立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 修了後も支えてくれる
    仕組みがあったから、
    あきらめずに合格できた。

    市川 美香さん

    早稲田大学教育学部出身
    未修者コース修了(2012年)
    2014年度司法試験合格

教師の道から一転、法曹へ
初めて触れる法の学びに悪戦苦闘。

教師を志し、教育学部で学んでいた市川美香さんが進路を変更したのは、大学4回生の時。「人の成長には、生活の基盤が欠かせません。それを揺るがす事態が起こった時に役に立てる仕事に就きたい。そんな気持ちが膨らんできたのです」

教職試験も就職活動も行わず、1年間の準備期間を経て立命館大学法科大学院への進学を決めたものの、本格的に法律を学ぶのは初めてのこと。遅れを補うために、法科大学院の「入学前プログラム」を履修した。未修者向けのプログラムでは、入学の数ヵ月前から法律の基礎知識、判例の読み方、六法の使用法など、法学を学ぶための基礎を身につけることができる。

それでも法科大学院でのスタートは、順調とはほど遠いものだった。「最初のうちは、授業を聞いても、先生が何の問題について講義しているのかすらわかりませんでした」

六法科目の基礎理論の中でも市川さんを悩ませたのが、刑法と憲法だった。
「身近な生活の問題やお金を扱い、イメージしやすい民法とは異なり、刑法や憲法では、用いられる言葉も『責任』や『故意』などと抽象的です。その上、人を罰することに関わる法律だけに、あいまいさを許さない厳格な法的論理が求められます。言葉や概念の正確な意味を理解するまでにかなりの時間を要しました」 基本書と教科書を何度も何度も読み返し、法律家の思考の道筋をなぞることで、少しずつ理解を深めていった。

入学前プログラム

入学前、在学中から修了後までを、それぞれの段階に応じて手厚くサポートします。入学前には既修者・未修者それぞれに向けたプログラムを実施しています。

無駄に見える地道な勉強が
合格への近道だった。

「万全を尽くしたけれど、それでも3年間では十分な実力を養うには至りませんでした」と、打ち明けた市川さん。初めて受験した司法試験では、まったく手ごたえを感じることができなかった。それからさらに2年、3度目の挑戦で合格をつかむまでの長い道のりを支えたのは、「法務専修生制度」だった。

立命館大学法科大学院では、司法試験受験資格のある修了生なら最長5年間、大学院の施設を利用したり、プログラムを履修することができる。市川さんは修了後も生活のペースを崩さないよう毎日法科大学院へ通った。「大学院時代と変わらず自習室では専用の机を使うことができたのが、ありがたかったです」

長期間集中力を持続させるためには、規則正しい生活と同時に、時には息抜きすることも必要だ。市川さんのリフレッシュ法は、大好きな料理と運動。朝食と昼食用のお弁当を作る時間、そして週1回、バレエ教室に通い、子どもの頃から続けてきたクラシックバレエのレッスンを受ける間は、試験のことを忘れて没頭した。

さらに、合格に手が届く後押しになったのが、「弁護士ゼミ」だった。まず取り組んだのは、時間内に答案を書く以前に、時間をかけて「自分の考える最高の答案」を書くこと。「先生には『法学部の3回生が読んでも理解できる答案を書きなさい』と、繰り返し指導されました」。問題に関連する基本書や判例、規範を調べ、1問を解くのに3日を費やすこともあったが、答案はことごとく酷評された。何度も書き直すうちに、少しずつ答案を完成させるまでの時間が短くなっていった。「徹底的に調べることで、法的な論理構成が頭に叩き込まれ、気がつけば明快な文章を書けるようになっていました。時間をかけたことが、かえって力をつける近道になったのです」

念願の合格を手にし、これから本当のスタートを切る。「学部時代に志したように、だれもが豊かに日常生活を送るために役に立つ弁護士になるのが、目標です」

法務専修生制度

司法試験受験資格のある修了生は、最長5年間、大学院の施設を利用したりプログラムを履修することが可能です。