書評

朝鮮人特攻隊員の表象:歴史と記憶のはざまで

権学俊 著

立命館大学産業社会学部教授

法政大学出版局 2022年

日韓両者ともに自国史中心主義から脱皮することによって、省察的な東アジア歴史像を構築していくことが提起される。

フィールドワークの現代思想:パンデミック以後のフィールドワーカーのために

遠藤英樹 編

立命館大学文学部教授

ナカニシヤ出版 2022年

われわれは早急かつラディカルに「そもそもフィールドワークとはいかなる行為なのか?」を再定義する必要に迫られている。

コロナに挑む内陸国:モンゴルの5人の証言と国境討論

玉井良尚 編

立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構助

宮脇昇 編

立命館大学政策科学部教授 編

ナンジン ドルジスレン・玉井雅隆 共編

志學社 2021年

ロックダウンが実施されている最中のモンゴル国民への偽りのないインタビューは、後世において貴重な資料となり得る。

〈伝統医学〉が創られるとき:ベトナム医療政策史

小田なら 著

東京外国語大学世界言語社会教育センター講師/立命館大学アジア・日本研究所客員研究員

京都大学学術出版会 2022年

ベトナム医療史研究にとって伝統医療の歴史的存在理由を問うことは重要な課題であり、本書は、そうした研究課題を正面から取り上げ考察した貴重な研究であるといえる。

現代イスラーム世界の食事規定とハラール産業の国際化:マレーシアの発展と牽引力

桐原翠 著

日本学術振興会特別研究員PD/立命館大学立命館アジア・日本研究機構専門研究員

ナカニシヤ出版 2022年

ハラール産業を地域研究、ムスリムの生存基盤研究と併せて、イスラーム経済論の枠組みの中で構築することに成功した研究書である。(中略)多くの研究者に知的刺激を与えるものと確信している。

イスラーム経済の原像:ムハンマド時代の法規定形成から現代の革新まで

ハシャン・アンマール 著

立命館大学立命館アジア・日本研究機構准教授

ナカニシヤ出版 2022年

本書の最も重要な貢献は、歴史と現代を架橋する視座からイスラーム経済の理念と実践を考察した点である。

二つのアジアを生きる:現代カザフスタンにおける民族問題と高麗人(コリョ・サラム)ディアスポラの文化変容

李眞惠 著

立命館大学衣笠総合研究機構助教

ナカニシヤ出版 2022年

本書は多民族国家における少数民族社会研究に新しい視座を加えるものとして、高く評価されるだろう。

シリア・レバノン・イラク・イラン

末近浩太 編著

立命館大学国際関係学部教授

中村覚 監修

ミネルヴァ書房 2021年

将来、本書は多くの中東研究者に参照・引用されるとともに、シリア、レバノン、イラク、イランに関わりのある多くの人に愛用される文献になると考えられる。

「私らしさ」の民族誌:現代エジプトの女性、格差、欲望

鳥山純子 著

立命館大学国際関係学部准教授

春風社 2022年

中東イスラームの女性を扱う議論にありがちな「女性への抑圧」とはかけ離れた、目から鱗な女性たちの姿が生々しく描写されている。