立命館大学 法科大学院 司法試験合格者インタビュー

Ritsumeikan University School of Law: Special Interview Series

  • 修了生を支える制度、
    教師の温かい励ましと
    指導で試練を乗り越えた。

    三輪 匠美さん

    龍谷大学法学部出身
    未修者コース修了(2013年)
    2015年度司法試験合格

なりたいならやるしかない。
弁護士の言葉で迷いが消えた。

三輪 匠美さんが法曹を目指すことを決めたのは大学時代、弁護士事務所でインターンシップを経験したことがきっかけだった。「相談者の方が『ありがとうございました』と涙を流したり、緊迫した契約の話し合いの場で、弁護士の一言で事態が一気に進展するのを目の当たりにして、『実務家ってすごいな』と憧れました」。しかし難関試験に挑戦することに不安を覚えた三輪さんは、なかなか決意を固めることができなかった。そんな三輪さんを後押ししたのが、弁護士の一言だった。「『なりたいなら、やるしかない』。そう言われて迷いが吹っ切れました」

法学部での学びだけでは基礎知識が不足していると感じた三輪さんは未修者コースを選択。「立命館大学法科大学院は、法律基本科目がとても充実しています。1年次に数多くの授業を受けるのは大変ですが、おかげで法律の基礎的知識はかなり身についたという手ごたえを感じることができました」

最初は「答案を書くことが楽しかった」という三輪さん。しかしやがてそれが司法試験突破に直結しないことを思い知らされる。「刑法などは人を罰することにつながるだけに、類推適用を許さない厳格な法的論理が求められます。けれど私は、自分が『正しい』と信じる結論を導き出すために要件事実や法律を柔軟に解釈し、自分流で論理を組み立てていた。『それは罪刑法定主義に反する』と厳しく指導されました」。法的論理を理解するため、三輪さんは授業に関連する判例だけでなく、「調査官解説」にまで目を通した。判決が導かれるまでの判断の過程が詳細に記されている「調査官解説」を読むと、論理の道筋を順を追って理解できる。一度「法的思考の流れ」を頭に叩き込むと、他の事例にも応用できる。これが確かな力となって蓄積されていった。

カリキュラム

2016年度、カリキュラム改革を行い、法曹となるための 基本的な力を身に付けるために、法律基本科目を中心に一層の充実と重点化を図っています。

修了後も教員に支えられ
再び立ち上がる力を得た。

3年間で十分な実力を養ったはずだったが、三輪さんはそれから2度、司法試験に失敗。修了後も「法務専修生制度」を活用し、大学院に通う生活を続けた。立命館大学法科大学院では、司法試験受験資格のある修了生は最長5年間、大学院の施設を利用し、プログラムを履修することができる。「継続して自習室に専用の机を使うことができたのは、本当にありがたかったです」という三輪さんは、「今日は気分が乗らないな」という日もとにかく大学院に来て自習室に座ることで、ペースを崩さず、勉強を続けることができたという。

「それでも2回目もダメだった時は、本当につらかった」。三輪さんの言葉には、苦渋がにじんだ。失敗の原因は、「精神的な弱さ」が露呈したことだった。不安な気持ちが募り、「どんな答案を書けばいいのかわからなくなってしまった」という一度目。さらに「絶対に大丈夫」と自信を持って臨んだ翌年、プレッシャーからマークミスを犯してしまう。ショックのあまりしばらくは家から出ることもできなかったという三輪さんを再び立ち上がらせたのは、法科大学院の教員の存在だった。

「久しぶりに大学院に行くと、先生が『どうしてた? 心配してたんだよ』と話しかけてきてくださったんです。その後も、力強く励ましてくださる先生、食堂でランチを食べている私を目に止めて『どうですか? 質問があるならいつでも来なさい』と話しかけてくださる先生、誰もが学生を心から気にかけ、全力でサポートしようとしてくださる。先生方のスタンスに、力づけられました」

試練を乗り越え、ついに吉報を手にした三輪さん。「やりたいなら、やるしかない」。後に続く後輩にも、辛い時、自身を鼓舞した言葉を贈りたいという。

法務専修生制度

司法試験受験資格のある修了生は、最長5年間、大学院の施設を利用したりプログラムを履修することが可能です。