学校を改称し開校、翌年1995年に第一期生が入学しました。
そして2002年に宇治市三室戸から広野町の新キャンパスに開学・移転し、翌年2003年に立命館宇治中学校を開校しました。
今回紹介する記念碑は、新キャンパスの開学、立命館宇治中学校の開校に伴い設置されたものです。
【學然後知不足】
正門を入り校舎への階段を昇る途中に大きな「學然後知不足」の碑があります。
「學然後知不足」は、中国の史書『禮記』にある「學然後知不足 教然後知困」(学びて然るのち足らざるを知る、教えて然るのち苦しむを知る」から採られています。書は学祖西園寺公望が、大正4(1915)年に須磨に逗留した際に揮毫したものです。立命館宇治中学校・高等学校のキャンパスに設置されているのは、生徒たちに学ぶことの意味と、学祖西園寺公望が揮毫したことを伝えることにあるのでしょう。
学校には銅板の碑のほかに、中学校のすべての教室に扁額「學然後知不足」が架けられています。教室でも生徒たちは西園寺公望が伝える教えを日々学んでいます。
西園寺記念館にも同じ銅板の扁額がありますが、陶庵主人公望のあとに「書於須磨寓居」とあります。
【各教室の「學然後知不足」】
もう一点、校舎の際に「自由と清新」の碑があります。こちらは立命館宇治高等学校の初代校長増田潔の書になるものです。
「自由と清新」は立命館の建学の精神です。西園寺公望や創始者中川小十郎が直接語った言葉ではありませんが、学園の歴史から、戦後末川博総長が学園の性格を「自由で清新」と述べるなど、建学の精神としてきています。
【「自由と清新」碑】
立命館宇治中学校・高等学校の教育理念は次のように謳っています。
≪教育目標≫ 本校は、立命館の建学の精神「自由と清新」と教学理念「平和と民主主義」に基づき、卓越した言語能力に基づく知性と探究心、バランスのとれた豊かな個性、正義と倫理に貫かれた寛容の精神を身につけた未来のグローバルリーダーを育成し、世界と日本の平和的発展に貢献する。
≪理想とする人間像≫10項目の理想とする人物像
「究(探究する人)、知(知識のある人)、考(考える人)、話(コミュニケーションができる人)、義(信念を持つ人)、寛(心を開く人)、仁(思いやりのある人)、挑(挑戦する人)、健(バランスのとれた人)、省(振り返りができる人)」 (内容は略します。)
2023年5月現在の生徒数は、
高校1年409名、高校2年401名、高校3年420名で、男子633名、女子597名、計1230名
中学1年178名、中学2年172名、中学3年178名で、男子277名、女子251名、計528名
です。
「教育目標」「生徒数」は『学校要覧 2023年度版』による。
2023年11月14日 立命館史資料センター 調査研究員 久保田謙次