家内労働と在宅ワークの戦後日本経済─授産内職から在宅就業支援へ
ミネルヴァ書房 2018年
請負契約などによる自営的就業の構造や利用者像の多様な就労支援サービスの模索といったことに関心のある読者には、ヒントになる叙述が多々あろう。
都道府県出先機関の実証研究:自治体間連携と都道府県機能の分析
法律文化社 2018年
本書は、重層的な自治制度のもとでの重層的な自治体間連携において主要なアクターの一つと考えられる都道府県出先機関に焦点を当てて、その機能や新たな可能性について実証的に分析している。
政治において正しいとはどういうことか:ポスト基礎付け主義と規範の行方
勁草書房 2019年
読者は、基礎付け主義を放棄した後に、倫理と政治の関係がいかにありうるかについての「実例」を本書に見出すだろう。
病者障害者の戦後:生政治史点描
青土社 2018年
ここで示されるのは「点描」なのであるが、各点はそれぞれ見逃すことができないーと著者が考えたであろうー事項が描かれている。
外地巡礼:「越境的」日本語文学論
みすず書房 2018年
俯瞰と凝視をリズミカルに繰り返しながら、未発の研究可能性が徐々に立ち上がってくるような文章を読んでいると、新しい知の経験をしているような感覚になる。
いかにしてアーサー王は日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか:変容する中世騎士道物語
みずき書林 2019年
本書の出版によって、学術界と娯楽界の一層の協働が促進されれば、こうした新しい試みの一冊を世に問うた目的が達成されるというものである。
人と文学にひたる喜び:『范成大詩選』
幻冬舎メディアコンサルティング 2018年
実直で優しい范成大の人柄と文学にどっぷりとひたる喜びを存分に味わわせてくれる好著である。
チョンキンマンションのボスは知っている─アングラ経済の人類学
春秋社 2019年
資本主義経済に贈与や分配の仕組みを導入しようとする現代的な試みが、どのような可能性と問題をはらむのかという普遍的な問いに取り組んだものである。
セキュリティ・ガヴァナンス論の脱西欧化と再構築
ミネルヴァ書房 2018年
西欧・非西欧を問わず、各国が安定的で、持続可能な秩序をいかに形成・維持するのかを検討する際に、極めて有益な視座を提供する。
食のハラール入門:今日からできるムスリム対応
講談社 2018年
イスラーム市場への参入を目指す事業者はもちろん、身近な隣人に気づき、その人たちをもっと知りたいと思っている数多くの一般の潜在的読者にもぜひ手にとってほしい。
ムハンマドのことば:ハディース
岩波文庫 2019年
長年イスラーム研究を続けてきた編者渾身の訳業であり、ムスリムの信仰と価値観、着想の根幹を文庫で知ることができることは、日本人読者にとっては大きな財産である。