教員紹介
- 文学史・美術史・音楽史
19世紀を中心とするアメリカ小説と大衆文化を研究しています。研究テーマについては、自伝的虚構、テクスト生成過程、ユーモア、先住民表象、おてんば・バッドボーイ表象、共感的同一化、可傷性などの問題系や、ポピュラー音楽史、文学テクストの映画翻案、日本における米文学・文化受容史などに関心をもっています。主要な研究対象は、エドガー・アラン・ポー、マーク・トウェイン、ルイザ・メイ・オルコット、セアラ・オーン・ジュエット、ジャック・ケルアック、フラナリー・オコナーなどの作品です。
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竹村 はるみ教授
- 所属専攻:
- 英米文学専攻
- 専門分野:
- イギリス文学、近代初期イギリス文化史
ロマンスと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。現代ではどこか陳腐な印象を与える言葉ですが、恋と冒険を基本要素とするロマンスのルーツは西洋文学の一大ジャンルを成した騎士道ロマンスにあり、その大衆化路線の萌芽はルネサンス期のイギリスに見出すことができます。カリスマ的な人気を誇った女王エリザベス一世が君臨したこの時期は、印刷出版と商業劇場という二つの新手メディアを得ることで、文学が大きな変革を遂げた時代です。シェイクスピアをはじめとする優れた作家が多数輩出し、近代型のロマンスが誕生しました。宮廷文化と大衆文化の創造的な関係を軸に量産された恋愛文学の全容を明らかにするのが、私の研究の狙いです。
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中川 優子教授
- 所属専攻:
- 英米文学専攻
- 専門分野:
- 英米文学、ジェンダー
南北戦争後のアメリカは大きな転換期をむかえ、健康で裕福で活発なアメリカ女性が、新しい国アメリカを象徴するものとして雑誌や広告、文学に描かれるようになりました。一見明るい未来を象徴しているようにみえますが、実際そう単純ではありません。またこの頃社会進出を試みる「新しい女性」がイギリス小説にも登場しました。私はこのような女性の表象を英米小説、とくにこの女性たちに共感しながらも、複雑な思いをもって描いたヘンリー・ジェイムズやその周辺の作品にみいだし、研究しています。作品を精読する以外にたくさんの資料も読まないといけませんが、意外な作品間のつながりがみえたりするのが面白いです。
COLUMN
小説を深く読み込むことで得られる「文学の力」
英米文学専攻
中川 優子
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上田 高弘教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 西洋美術史、比較芸術学
モダン・アートというと、何が描いているか分からない抽象画や、既製品をただ置いただけのオブジェなど、「美術」の定義を混乱させる作品が思い浮かぶかもしれません。言い換えると、かつては美術と認められなかった事物や行為を作品と映じさせる「批評」の文脈があるわけで、その解明が本来の研究関心なのですが、美術にかぎれば正直、お腹いっぱいという感じで、それもあって近年は音楽(オペラ)や文学に関する論文を公表するなど、レパートリーを拡げています。そうしてさらに一歩、踏み込もうと構想を温めているのが、若いころから関心を抱いてきた新約聖書学の分野でのささやかな試論。研究生活も終盤に入って、残り時間との競争です。
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國司 航佑准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- ヨーロッパ(特にイタリア)の文学と哲学
私はこれまで、近現代のイタリアの文学と哲学、とりわけ十九世紀の詩人ジャコモ・レオパルディと、二十世紀の哲学者ベネデット・クローチェの二名を主な研究対象としてきました。ですが、彼らの研究に飽き足らず、中世イタリアの詩人ダンテから、二十世紀ドイツの文献学者アウエルバッハまで、時代も国籍もさまざまな作家に手を出したこともありました。共通しているのは、ヨーロッパの言語を用いて執筆された作品を分析し、そこに作者の魂の記録を見出そうと試みたことでしょうか。言語も時代も何もかもが違う環境で生み出された作品を本当の意味で理解するのはまったくもって困難な作業ですが、それが少しでも達成されたと感じられる瞬間、何とも言えない感動を味わうことができます。
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小寺 未知留准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 音楽学、サウンド・スタディーズ
楽曲を創作・演奏し、それを聴取するだけが音楽文化ではありません。多くの人が音楽について語り・考えることで、音楽文化はより豊かなものになってきました。私の研究では、アーティストや研究者が残した著述を検証し、彼ら/彼女らが考えていたことについて考察すると共に、音楽文化の拡がりを描き出すことを目的としています。特に、音楽理論と他の研究分野との関係やサウンド・アートと呼ばれる音楽と美術のはざまにあるジャンル、言い換えると、二つの分野が出会う境界領域に着目して研究を進めています。そのような領域は、しばしば異なる考え方がときに共鳴し、ときに反発し合いながら、新たな考え方が創り出されていく現場でもあります。他にも、音楽関連資料のアーカイヴ構築やデジタル音楽学に関心を持っています。
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千川 哲生准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- フランス文学、フランス演劇
私の研究対象は、コルネイユ、ラシーヌ、モリエールに代表されるフランス17世紀演劇です。この演劇はルネサンス期に復興したギリシア・ローマの古典に範を仰ぎ、イタリアやスペインの文学を模倣しながら成立しました。この成立過程を調べると、当時の演劇がさまざまな文化や芸術の交点であったという事実が浮かび上がります。分かったつもりだった対象が、研究が進むにつれて、思いがけない姿を現す。そのささやかな発見もさることながら、数百年も前の異国の演劇の実態を曲がりなりにも再構成できるということの不思議な魅力に、今も引きつけられています。
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宮本 直美教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- 音楽社会学、文化社会学
音楽や舞台はいつの時代にも好んで受容される文化でした。その音楽や舞台作品がなぜ魅力的なのか、どんな技法と内容を包含しているのかという視点は人文学の重要な要素ですが、それだけではなく、それらを人々はどのように受容するのか、そこにどのような側面や意味があるのかという社会学的視点を持ち込むことも、これらの文化の新たな側面を知ることにつながります。「高尚な芸術」と「ポピュラーカルチャー」がどのように分けられているのかを考えることもその一つの視点であり、私の研究ではクラシック音楽とポピュラー音楽の分化過程を考察しています。
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