谷口 忠大 先生(情報理工学部)
『基礎情報学』
西垣通著 (NTT出版 2004年)
情報理工学を学んだものでも「情報」とはなにか?落ち着いて考えたことがあるだろうか?シャノン・ウィバー以降数理的に捉えられ始めた情報理論では本来そこに含まれるべき、解釈者としての人間にとっての意味を捨象したものとなってしまった。この誤解をとき、新たな情報についての理解を得るために、情報とは何かをシステム論の文脈から読み解く名著。
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『生物から見た世界』
ユクスキュル, クリサート著(岩波文庫 2005年 他)
世界は客観的実在ではない。私たち人間は、私たちの五感、身体性に基づいて構成された主観的世界に生きているに過ぎない。ロボット研究を行う上でもこの視点は重要だ。我々にとっての世界とロボットにとっての世界は違うのだ。「生物から見た世界」は生物記号論をユクスキュルが著わした名著。生き物の視点からの世界、環世界を読み解く。あなたはヤドカリにとって、世界はどのようであるかをまじめに考えた事がありますか?
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『コミュニケーションするロボットは創れるか : 記号創発システムへの構成論的アプローチ = Constructive approach towards symbol emergence system』
谷口忠大著(NTT出版 2010年)
「コミュニケーションするロボットは創れるか」という問いは、狙いの定まらない問いだ。なぜなら、何が出来れば「ロボットが僕らのしているのと同じコミュニケーションが出来た」と言えるのかがわからないのだ。つまり、コミュニケーションという言葉自体の意味が定まらない。ロボットの知能を構成していく中で、人間知能に迫る構成論的アプローチにのっとり、発達心理学、システム論、生態学的認識論、記号論などの学際的な文脈からコミュニケーションする知能を問う。挑戦的な一冊。
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『脳・身体性・ロボット : 知能の創発をめざして 』(インテリジェンス・ダイナミクス ; 1)
土井利忠, 藤田雅博, 下村秀樹編(シュプリンガー・フェアラーク東京 2005年)
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『身体を持つ知能 : 脳科学とロボティクスの共進化 』(インテリジェンス・ダイナミクス ; 2)
土井利忠, 藤田雅博, 下村秀樹編(シュプリンガー・フェアラーク東京 2006年)
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『発達する知能 : 知能を形作る相互作用』(インテリジェンス・ダイナミクス ;3)
藤田雅博, 下村秀樹編 (シュプリンガー・フェアラーク東京 2008年)
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2004年4月9日(金)ソニー本社のシンポジウム会場は知的興奮に揺れていた。まさに、日本の知能研究を引っ張る研究者達が集まった。インテリジェンス・ダイナミクス・シンポジウムは2004年~2006年の三度開かれたソニー主催のシンポジウムである。2006年のAIBO生産停止まで、業界を引っ張ったソニーが開催した三度きりのシンポジウム。その全記録がこのシリーズにまとめられている。シンポジウムの記録ゆえ誤植も多いが、2000年代前半の知能研究の先端を味わう上で、稀に見る三冊。
『知の創成 : 身体性認知科学への招待』
R. Pfeifer, C. Scheier著(共立出版 2001年)
あなたは知能とは何だと思いますか?それは数学の問題が解けることでしょうか?日本語の単語が言われたら英語の単語を出力できることでしょうか?しかし、論理と知識で構築された頭でっかちな人工知能は実世界では機敏に動くこと難しいと言うことが徐々に明らかになってきました。身体の重要さを説き、ボトムアップな知能の構成、形態による計算、生態学的な知能の重要性を説く身体性認知科学の挑戦。あなたにとって「知能とは何か?」についての考え方が変わるかもしれません。
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『ピアジェ心理学入門 ; 上』
フラベル著(明治図書 1974年 他)
ジャン・ピアジェは発達心理学の父と呼ばれる。たとえば教科書的には発達段階説が有名である。しかしながら、ピアジェの本質はそれ以上に、認識論を発生的視点からとらえた、発生的認識論の哲学にあるといえよう。本人の書の訳本は難解であることが多いので敬遠されがちだが、フラベルの本書は読みやすい。そこから伝わってくるのはピアジェが、知能を、環境との相互作用を通じた自己組織化の産物としてボトムアップに捉えていた先進的な描像である。古典ではあるが、未だ新しいピアジェの思想に少し触れてみよう。
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『マッチ箱の脳 (AI) : 使える人工知能のお話』
森川幸人著(新紀元社 2000年)
「人工知能、しかも、学習する人工知能を作るなんて、手の届かない話だとおもっていませんかっつ?・・・・・とんでもないっ!PCが誰の手にでも届くようになった現在、だれでも簡単に知的なプログラムは作れます。本章はそんな人工知能の入門者を引っ張ってくれる、現在最もポップな入門書です。いや、あくまで僕の感覚ですが。読んでみて、「へー」って思いましょう(笑)。お気楽に開いてみよう。
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『こころの情報学』
西垣通著 (ちくま新書 1999年)
こころって何だろう?僕たちのこころにとって情報ってなんだろう?西垣通は哲学的、現代思想的な内容を分かりやすく説き上げる希有な思想家だ。腰を据えて読みたい人には「基礎情報学」(NTT出版)をお薦めするが、新書で「情報とは何か?」の問いにまず触れたい人にお勧めする一冊。こころや知能、情報、社会に関わる問題意識を共有したい。
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『フリーソフトでつくる音声認識システム : パターン認識・機械学習の初歩から対話システムまで』
荒木雅弘著(森北出版 2007年)
音声認識はディープな機械学習の世界である。実際そこで積み重ねられた機械学習技術は、現在、ロボットの制御や多くの他の認識技術へと応用されている。なかなか、門外漢が学ぼうとしても敷居が高いものであったが、その壁を打ち破ったのが本書と言えるだろう。フリーで公開されている音声認識システムJuliusを題材にしながら、パターン認識の初歩から、僕らを音声認識の理論まで引っ張っていってくれる。もう、市販の音声認識ソフトに頼らず、自前の音声認識ソフトでいろいろ遊ぶ季節ですよ。
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『私はこうして受付からCEOになった』
カーリー・フィオリーナ著(ダイヤモンド社 2007年)
世界最大級のIT企業、ヒューレットパッカード社(HP)。このCEOを1999年~2005年まで勤め上げたのが彼女、カーリー・フィオリーナ。アメリカとは言え、やはり職場の多くは男性。その中で、挑戦と成功、挫折を繰り返した彼女の奮闘を見る。さすがに、本人が書いているだけあって、その含蓄は大きい。しかも、自画自賛のサクセスストーリーではなく、彼女は最終的にはHPのCEOを解任されるわけで・・・。懐古的な面と、リアリスティックな面が混在する中で、未来志向の彼女の姿勢は、僕たちの背筋を伸ばしてくれる。おれもカーリー・フィオリーナに負けないぞっ!
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『ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』
ドン・タプスコット, アンソニー・D・ウィリアムズ著(日経BP社 2007年)
情報技術革新の衝撃は様々にあるが、社会・経済に与える衝撃の核心は、距離をまたいだ取引コストの劇的な減少による経済構造の変容だ。それは、知識や発明を主な生産物とする知的労働者の雇用市場に衝撃的な変容を与える。それは、空間を飛び越えた協業を可能にするマスコラボレーションの衝撃である。この本の示唆することの未来に何を読み取るかで、あなたの将来が決まると言っても過言ではない。徐々に社会構造は変化している。歴史と技術を読み解いてその準備をしよう。
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