共感の農村ツーリズム:人の流動・経済循環を創りたい
晃洋書房 2023 年
多種多彩な執筆陣がそれぞれの立場から農村を読み解き、農村を捉える視点を多角的に提示し、都市農村の交流の様々な形やその位置づけを提案した一読の価値ある書である。
ガストロノミーツーリズム:食文化と観光地域づくり
学芸出版社 2023 年
UNWTOによる定義「旅行中の食品および関連製品や活動に関連する訪問者の体験を特徴とする一種の観光活動を引用し、極めてシンプルな定義であるからこそ、「ガストロノミー」に含蓄される壮大な概念を示唆する。
共振するデジタル人文学とデジタルアーカイブ
勉誠社 2023 年
どの論考においても、分野を推進することの重要性と、デジタル技術やそれを持つ人材と協力・交流することで生まれる新たな可能性の認識について示されている。
コーパスによる日本語史研究:中古・中世編
ひつじ書房 2022 年
今後は、国語研の外部の研究者が日本語史資料をコーパス化し、CHJを拡張していくことが期待される。その際、『コーパスによる日本語史研究』に収録された〈解説〉が大きな役割を果たすことは間違いない。
夢を追いかけて:音楽を学んだ明治女性・岩原愛の生涯
文芸社 2023 年
音楽家・岩原愛の生涯をとりあげた本書は、まずは「岩原愛をとりあげた」ということだけで、それはもうたいへんな快挙なのである。
明治維新と〈公議〉:
議会・多数決・一致
吉川弘文館 2023 年
本書の何よりの特徴は、「多数決」を自明視せず、その定着の過程を〈近代的合意秩序〉の 形成と捉えたうえで、地方議事機関の実態を検討したところにある。
墓の建立と継承:「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学
晃洋書房 2023 年
「なぜ墓を建てるのか」「なぜ人は適切に葬られなければならないのか」という根源的な問いに応答しつつ、少子高齢化が進む日本以外の東アジア地域においても有効な視点を持ち合わせている
戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会―売買春・恋愛の近現代史
有志舎 2022 年
カフェー台頭へと続く売買春史を提示した著者が、他の売買春営業との同時代的な横の広がりをいかに分析するのか、今後の研究に期待したい。
入会林野と所有者不明土地問題
岩波書店 2023 年
全国に広がる空き地、空き家、空き室問題のなかでも、深刻な空き地の背後にある所有者不明問題と入会林野が交叉した課題を扱っている。
談合と民主主義:公共空間におけるディール
志學社 2022 年
今日ではどうしてもマイナスのイメージがつきまとう「談合」や「ディール(取引)」 に肯定的な意義を見出し、プラスのイメージに転化させようとするのだ。
災厄を生きる:物語と土地の力
東日本大震災からコロナ禍まで
国書刊行会 2022 年
本書を読むことで、私たちは報道では知ることのない「小さな物語」をたくさん知り、災厄を生き抜くための知恵を得ることができる。
在韓米軍と韓国地域社会―米軍の基地運営と民軍関係政策―
広島:渓水社 2023 年
米軍基地という共通の歴史と現実を抱える日韓の人々が共に悩み、今後の方向を模索しながら、平和に対する共感の輪を広げることを願う人々に一読を薦めたい一冊である。
観光と「性」: 迎合と抵抗の沖縄戦後史
創元社 2023 年
膨大な沖縄観光言説と複雑な背景要因の網の目を、ときにダイナミックに、ときに繊細に解きほぐすことで、観光の視点から鮮やかに沖縄戦後史を明らかにした
フェミニズム・ジェンダー研究の挑戦:オルタナティブな社会の構想
松香堂書店 2022 年
牟田和恵氏個人のバイオグラフィーと 40年間にわたる日本のフェミニズム・ジェンダー研究史が見事に連動していることを示している。
穀物・油糧種子バリューチェーンの構造と日本の食料安全保障ー2020年代の様相ー
農林統計出版 2023 年
本書は、穀物・油糧種子をめぐる世界的な動向や、安定的な供給確保の課題を考えるうえで不可欠な書と言える。
観光が世界をつくる:メディア・身体・リアリティの観光社会学
明石書店 2023 年
複数の概念が相互に関わり合っている様も含めて各章は書かれており、それらの関係性の総体を眺めようとすることが、すなわち「現代観光学」を理解することになる
メディアテクノロジーシリーズ3 可視化と科学・文化・社会
コロナ社 2023 年
本書で紹介される可視化は、あらゆる学術分野のビジュアル分析、そして、ビッグデータ時代の文理融合研究の進め方に関して、多くの示唆を与えてくれる
日本で学ぶ理工系留学生
ココ出版 2023 年
本書は、留学生を受け入れる複数の教員の視点、実際に日本の理工系への留学経験がある留学生の視点で書かれおり、多様な視点から留学生に対する教育や留学生活の現実、経験に触れることができる。
東アジアの家族企業と事業承継:その共通性と多様性
文眞堂 2023 年
本書はたんなるケーススタディにとどまらず、東アジアにおける家族企業の事業承継を独自のアプローチから検討し、そして内部構造および社会構造にかんするリサーチ・クエスチョンを導出している点も高く評価したい。
K−POP現代史 ─韓国大衆音楽の誕生からBTSまで
ちくま新書 2022 年
K-POP成功の秘訣を語る主流メディアによる、あまりにも短絡的で非専門的な分析がむしろ定説となっているような日本社会の風潮に一石を投じる試みとしても評価できる。
『華語文学の新しい風』サイノフォン1
白水社 2022 年
長きにわたって揺れ動き、移動し、変容してきた華人の文化を、中「華」とそ の周縁の異文化である「夷」との間をまたがって、あらたな絵を描いてみようという試みにほかならない。