立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 教師や仲間の指摘で
    思い込みに気づいた。
    自分の殻を破ったことが飛躍に。

    江口 智則さん

    立命館大学経済学部出身
    未修者コース修了(2013年)
    2014年度司法試験合格

「絶対にあきらめない」
挫折の悔しさが法曹を目指す原点。

「法曹を目指すきっかけになったのは、大学時代に経験した大きな挫折でした」と語ったのは、江口智則さん。陸上の名門高校から立命館大学に進学し、長距離選手として活躍した。ところが2回生の時、極度のスランプから走ることさえままならなくなり、結局、陸上を辞めてしまった。途中であきらめたことをずっと後悔していた江口さんは、4回生の時、「このまま中途半端な気持ちで大学を卒業したら悔いが残る。何かに挑戦し、今度こそ最後までやり遂げたい」と一念発起。挑みがいのある高い目標として思い浮かんだのが、司法試験だった。時はリーマンショック直後。社会では雇用問題や労働問題などが頻出していた。もともと社会で困っている人の支えになりたいという気持ちが強かったことも、江口さんの背中を押した。

とはいえ、法律の勉強はゼロからのスタート。立命館大学法科大学院に入学した当初は、未修者コースの中でも法学部出身の同級生との差に愕然とした。「みんなに追いつくだけで精一杯。定期試験で必要な成績を収めなければ、進学すらおぼつかなくなってしまう。最初の1年間は、常に追い詰められていました」

まずは確かな基礎を固めることが先決だと考えた江口さんは、各分野の基本書を読み込んだ。授業で取り上げられる該当範囲はもちろん、関連する判例もひも解き、重要な点を基本書に書き込んでいった。

「施設が充実しているのが、本法科大学院のいいところ。深夜まで使える自習室だけでなく、法律の辞書や調査官解説、論文など、法律関連の専門書が揃うリサーチライブラリーもよく利用しました」
3年次には、法律事務所でのエクスターンシップにも参加した。将来法曹の現場で力を発揮できる人材を育成することを理念とする立命館大学法科大学院では、実務を体験する実習科目も充実させている。

「弁護士の先生に同行し、裁判を傍聴する他、裁判で争点となるところを整理する弁論準備手続きも見学させてもらいました。どのような手続きを経て実際の裁判が進められるのかを自分の目で確かめて初めて、『授業で説明されたのは、こういうことだったのか』と腑に落ちることもたくさんありました」
実務を経験することで、理論に対する理解も深まったという。

エクスターンシップ

最終学年に所属する学生が、弁護士事務所や企業法務部、地方公共団体などで実働2週間(平日10日間)程度、実地に仕事に触れる機会を提供しています。

自分流の勉強が誤った理解を招いた。
指導に耳を傾けることも重要と実感。

しかし最初の挑戦は、残念ながら失敗に終わる。敗因は、最後の1年間の過ごし方にあったと江口さんは振り返る。

「一言でいえば、一人で閉じこもって勉強してしまったことです」
もともと一人でコツコツ勉強するタイプ。とりわけ3年次は、試験が迫ってくる焦りもあって、周りを見る余裕を失っていた。自分流の勉強法に固執した結果、誤った理解や思い込みを招くことになったのだった。

その反省から、「法務専修生」として過ごした1年間は、「弁護士ゼミ」を受講し、また仲間と自主ゼミを組み、他の人の意見に耳を傾ける機会をつくるようにした。弁護士の先生や教授に答案を添削してもらって初めて、「求められている答案を書けていなかった」ことに気づいたという。どのように論理を組み立て、どのような言葉で表現すれば伝わるのかを理解したことで、勉強法も一変した。「こういう結論を導き出すためには、基本書や判例のどこが重要なのか。常にポイントを考えて勉強するようになりました」

4年間の間には、勉強する意欲を失いそうになることもあった。しかし「今度こそ絶対に諦めない」という強い気持ちが、江口さんを奮い立たせ、合格を手繰り寄せた。

弁護士ゼミ

立命館大学には正課外で様々な資格取得をサポートするエクステンションセンターがあり、10名~20名の弁護士が担当する弁護士ゼミや、模試の学内実施、大手事務所訪問会など多様なサポートを行っています。