立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 修了生をも支援する
    制度のおかげで
    合格を手にする力がついた。

    荒木 永子さん

    奈良女子大学文学部出身
    未修者コース修了(2009年)
    2013年度司法試験合格

新しい知識を吸収することを楽しみ
仲間に助けられ、成績を伸ばした。

「大学・大学院で文学を学び、建設コンサルタント企業に就職した時には、まさか将来法曹の道に進むなどとは考えもしませんでした」と振り返るのは、荒木 永子さん。しかし時代の変化とともに、年齢、性別や国籍など企業で働く社員の属性、あるいは正社員や派遣社員、アルバイトといった働き方が多様化する中で、こうしたさまざまな背景を持った人が旧来の価値観や企業の慣習を共有し、一緒に働くことの難しさを感じるようになる。「これからは、異なる価値観や立場で働く人と円滑に仕事を進めるための共通のツールとして法律が不可欠になる。それを自分のものにしたい。そんな気持ちで、法科大学院を目指しました」

一念発起して企業を辞し、立命館大学法科大学院に入学したものの、荒木さんにとって法律を学ぶのは初めての経験。勉強は想像以上に困難を極めた。「基本書を読もうとしても、まず次々に法律の専門用語が出てきて文章を理解できません。課題を出されても、設問に対する答え方が分からない。どうしたらいいのかと途方に暮れました」

そんな荒木さんを助けてくれたのは、同じ未修者コースに学ぶ仲間たちだった。自主ゼミを開き、わからないところを教わりながら勉強を進めた。一方で、徹底したのが、授業の予習・復習だ。朝から授業が終わった後も夜10時を回るまで、毎日自習室で過ごした。「立命館大学法科大学院では学生一人ひとりに専用の自習机が与えられます。いつでも勉強に集中できる環境が整っているので、授業のない時間や休日も有効に活用できました」。悪戦苦闘しつつも、新しい知識を吸収することを楽しみ、前向きに勉強したことで、1年で成績は法学部出身者と肩を並べるまでに伸びた。

また3年次には、弁護士事務所での実習を体験し、実務に対する意識も高まった。「弁護士が相談を受ける場面に立ち会い、その対応力の高さに驚きました。依頼者のニーズを見抜き、即座に的確にアドバイスするには、法の知識を自分のものにすることはもちろん、それを的確に運用する能力が不可欠だと実感しました」

自習室

十分な予習・復習をできるよう、全員分の個人自習席を用意。その他、学生がグループ自習を行うためのスペースを用意しています。

超高齢社会の課題の解決に
法曹の立場から貢献したい。

しかし法科大学院を修了してから合格を手にするまでの道のりは、思いのほか長いものになった。2年続けて涙をのんだ後、不幸にも家族が病に倒れ、つききりの介護が必要となったため、荒木さんは試験勉強から一時離れることを決意する。その期間は1年半にも及んだ。家族の病状が好転し、勉強を再開してからも介護と両立しながら机に向かう日々が続いた。

限られた時間の中で合格に必要な力をつけるために役立ったのが、立命館大学法科大学院の「法務専修生制度」だった。司法試験受験資格のある者なら最長5年間、法務専修生として施設を利用したり、プログラムを履修することができる。「『弁護士ゼミ』を受講できたことが、何より良かったです。現役の弁護士に答案を添削していただき、的確なアドバイスをいただくことで、『法律的に思考する』感覚を取り戻すことができました」

社会人経験、さらに家族の介護を経たからこそ、法曹に対する荒木さんの志は高い。「超高齢社会が抱えるさまざまな課題に私自身が直面したことで、そうした問題に悩む方々をサポートすることはもちろん、その解決にも携わっていきたいという思いが強くなりました」。法と医療、福祉が今以上に深く連携する必要性も感じている。「いつか現行の法の限界を埋めていくような新しい制度や仕組みをつくることにも貢献できれば」と、夢を描いている。

法務専修生制度

司法試験受験資格のある修了生は、最長5年間、大学院の施設を利用したりプログラムを履修することが可能です。