SERIESリベラルアーツ第3弾「わたしの“モヤモヤ”大解剖―わがまま論・つながり論を切り口に―」を開催
立命館大学教養教育センターでは、2020年度よりオンライン企画「SERIESリベラルアーツ:自由に生きるための知性とはなにか」を開催。今まさに起こっている社会問題や若者の悩みを取り上げています。
この1年、外出はできるだけ避けてネットで情報収集、授業はもっぱらオンライン参加。「ネットにつながりっぱなし」状態により、モヤモヤやイライラを感じている人も多いのでは。そうした“モヤモヤ”がどこからやってきて、どう対処すれば、少しでもラクになれるのか。シリーズ第3弾では、この課題について、富永京子准教授・飯田豊准教授(ともに産業社会学部)とともに考えてみました。
社会運動を「わがまま」という言葉でときほぐし、一人ひとりが自分の抱えている悩みや課題を「わがまま」と思わずに、もっと声に出し、みんなの「権利」にして社会を変えていこうよ、と若い人たちを励ましてくれる富永准教授。SNSは人とつながり、社会に変化を起こすために重要なツールであるものの、ネット空間でうまく人とつながること、また、つながりのなかで意見を伝えることは難しい、と言います。
飯田准教授からは、2000年代以降のインターネットや携帯電話、SNSの広がりにともなう、10代・20代に顕著な「キャラ」の使い分けや「友達」との関係のあり方の変化について、データに基づく解説があり、現代社会では誰とどのようにつながるのか各自で考えていくことが大事では、と投げかけました。
後半は、参加者の皆さんから寄せられた質問「“わがまま”を身近な友人たちと共有したいが、SNSだと押しつけ感がある。どうすればよいか」「大学で新しくできた友達とどう付き合っていけばよいか」「Twitterにモヤモヤしてやめてしまった」「SNSで議論するのは無理だと感じる。敵対感が生まれてしまい対話ができない。どう対処すればよいか」などを取り上げ、トークセッションにより応答しました。
「メディア・リテラシー」についても多くの人から質問が寄せられたことを受け、飯田准教授は、「メディアで意図的に間違ったニュースが流れることは昔からあった。新しいメディアの理解を深めるだけでなく、過去にどんな問題が起きて、それを人類はどう乗り越えてきたのかを知ることも重要。それはリベラルアーツとも言えるのでは」と語りました。
「特にこうした社会だと、SNSの有効性が強調されがちだが、SNSでは話せないこと、提起しづらい問題や、言語化しづらいことももちろんある。オフラインや別のツールで話すことができればいい」と富永准教授。
“モヤモヤ”を話せる場があちこちにあるキャンパスをみんなで作っていけたら、SNS疲れが癒されホッと一息つける大学になれそうです。
参加者の皆さんからの感想(抜粋)
・ 積極的な「わがまま」の発信の実現のためには、まず一人ひとりが思考して自分の確固たる考えを持つこと、そして発言する場を創造する・提供することが必要だと思いました。
・ 今回のお話を通して、SNSを乗り換えたり、オフラインで議論するなどの対処法を知り、集団に同調せずとも自分に合った社会との付き合い方を模索していきたいと思いました。
・ 自分の感じていたこと、悩んでいることが具体的な数値や概念から明確になるとても充実した時間でした。
・ いま、市議会議員を務めています。市民からの相談は地域の課題だから取り組まなければならないと思うことばかりなのですが、相談してくる方のほとんどが、「自分のことでスミマセン」とおっしゃいます。その度、「いや、みんなの問題ですから言ってくださって助かります」とお伝えしています。
本企画の録画映像は、編集のうえ、YouTube「Ritsumeikan Channel」にて公開を予定しています。
公開日や、次回「SERIESリベラルアーツ:自由に生きるための知性とはなにか」の告知は、教養教育センターホームページやTwitterでご案内します。Twitterアカウントお持ちの方は教養教育センターTwitterをぜひフォローしてください。