教員紹介
- 日本
平安時代後期から鎌倉時代まで、一貫して朝廷、あるいは貴族社会から日本の歴史を見ている点だと思います。この時期には、平氏政権、鎌倉幕府という武家政権が成立したので、政治史が武士に著しく偏って論じられてきました。そのために、どうしても当時の社会の実情とかけ離れたイメージが形成されてしまったのです。実際は、院や貴族などの政治的地位が高く、鎌倉幕府ができても、その状況はそれほど大きく変わらなかったと考えています。そのため、鎌倉時代といっても、京都の重要性は容易に失われなかったのです。
COLUMN
日本の歴史に底流し続けた「貴族文化」の影響力
日本史学専攻
美川 圭
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唐澤 靖彦教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 軍事史
軍事史のなかでも、要塞築城が専門。特に、明治期に築造された、国土防禦のための洋式砲台・堡塁と附属建設物の研究です。様式美と機能美が一致したこの軍事建築群は、赤レンガや石等を主材料として不思議な美に溢れています。同じ時代、要塞は世界中で造られていました。アメリカ、台湾、ヨーロッパ、オーストラリア等での現地調査による比較を通じて、グローバルに存在する要塞築城がどのようなローカル性を発揮したのか、そしてローカルな要塞築城技術を生んだグローバル的動態は何かを考えながら、紀淡海峡の島々、舞鶴、広島湾の島々、佐世保、台湾の基隆と澎湖諸島、三浦半島、下関と北九州、そして対馬の山の中で泥だらけになってます。
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私の専門は人文地理学、特に都市地理学と呼ばれる分野です。なかでも、現代都市の都心部を占有しているオフィスの立地と都市構造の関係について研究しています。鉄鋼業の企業城下町で育った私は、幼い頃の活気ある街の姿が脳裏に焼きついています。しかし、オイルショックなどを契機に街は徐々に衰退していきました。こうした幼少期の経験が、都市の活力や人口の吸引力とは何かという問題に取り組む現在の研究につながっています。日本における現代都市の活力とはいったい何でしょうか。ダイナミックに変化を続ける有機体のような都市の魅力を地理学的に解剖し、分析する。とても面白い分野です。
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長期滞在型観光(ロングステイツーリズム)と国際退職移住、ライフスタイル移住に関する文化人類学的研究を行っています。特に、マレーシアとタイを中心に、東南アジアにおける日本人(若者や高齢者)の長期滞在・移住のあり様について長期フィールドワークを行ってきました。最近、フィリピンでの調査も開始しました。また、医療ツーリズムや高齢者向けの介護リゾートの生成にみられるケアの越境化について、その実態の把握とトランスナショナルな連関を明らかにすることに取り組んでいます。国際退職移住に関する研究は、ウェルネスやウェルビーイング、さらに、高齢者のもつ「迷惑をかけたくない」意識と自立・自律にどのように関わるのかについて探求しています。
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近代における漁村の変貌、漁民の移動や転業に関する歴史地理学的研究に取り組んでいます。西南日本から朝鮮半島や台湾に渡り、魚類缶詰やカツオ節などの製造業の展開を研究しています。カナダで活躍した日本人漁民の研究も行なっています。19世紀末に渡加した彼らは、当初はサケ漁に携わっていましたが、やがて捕鯨業、塩ニシン製造業や造船業にも携わりました。映画『バンクーバーの朝日』では、資料提供や監修のお手伝いをしました。また、近代における海水浴場の成立、魚食文化と地域振興など、海をめぐるツーリズムにも興味関心があります。
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産業施設、戦艦、廃墟、廃線跡、空き家…今やどんなものでも「観光資源」となりえる時代です。私は、あるモノが観光対象となっていくプロセスを研究していますが、とくに上記であげたような、無用の長物や嫌われモノが、観光の有用な対象となっていく過程はとても興味深いものです。たとえば廃墟は、負のイメージのノスタルジックな価値への転換や莫大な費用をかけた保存整備など、様々な社会的状況や地域社会の動きが絡みつつ、ようやく観光資源となります。そうした背景や要因を一つ一つ丁寧に追っていくこと、あるいはひも解いていくことが、社会や地域を知ることにつながります。
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地名は地域で共有され、受け継がれてきた社会的・文化的・歴史的な産物で、そのひとつひとつはその地域ならではの固有の存在として位置づけられます。そのような地名がどのようにして名付けられたのかという「ことば」としての起源を辿る探求は、長らく地名研究の主流を成すものとして取り組まれてきました。しかし同時に、「ことば」は受け継がれていくなかでその使われ方が変わっていくということも重要です。私の研究では、誰がどのようにして地名を使ってきたのか(あるいは使わなくなったのか)、その時々の地域社会の意思や背景を踏まえた分析を通して、地域と不可分の関係にある地名の機能や性質を解明しようとしています。
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国内の貨物輸送手段として、鉄道は約150年、トラックは約120年の歴史を有しています。かつては全国のほとんどの駅で貨物の取扱いが行われ、隣の町や村へ物を送る際にも鉄道が利用されました。近代以降の経済発展に重要な役割を果たした鉄道ですが、トラックの進出や産業構造の変化などによって、輸送量は大きく減少しました。私は貨物輸送の空間的な側面に関心があり、鉄道やトラックによる輸送が時代とともにどのように変化してきたのか、地図を活用した研究を進めています。
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