書評

良い死/唯の生

立岩真也 著

元立命館大学大学院先端総合学術研究科教授

ちくま学芸文庫 2022 年

立岩さんは問いに応ずるために必要なことを知ろうとし、問いを考え抜こうとしていた。そのことが、この『良い死 /唯の生』を読むとよく分かる。

共感の農村ツーリズム:人の流動・経済循環を創りたい

河村律子 編

立命館大学国際関係学部教授

中村均司 編

中村貴子 編

高田晋史 編

晃洋書房 2023 年

多種多彩な執筆陣がそれぞれの立場から農村を読み解き、農村を捉える視点を多角的に提示し、都市農村の交流の様々な形やその位置づけを提案した一読の価値ある書である。

食の資料探しハンドブック

荒木一視 著

立命館大学食マネジメント学部教授

鎌谷かおる 著

立命館大学食マネジメント学部教授

木村裕樹 著

立命館大学食マネジメント学部准教授

昭和堂 2022 年

本書の構成や仕掛けが、読者として想定される(最近の)大学(1、2年)生の行動様式をよく理解しながら、作られていることに感心する。

ガストロノミーツーリズム:食文化と観光地域づくり

高田剛司 著

立命館大学食マネジメント学部教授

尾家建生 著

杉山尚美 著

学芸出版社 2023 年

UNWTOによる定義「旅行中の食品および関連製品や活動に関連する訪問者の体験を特徴とする一種の観光活動を引用し、極めてシンプルな定義であるからこそ、「ガストロノミー」に含蓄される壮大な概念を示唆する。

おいしい京都学:料理屋文化の歴史地理―

加藤政洋 著

立命館大学文学部教授

河角直美 著

立命館大学文学部教授

ミネルヴァ書房 2022 年

「京風化」の原動力となったのが、このまちが潜在的に持ち続けてきた「創造性」とする。

京都を学ぶ【宇治編】:文化資源を発掘する

京都学研究会 編

京都学研究会(立命館大学教員:川口成人 衣笠総合研究機構専門研究員)

ナカニシヤ出版 2023

読者諸氏はぜひ本書を一度手に取り、文化資源「発掘」に参加していただきたい。


共振するデジタル人文学とデジタルアーカイブ

赤間亮 ほか著

立命館大学文学部教授

鈴木親彦 編

勉誠社 2023 年

どの論考においても、分野を推進することの重要性と、デジタル技術やそれを持つ人材と協力・交流することで生まれる新たな可能性の認識について示されている。

コーパスによる日本語史研究:中古・中世編

岡﨑友子 編

立命館大学文学部教授

青木博史 編

小木曽智信 編

ひつじ書房 2022 年

今後は、国語研の外部の研究者が日本語史資料をコーパス化し、CHJを拡張していくことが期待される。その際、『コーパスによる日本語史研究』に収録された〈解説〉が大きな役割を果たすことは間違いない。

夢を追いかけて:音楽を学んだ明治女性・岩原愛の生涯

丸山彩 著

日本学術振興会特別研究員 RPD、立命館大学文学部授業担当講師

文芸社 2023 年

音楽家・岩原愛の生涯をとりあげた本書は、まずは「岩原愛をとりあげた」ということだけで、それはもうたいへんな快挙なのである。

明治維新と〈公議〉:
議会・多数決・一致

伊故海貴則 著

北海学園大学法学部講師(刊行時は立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)

吉川弘文館 2023 年

本書の何よりの特徴は、「多数決」を自明視せず、その定着の過程を〈近代的合意秩序〉の 形成と捉えたうえで、地方議事機関の実態を検討したところにある。

墓の建立と継承:「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学

辻井敦大 著

甲南大学文学部講師(刊行時は立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)

晃洋書房 2023 年

「なぜ墓を建てるのか」「なぜ人は適切に葬られなければならないのか」という根源的な問いに応答しつつ、少子高齢化が進む日本以外の東アジア地域においても有効な視点を持ち合わせている

戦前日本の私娼・性風俗産業と大衆社会―売買春・恋愛の近現代史

寺澤優 著

立命館大学文学部授業担当講師・日本学術振興会特別研究員(RPD)

有志舎 2022 年

カフェー台頭へと続く売買春史を提示した著者が、他の売買春営業との同時代的な横の広がりをいかに分析するのか、今後の研究に期待したい。

入会林野と所有者不明土地問題

高村学人 編著

立命館大学政策科学部教授

古積健三郎 編著

山下詠子 編著

岩波書店 2023 年

全国に広がる空き地、空き家、空き室問題のなかでも、深刻な空き地の背後にある所有者不明問題と入会林野が交叉した課題を扱っている。

談合と民主主義:公共空間におけるディール

後藤玲子 編

玉井良尚 編

立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構助教

宮脇昇 編

立命館大学政策科学部教授

志學社 2022 年

今日ではどうしてもマイナスのイメージがつきまとう「談合」や「ディール(取引)」 に肯定的な意義を見出し、プラスのイメージに転化させようとするのだ。

日本近世史を見通す1
列島の平和と統合:近世前期

牧原成征 編

村和明 編

谷徹也 ほか著

立命館大学文学部准教授

吉川弘文館 2023 年

グローバル化が進む現代社会に応じた近世史研究を見事に打ち出している


災厄を生きる:物語と土地の力
東日本大震災からコロナ禍まで

村本邦子 編

立命館大学大学院人間科学研究科教授

鵜野祐介 ほか著

立命館大学文学部教授

国書刊行会 2022 年

本書を読むことで、私たちは報道では知ることのない「小さな物語」をたくさん知り、災厄を生き抜くための知恵を得ることができる。

ポスト島ぐるみの沖縄戦後史

古波藏契 著

有志舎 2023 年

島ぐるみ闘争と復帰運動の連続性を強調する通説的理解とは大いに異なっており、ここに本書のもつインパクトがある。

在韓米軍と韓国地域社会―米軍の基地運営と民軍関係政策―

琴普云 著

成田千尋 監訳

立命館大学衣笠総合研究機構助教

広島:渓水社 2023 年

米軍基地という共通の歴史と現実を抱える日韓の人々が共に悩み、今後の方向を模索しながら、平和に対する共感の輪を広げることを願う人々に一読を薦めたい一冊である。

観光と「性」: 迎合と抵抗の沖縄戦後史

小川実紗 著

立命館大学産業社会学部授業担当講師

創元社 2023 年

膨大な沖縄観光言説と複雑な背景要因の網の目を、ときにダイナミックに、ときに繊細に解きほぐすことで、観光の視点から鮮やかに沖縄戦後史を明らかにした

フェミニズム・ジェンダー研究の挑戦:オルタナティブな社会の構想

牟田和恵 編

キム・ヴィクトリヤ ほか著

立命館大学国際関係学部准教授

松香堂書店 2022 年

牟田和恵氏個人のバイオグラフィーと 40年間にわたる日本のフェミニズム・ジェンダー研究史が見事に連動していることを示している。

被害と加害のフェミニズム

クォンキム・ヒョンヨン 編

影本剛 監訳

立命館大学授業担当講師

ハン・ディディ 監訳

金友子 ほか訳

立命館大学国際関係学部准教授

解放出版社 2023 年

本書は何より、「被害者中心主義」を超えて向かうべき道筋を非常に明確に示してくれる書籍である。

穀物・油糧種子バリューチェーンの構造と日本の食料安全保障ー2020年代の様相ー

林瑞穂 編

野口敬夫 編

八木浩平 編

堀田和彦 編

松原豊彦 ほか著

立命館大学食マネジメント学部教授

農林統計出版 2023 年

本書は、穀物・油糧種子をめぐる世界的な動向や、安定的な供給確保の課題を考えるうえで不可欠な書と言える。

観光が世界をつくる:メディア・身体・リアリティの観光社会学

須藤廣 編

遠藤英樹 編

立命館大学文学部教授

山口誠 編

松本健太郎 編

神田孝治 編

立命館大学文学部教授

高岡文章 編

明石書店 2023 年

複数の概念が相互に関わり合っている様も含めて各章は書かれており、それらの関係性の総体を眺めようとすることが、すなわち「現代観光学」を理解することになる

メディアテクノロジーシリーズ3 可視化と科学・文化・社会

竹島由里子 編

伊藤貴之 著

宮地英生 著

田中覚 著

立命館大学情報理工学部教授

コロナ社 2023 年

本書で紹介される可視化は、あらゆる学術分野のビジュアル分析、そして、ビッグデータ時代の文理融合研究の進め方に関して、多くの示唆を与えてくれる

日本で学ぶ理工系留学生

太田亨 編

安龍洙 編

村岡貴子 編

門倉正美 編

惣田訓 ほか著

立命館大学理工学部教授

ココ出版 2023 年

本書は、留学生を受け入れる複数の教員の視点、実際に日本の理工系への留学経験がある留学生の視点で書かれおり、多様な視点から留学生に対する教育や留学生活の現実、経験に触れることができる。

東アジアの家族企業と事業承継:その共通性と多様性

竇少杰 著

立命館大学経営学部講師

河口充勇 著

洪性奉 著

文眞堂 2023 年

本書はたんなるケーススタディにとどまらず、東アジアにおける家族企業の事業承継を独自のアプローチから検討し、そして内部構造および社会構造にかんするリサーチ・クエスチョンを導出している点も高く評価したい。

K−POP現代史 ─韓国大衆音楽の誕生からBTSまで

山本浄邦 著

立命館大学文学部授業担当講師

ちくま新書 2022 年

K-POP成功の秘訣を語る主流メディアによる、あまりにも短絡的で非専門的な分析がむしろ定説となっているような日本社会の風潮に一石を投じる試みとしても評価できる。

医学と儒学:近世東アジアの医の交流

向静静 著

立命館大学立命館アジア・日本研究機構准教授

人文書院 2023 年

漢・蘭「折衷」の様態こそ近世医学の本質たることを本書の検討からは十分に理解できる。

『華語文学の新しい風』サイノフォン1

王徳威 ほか編

三須祐介 ほか訳

立命館大学文学部教授

白水社 2022 年

長きにわたって揺れ動き、移動し、変容してきた華人の文化を、中「華」とそ の周縁の異文化である「夷」との間をまたがって、あらたな絵を描いてみようという試みにほかならない。

中國・日本の詩と詞:『燕喜詞』研究と日本人の詩詞受容

靳春雨 著

志學館大学人間関係学部人間文化学科講師(刊行時は立命館大学立命館アジア・日本研究機構専門研究員)

朋友書店 2023 年

当時の詞人と詞壇の全体像をとらえようとする研究が盛んに行われているが、本書はこうした研究の中でも最上位に位置づけられるものであると評価できるだろう。