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すべての論考において、まさに今この瞬間の生活を精一杯生きている一人ひとりのこれまでの人生が、とても丁寧に描写されている。

周囲の人や物事に対する加藤の「関心や愛」はとてもこまやかで、文章の深さや味わいと一体となっていると言えよう。

本書はきわめて幅広いテーマと事例大学をカバーし、IRと学習・教育改革を巡る世界と日本の動向を知ることのできる類例のない好著である。

公共施設の建て替えに伴う面積の削減を小規模校の廃止によって実現しようとする政策が、教育学的な根拠をもつ合理的なものと言えるのか、また住民の意思を尊重しているのかが争点となっている。

ライフヒストリーを記述していく中で、現在の日本の精神障害者福祉の現場と精神障害者が直面している問題をストレートな形で描き出している。

サトウ氏の文章は何と言っても読みやすい。まるで氏がそこで語る姿が見えるように、文字を追う端から声が聞こえてくるようだ。

「中学生の質問箱」シリーズとして出版された本書は、わかりやすく、かつ丁寧に「ハーフ」当事者を取り巻く歴史や現状を描き出す、非常に重要な一冊となっている。

歴史が歴史と気づかれないままに風化し、また風化が風化と認識されないままに加速してしまっている現状があると思う。本書は、そのことに目を向けさせてくれる貴重な仕事である。

法科学的証拠が人間の手によっていかに作られているかについて詳らかに紐解く本書は、その過程に多くの人間の誤りが含まれうることを示している。

原発会計という前人未踏の領域に真正面から斬り込み、その制度の全容を明らかにした点に、著者の学術的貢献の新規性がある。

SDGs達成について重要な「食」と「環境」に関する基礎知識〔と（中略）〕、新型コロナ感染症の蔓延によってどのような影響があったのか、さらには今後グリーンリカバリーに向けた多くのヒントが盛り込まれている。

膨大なサステイナビリティ学に関する情報をオントロジーにより整理分析するとともに、AI により最適な政策分析を行い、「死なないための政策科学」を目指す

水環境に関して過去に何が起こり、今後、どのような社会システムが必要であるか記された書籍であり、良書と言える。

日本における外食・中食研究やレビットやドラッカーの理論的成果に依拠しながら、経営史的な領域を含む多元的で重層 的な事例研究となっている。

日系小売企業の多くが標的とする東南アジアと中国においてユニークな存在として注目を集めている企業をとりあげている

本書は日本外交の記録として貴重な史料であると同時に、グローバル社会で生きる若い世代の 人々に対するメッセージとして読むことが可能である。

文学言語としての〈日本語〉はもうひとつ（オルタナティヴ）の方法を開示する旅をし続ける。

「題・詞書索引」がすばらしい。この索引をながめるだけで、歌題と詞書の面白さに目がとまり、その番号の和歌を引いてみたくなる。

歴史を学ぶことが軽視される昨今、本書によって少しでも多くの人がフェイクニュースに細心の注意を払いつつ、歴史に関する理解を深めることが期待されるだろう。

質的研究×量的研究という混合研究法が採用され、カントリー・バイアスの実態に迫る議論は、（中略）推理小説を読み解くようなスペクタクルを感じさせるものであった。

国際関係理論は、今日「世界」を語れていない。その上で本書は、評者の考えるこの「停滞」を打破する可能性を秘めた、歓迎すべき一冊である。

本書は移民と食をテーマとした他に類のない独創的な書物である。

本書は新技術や新サービス、話題性に富んだ社会の矛盾、そして再燃する国際摩擦を描写したものであるがゆえに、読者に強烈な印象を与える一冊である。

米中貿易摩擦を「自由市場資本主義(アメリカン・グローバリズム)」対「国家(党)資本主義(チャイニーズ・グローバリズム)」といった異なる型の資本主義の対立というパースぺクティブの 下で論じている

中国の実情を納得的に分かるための踏み込んだヒアリングを敢行した著者の誠実さと勇気にあらためて敬意を表したいと思う。

読後には、読み手各自の関心に即した「中国文学」へと通じる道筋がいくつも浮かび上がり、読書欲をおおいに刺激される。

本書は中国の新出土文献の中から、とくに故事・教訓書に焦点をあてて考察した力作である。

戦争にまつわる様々な事物・儀礼・制度の発展・変化を通じて見る中国形成史として位置づける点こそ、本書の本質的特徴である。

100 編のうち 30 編を訳したばかりの現時点でも、本シリーズは既に本邦最大の雑劇の翻訳書となっている。

近代朝鮮儒学者たちの複雑に絡み合う緊張関係、その生き様を描き出す中に、著者自身の眼差しの在所を潜伏させている