立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • その時の自分にできることを
    少しずつ積み重ねた努力の結果、
    3回目の受験で合格。

    木下 由貴さん

    立命館大学法学部出身
    未修者コース修了(2017年度)
    2020年司法試験合格

研究室に行くと優しく迎えて下さるので、
分からないことを素直に質問できました。

木下さんが法律に興味を持ったきっかけは、高校生の時、友人に高校生模擬裁判選手権への出場を誘われたこと。学校に行けず、将来にも希望が持てず苦しんでいた時期だったが、流れに身をまかせてやってみると、他のメンバーや弁護士の先生とのコミュニケーションをとることもできるようになり、担当した反対尋問は現役の検察官にも高く評価された。「法律の世界なら生きていけるかもしれない」そう思い、法学部へ進学した。

奨励奨学金を受給できる成績で法科大学院に入学したが、最初は授業が何も分からず、予習だけで深夜3時までかかったという。そんな木下さんの支えになったのは友人、そして先生だ。「研究室に行くと優しく迎えて下さるので、分からないことを素直に質問できました。先生と話すネタを探すために教科書や判例を読んでいたような気がします」質疑応答形式の授業も「最初はとても緊張しましたが、答えが間違っていたとしても、どこでボタンをかけ違えたのかをその場で指摘され『筋は通っているから、ここを組み立て直せば使える』など具体的なアドバイスもいただけるので、臆することなく自分の考えを言えるようになっていきました」。

木下さんの受験勉強は、人と比較することなく、自分自身の歩みを少しずつでも前に進める工夫に満ちた独特のスタイル。論文の練習でも、自分の意見に自信がなく白紙の状態から書き始めることに心理的負担が大きかったため、合格答案をベースに自分なりのものに書き換えて先生に見てもらうことから始めた。そうしないと書き出せない自分を知っていたからだ。しんどい日は「自習室の椅子に座る」「座れたら短答式を一問だけ解く」と、その状態で少しでもできることを探し、できた自分を思いきりほめていたという。

奨励奨学金

入学試験成績優秀者を対象とした「立命館大学法科大学院奨励奨学金制度」など多様な奨学金制度を設け、数多くの支給実績があります。

予備試験の過去問を利用し、
短答式の問題を七法分すべて解いたことが役立った。

司法試験の本番も「その時点で自分にできる最大限」を目標にした。1年目は「最後まで座ること」2年目は「成績要件のあるゼミに入れる順位」。毎年目標をクリアすると自信にもなり、4年目なら合格できるかもしれないという手ごたえも感じられるようになった。そして迎えた3年目。「言われたことは一旦忘れ、自分のやり方で挑んでみよう。結果を見て次に向けた修正をはかろう」と考え、リラックスするための工夫もして挑んだ結果、本人も予想外の合格。等身大の自分を認め、その自分をコントロールできるのが、苦しい経験を経て身につけた木下さんの強みだ。

予備試験の過去問を利用し、短答式の問題を七法分すべて解いたことも役立ったと振り返る。「判例に関する法務省の最新の見解が分かり、知識も網羅できて、論文にも活かすことができるのが短答式の勉強だと思います」。大学3回生のゼミで出会い、合格までずっと支えられた松宮先生の存在も大きかった。「泣きついてご専門外の科目を指導いただいたこともありました。ここで出会った先生や友人とのつながりは財産です」。

将来は研究者になるという夢も持つ木下さん。うその自白による冤罪の問題などを法学と心理学の両面からアプローチする「供述分析」に興味があるそうだ。「そのためにも法曹としてさまざまな経験を重ねていきたいと思っています」。

教員紹介

高い業績評価を得た40~50歳代なかばの専任教員が中心となり、情熱をもって教育にあたります。実務家教員は、全員が高度な専門力量を持ち、豊かな経験をもとに、理論と実務を統合します。教員の熱心なサポートは、大きな特徴の一つです。