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西村 直子 先生(食マネジメント学部)

2023.01.01


『実験が切り開く21世紀の社会科学』
西条辰義, 清水和巳編著(勁草書房、2014年)

「実験」はもはや理系の専売特許ではなくなってきた。データ採取や解析に関わるDXを背景に,「行動を観察する」ことで「意思決定」メカニズムに迫ろうとする実験研究の増加は,近年目を見張るものがある。その領域は,政治学、経営学、経済学、社会学、心理学、生物学、脳科学など多岐にわたる。本書は,これまでばらばらに進展してきたこれら領域を「実験」を通じて繋ぎ,さらなる社会科学発展の起爆剤とする試みである。

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『戦争とは何か : 国際政治学の挑戦』
多湖淳著(中央公論新社、2020年)

本書は実験手法を取り入れた,「科学的」政治学による戦争分析の秀作である。日本の政治学は,丸山真男に代表されるように,思想的哲学的アプローチを主な拠り所として発展してきた。しかし,世界の政治学は「実験手法」導入し,より「科学的」であろうとする方向で変貌・発展している。著者は日本の科学的政治学の第一人者である。本書の出版はウクライナ侵攻勃発前だが,いよいよキナ臭くなってきた現在の世界情勢を理解するにも十分当てはまる。

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『フューチャー・デザイン : 七世代先を見据えた社会』
西條辰義編著(勁草書房、2015年)

地球温暖化など,持続可能性の重大性が叫ばれて久しいが,パリ協定を経ても未だに抜本的解決に至っていない。うまく行かない本当の原因は各国間・市民間の利害対立ではなく,将来世代の不在をいいことに自分の利害を優先しようとする現代世代のサガにある。本書はそれを初めて指摘し,解決の糸口を提案している。ものごとの本質を見極める視点を是非読み取ってほしい。現在日本で,これを実践する試みが世界に先駆けて始まっている。岩手県矢巾町,長野県松本市,高知県高知市,京都府宇治市など,その輪は確実に広がりつつある。

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『人間行動と市場デザイン』
西條辰義編著(勁草書房、2016年)

本書は「実験が切り開く21世紀の社会学」の第2巻で,実験手法を駆使して人々の経済行動を分析した複数の論文を収録したもの。株式市場でのバブル発生の再現や,廃止に追い込まれたお米の入札市場の本当の理由,或いは国や自治体が発注主である指名競争入札市場での談合の可能性,など市場を台無しにしかねない市場デザインのキモを浮き彫りにする。また,交渉や公共財調達など市場取引以外の場での意思決定や,脳科学の手法を取り入れた分析なども紹介し,実体のある実験研究の姿を生き生きと描き出している。

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