立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 「本当にこの道でよかったのだろうか」
    精神的なつらさを多くの人の応援で乗り越え
    アルバイトもしながら4回目の受験で合格。

    錦見 壽紘さん

    立命館大学法学部出身
    既修者コース修了(2018年度)
    2022年司法試験合格

「虐待を受ける子どもを救いたい」
小学生時代からの目標を実現するため、法科大学院へ

錦見さんが弁護士を目指すようになったのは小学校高学年の時。父親からの虐待を受け、自分と同じような子どもを救うことのできる仕事がしたいと思った。警察官では家庭への介入ができず、求められた助けに応じられないことも、経験から知っていたという。

知らない土地で人脈を作りたいと、関東の高校から立命館大学法学部に入学し、法科大学院に進学した。先生から次々と問いが投げかけられるのが法科大学院の授業。綿密に予習をしても想定外の質問が来ると黙ってしまう学生が多い中、錦見さんは、全く分からなくても必ず何か答えるようにしていた。その答えを出発点に、先生の解説を聞きながら、一緒に正解への道のりをたどることができるからだ。「こう考えればいいんだということがわかり、ためになりました」。

同期には驚くほど優秀な人もいたので、その人たちよりも早く自習室へ行き、最後まで勉強しようと心がけた。分からないところを教え合ったり、雑談で息抜きをしたり、みんなで切磋琢磨する日々。直前期は、弁護士ゼミで答案の添削を受けながら、判例百選を自分なりにまとめたものや、チェックテストができるように自分で作った定義集などを使って追い込んだ。しかし初めての受験で不合格となってしまう。現役合格者の多い年だったこともあり「精神的に疲れた、というのが実感でした」と振り返る。

弁護士ゼミ

立命館大学には正課外で様々な資格取得をサポートするエクステンションセンターがあり、10名〜20名の弁護士が担当する弁護士ゼミや、模試の学内実施、大手事務所訪問会など多様なサポートを行っています。

応援してくれる人がいなければ
絶対に合格できていなかった

その後、コロナ禍のため自習室が使えなくなると、人にも会えず、家で勉強ができるタイプではなかった錦見さんにとってつらい時期が続いた。「友人はもう社会人なのに、自分は一体何をやっているんだろう」。理系科目が得意で文章を書くのは苦手だったことを振り返り「本当にこの道で良かったのか、早くから弁護士を目指したのは間違いだったのではないか」などと考えるようになってしまったのだ。

その時支えになったのは、応援してくれる母親や祖母に恩返しをしたいという強い気持ち。「別の道を選ぶとしても一度合格しなければ前に進めない」と再度奮起した。同期や弁護士の先生など身近な人にも頼れるようになった。「すでに裁判官や弁護士になっている同期に気後れがあって、それまでは本当の気持ちを言えなかったのですが、正直に不安を聞いてもらえるようになると『お前なら大丈夫』との言葉に、頑張ろうと素直に思えました」。

時間認識のミスが原因で不合格になった3回目の受験で逆に大きな手ごたえをつかんだ錦見さん。4回目で見事合格を果たした。「応援してくれる方々がいなければ絶対に合格できていませんでした」と感謝を口にする。法務専修生として通った法科大学院でも「先生はもちろん、事務室の方も名前を憶えて声をかけてくださいました」。生活費のために続けていたアルバイト先で出会った人も応援してくれていた。「アルバイトとの両立も、精神的なつらさを克服できたことも、きっと今後の糧になると思います」。

弁護士を目指した小学校時代の思いに変わりはない。「困っている人、助けを求めている人が伸ばした手を、しっかりつかんであげられる弁護士になりたいですし、ライフワークとして、そういう人たちが助けを求めることのできる場を作りたいとも考えています」。