教員紹介
- ヨーロッパ
國司 航佑准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- ヨーロッパ(特にイタリア)の文学と哲学
私はこれまで、近現代のイタリアの文学と哲学、とりわけ十九世紀の詩人ジャコモ・レオパルディと、二十世紀の哲学者ベネデット・クローチェの二名を主な研究対象としてきました。ですが、彼らの研究に飽き足らず、中世イタリアの詩人ダンテから、二十世紀ドイツの文献学者アウエルバッハまで、時代も国籍もさまざまな作家に手を出したこともありました。共通しているのは、ヨーロッパの言語を用いて執筆された作品を分析し、そこに作者の魂の記録を見出そうと試みたことでしょうか。言語も時代も何もかもが違う環境で生み出された作品を本当の意味で理解するのはまったくもって困難な作業ですが、それが少しでも達成されたと感じられる瞬間、何とも言えない感動を味わうことができます。
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千川 哲生准教授
- 所属専攻:
- 文化芸術専攻
- 専門分野:
- フランス文学、フランス演劇
私の研究対象は、コルネイユ、ラシーヌ、モリエールに代表されるフランス17世紀演劇です。この演劇はルネサンス期に復興したギリシア・ローマの古典に範を仰ぎ、イタリアやスペインの文学を模倣しながら成立しました。この成立過程を調べると、当時の演劇がさまざまな文化や芸術の交点であったという事実が浮かび上がります。分かったつもりだった対象が、研究が進むにつれて、思いがけない姿を現す。そのささやかな発見もさることながら、数百年も前の異国の演劇の実態を曲がりなりにも再構成できるということの不思議な魅力に、今も引きつけられています。
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現代社会を形成する「近代化」は、寛容や平等の精神をとなえた17・18世紀ヨーロッパの啓蒙主義に始まります。しかし、世界の紛争や虐殺は今なおやむことを知りません。とりわけ20世紀ヨーロッパでは、ナショナリズムの台頭に伴い、反ユダヤ主義が強まり、ナチズムのホロコーストにまでいたりました。なぜ啓蒙の精神から、このようなことが起こったのでしょうか。現在の私の研究は、ドイツの近代化過程において失われたものと獲得されたものの社会的・思想的要因を言語芸術と哲学から解明することです。
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日本の代表的な農具である鍬を製造したのは、村の鍛冶屋です。学部2回生の秋、和歌山県から京都府南丹市に出稼ぎに来た村の鍛冶屋に偶然に出会いました。「なぜ和歌山の鍛冶屋が京都に?」が最初の関心でした。それ以降この課題に取り組み、18世紀から現在までの東海・近畿をフィールドとして研究してきました。農具を起点にして、それを作った鍛冶屋、使った農民という人間に着目し、生業や生活のレベルからの研究を面白いと思っています。アイルランドとウェールズもフィールドとして、鋤や野外博物館に関して研究しています。テーマは異なりますが、立命館をはじめとする大学を考察の対象にしています。大学の歴史地理は新しい試みです。
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私の専門は人文地理学、特に都市地理学と呼ばれる分野です。なかでも、現代都市の都心部を占有しているオフィスの立地と都市構造の関係について研究しています。鉄鋼業の企業城下町で育った私は、幼い頃の活気ある街の姿が脳裏に焼きついています。しかし、オイルショックなどを契機に街は徐々に衰退していきました。こうした幼少期の経験が、都市の活力や人口の吸引力とは何かという問題に取り組む現在の研究につながっています。日本における現代都市の活力とはいったい何でしょうか。ダイナミックに変化を続ける有機体のような都市の魅力を地理学的に解剖し、分析する。とても面白い分野です。
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中世イングランドの言語と文学を研究しています。特に、中世アーサー王物語(『ガウェイン卿と緑の騎士』)を中心とする文学作品とその歴史的意義に関心をもっています。一方、中世の物語や神話伝承は、現代ファンタジー文学(『ホビット』や『指輪物語』など)の発展と密接に関係し、現代の大衆文化の一端を形成しています。イギリス文学・文化のルーツを学び通時的な知見を得ることによって、今日の英語文化をより深く理解することができるでしょう。
COLUMN
世界中のファンタジー文化に影響を与えた英語と英語圏文化のルーツを探る
英語圏文化専攻
岡本 広毅
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海上で他国の船を襲って積み荷を奪う、こう聞くとそれは海賊なのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし16~19世紀のイギリスを含む多くのヨーロッパの国々では、海軍や民間の船が政府の認可を得て戦争中に敵国の船を合法的に略奪することが許されていました。また16世紀のエリザベス女王期の略奪の成功体験を基に、海軍を活用すれば直接的間接的に富が得られるという議論も、当時の英国議会やメディアで盛んに見られました。私の研究では、近世にみられたこのような広義の海軍力行使と利益獲得(の期待)の結びつきがイギリスの政治・外交政策にどのような影響を与えたのか、またそのような略奪を統制する国際ルールは、諸国家や経済的利害集団の間のいかなる関係の中から生まれたのか、ということを探っています。
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