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【開催報告】「国の行政組織」:農林水産省_日本の「食」を支えるチャレンジングな仕事

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本学で開講される「国の行政組織」は、各省庁から職員を派遣いただき、学生が日本の社会課題や国家公務員の役割について理解を深めることを目的としています。 


社会の第一線で活躍する実務家から直接学ぶ機会は非常で重要であり、今回は日本の根幹である「食」と「農」を担う中央省庁の政策立案の現場について、農林水産省・磯﨑眞志氏をゲスト講師としてお招きし、ご講演いただきました。 


授業冒頭、磯崎氏ご自身のキャリアについてご紹介いただきました。 

新事業・食品産業部でフードテックのプラントベーストフードに関する国際基準策定に携わった後、復興庁で東日本大震災の被災事業者支援に従事し、現在は大臣官房秘書課で採用担当を務めるなど、霞が関の中でも多様なキャリアを歩んでこられた経験が詳細に語られ、特に「現場」に足を運んで生産者や食品事業者と対話を重ねることが新たな政策立案の核となっていく旨をお話いただきました。 


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また、現在採用担当をされている農林水産省の使命について、具体的な政策課題を交えながらご説明いただきました。人口減少と過疎化が日本全体で取り組むべき課題であるという中で、特に地方の農山漁村においては「仕事がない」ということが過疎化の根本の原因であり、地方の主要産業である農林水産業を魅力的な就業先として機能させていくことが重要であると指摘されました。さらに、生産者の視点を理解するために小豆島で1ヶ月間の農業研修に参加した経験にも触れ、政策立案には現場感覚が不可欠であると強調されました。 


国際的な経験部分においては、自身の担当業務であった植物性食品(大豆ミート)の国際規格策定の事例を紹介。当時欧州主導で進められていた規格案により日本企業が不利益を被らないよう、磯崎氏は国際会議に日本代表として出席し、日本規格を紹介し、国際的なルール作りに主体的に関わりました。この経験から、「自分の発言一言で世界を変えることができた。そこに国家公務員の仕事の大きなやりがいと責任がある」と述べられました。 


講演の締めくくりでは、農林水産省のビジョン・ステートメント「生命(いのち)を支える『食』と安心して暮らせる『環境』を未来の子どもたちに継承していく」を引用し、「変化の激しい時代だからこそ、若手がチャレンジして変革を起こせるフィールドが農水省にはある。日本の未来を自分ごととして捉え、幅広い背景を持つ学生が霞が関の扉を叩いてくれることを期待している」という力強いメッセージが語られました。 

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みらいゼミ関連企画『流されるままに選択していない?その選択、ダイジョウブ?』開催レポート

 立命館大学教養教育センターでは、みらいゼミ関連企画として「学生ウェビナープロジェクト」を立ち上げ、有志の学生たちと協働し、ウェビナーを実施しました。企画運営に携わった2人の学生による、開催レポートをぜひお読みください。(みらいゼミ事務局)

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 私たちは、6月29日、みらいゼミ関連企画『流されるままに選択していない? その選択、ダイジョウブ?』を開催しました(開催案内はこちら)。

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 本企画は「Z世代」「ファッション」「SNS」の3つをキーワードに、私たちが日々行っている選択について考える機会として企画しました。

 出発点は、SNSやインターネットの発達により私たちの生活は豊かになった反面、日々の選択の多くがそれらに左右されているのではないか、といった問題意識でした。特に、何かを「買う」という行為においては、商品の実際の価値を深く考えることなく購入したり、あるいは必要以上に購入したりしてはいないか、という議論に至りました。しかしそれと同時に、「個人がどこまで考え、また何を基準に選択するべきなのか」について疑問が残りました。
 これらに対する明確な答えはないとしても、疑問を抱くこと自体が行動を変えるきっかけになるのではないか、そして私たちと同じ世代にもこのような問題意識を持って行動してもらえたらと考え、今回の企画を立ち上げました。

 今回の企画では、最初にゲストの3名のみなさんに、1人10分程度の時間で自己紹介を兼ねた専門分野に関してお話しいただいた後、事前に設定した3つの議題(「プチプラファッションは買ってはいけないのか」「SNSの情報に惑わされないためには」「(以上2つの議題を踏まえて、)個人の欲望と社会的責任のバランスの取り方」)を軸に日々の選択についてのヒントを探りました。

 飯田豊先生からは主にSNSを始めとするメディアについてのお話をしていただきました。特に印象的だったのは、アルゴリズムによるレコメンド機能について、そのデメリットに対しては経験的に回避していることが多いというお話でした。その一方で、そもそも当事者意識を持っていないトピックに関しては情報として入って来ず、問題があることを認識しづらいことも注視されました。また、ファッションに関して言えば、インターネット上の情報だけでは消費者が見えない形での弊害も存在することや、買う/買わないに限った議論ではないこともお話いただきました。
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 藤嶋陽子先生は、「プチプラファッションやファストファッションは様々な問題を抱えていることは確か」だとしながらも、「色々なものを試すことができたり、自分の力で好きなものを買うことができたりという面もある」と、短所ばかりではないことを指摘されました。環境問題や労働問題との関連を取り上げられることが多いファッション業界ですが、その歴史を辿っていくと、そもそも自由に洋服を買えること自体が人類の文明によってもたらされた恩恵であるというお話にも繋がりました。
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 竹田ダニエルさんからは、日本とアメリカを比較しながら、特にZ世代当事者が抱える矛盾についてお話いただきました。人によって様々な立場があることを前提に置きつつも、「No ethical consumption under capitalism(資本主義の下ではエシカルな消費はあり得ない)」という言葉、そしてインフルエンサーの爆買いやそれによって過剰消費を促すことが問題であるといった点を指摘されました。しかし、ファッションの抱える問題を解決するために、ファスト/プチプラファッションなどを断固として買わないのではなく、矛盾を抱えながらも消費者としての影響力を自覚するなど、柔軟な選択肢を考えることができるお話でした。
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 本企画の参加理由には「ファッションに関する問題は知っているが、どうすれば良いか分からない」といったものが多く見られました。今回の企画を通して、決して答えは1つではなく、様々な選択肢や立場があるということ、そしてそのような問題意識をまずは周りと共有してみることも選択肢の1つであることを知る機会になっていればと思います。

 また、答えが一つではないからこそ、時には矛盾を抱えることがあっても、日々の選択と社会、そして自分自身との繋がりについて考えてみることに意義があるのではないでしょうか。

 そして、本企画で取り扱った問題以外にも、私たちは常に複雑に絡み合った問題の中に取り囲まれています。しかし複雑だからと考えることを諦めるのではなく、自身の選択が与える社会への影響力を自覚し、柔軟な選択肢を検討し続けていきたいです。より健全で持続可能な未来を築くために、行動し、考え続けなくては、と思います。世の中は「正しい・正しくない」の二元論では成立していないからこそ「より良くしたいと思い、行動すること」「自分自身の感じる心地良さの加減を尊重すること」も重要であると感じます。
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<参加者の皆さんから寄せられた感想>
  • ファッションとSNSの依存関係を感じたし、日本人が他人の目を意識しすぎていることも改めて感じた。自分自身もインフルエンサーや広告から情報を得ていることも多いので、もっと選択に対する責任を持って参考にしようと思ったし、日本の情報リテラシーの教育発達の重要性を感じた。
  • 社会的責任と個人の欲求のバランスについて、正しい正しくないとわけることはできないからこそ、考え続ける姿勢は重要だと感じました。
  • 正解を求められる中で自分が心地よいものを選んでいくという意識を持つことは自分が好きなものを選んでいく中でも自分の感性を見失わないためにも必要だと感じました。
文責:文学部4回生   山口詩央里、経済学部3回生  城あこ

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 教養教育センターでは、2023年度第4クォーター(活動期間:2024年1月31日~3月27日)で活動するゼミを募集中です(締切:2024年1月9日)。じっくり考えたいテーマがある人、ぜひエントリーしてください。詳しくはこちらをご覧ください。

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2022年度みらいゼミ関連企画 「もやもやを語る会」を開催しました

 2022年12月7日、みらいゼミ関連企画「もやもやを語る会」を開催しました。

 本ワークショップは、みらいゼミのコンセプトである「もやもや」からスタートする学びの場づくりの一歩手前の「もやもや」を言葉にする機会があったらよいのではないか、という事務局の想いのもと開催されました。オンラインでの開催でもあり参加者の心理的安全に配慮した形で参加者4名とともに1時間半たっぷりとみなさんと「もやもや」としていることを語り合いました。

 共通項は立命館大学の学生であるというだけ。それぞれ呼ばれたい名前で自己紹介をしたあと、どんな話がされたかについては、参加者との最初の取り決めで「この場以外では口外しない」ということになっているので割愛しますが、それぞれが普段感じていることを出し合いながら、聴きあいながらの時間となりました。

 参加後のアンケートからは、もやもやを語れたかどうかについて、参加したみなさんはおおむね語れたと感じられたようです。また、もやもやしたものを語るには何が必要かという問いかけには、「聴いてくれる人の存在」「安心安全な場の設定」の必要性があがりました。
 その他、もやもやとしたものを語るには、「誰かのもやもやを聞いていると触発され」たり「勇気とか。解決したいという思い。」の必要性、そして「皆が受け入れてくれる空気」もあると良いと答えてくれました。
 参加した学生からは今後みらいゼミを立ち上げたり、関心のあるものに参加したいとそれぞれ回答がありましたので、今後もこのようなもやもやを語る会を実施していけると良いと感じました。

 最後に、「一緒に考えてくれる人と話すことの楽しさを再認識できた」という学生の声からも、みらいゼミが誰かのもやもやから始まって、仲間とともに考えたり感じていることを話す場として機能していくように事務局としてもサポートしていきたいと思います。

松村幸裕子(共奏学舎 主宰/みらいゼミ事務局スタッフ)



みらいゼミ事務局 松村

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