現代社会を拓く教養知の探究
晃洋書房 2024年
「教養的」であるとは、自分の頭で考え続ける姿勢、他者との対話を通じ自身の考えを変化させつつ鍛えていく態度、こうして得られた知見を各々の現場で活かそうとする実践のなかにこそ求められる。
「ネット世論」の社会学:データ分析が解き明かす「偏り」の正体
NHK出版新書 2024年
本書を貫く問いは、ソーシャルメディア上で「多数派」のように見える意見が、 必ずしも世論調査の支持率や選挙結果と一致しないのはなぜか、ということになるだろう。
ポスト資本主義時代の地域主義:草の根の価値創造の実践
明石書店、2024年
二項対立的・弁証論的に市場・貨幣経済を非市場的・非貨幣的要素の「対抗」としている訳ではなく、それらも「うまく使う(harness)」オルタナティヴを提示している。
ケアする声のメディア:ホスピタルラジオという希望
青弓社ライブラリー 2024年
本書は、ホスピタルラジオの営みを紹介しつつ、声のメディアがどのようにケアの役割を担い、社会の周縁に生きる人々をどのように包摂することが可能なのかを問う、ケアのメディア・コミュニケーションを展望した研究書である。
〈延命〉の倫理:医療と看護における
晃洋書房 2024年
本書は、生命倫理学の中で論じられてきた安楽死、治療停止、人工妊娠中絶、終末期医療等の生死に関わる問題群を、〈延命〉という共通の視座を軸に、いわば「医療・看護の哲学」として再編成しようとする野心的な試みである。
臨床と生政治:〈医〉の社会学
青土社 2024年
本書は近年の論文を集成したものであり、近年の医療や公衆衛生のトピックに関する最も優れた仕事となっている。
「子どもの論理」に培う小学校国語教育の実践研究
風間書房 2024年
春木氏は国語教育実践にとって何よりも大切なこの点を掘り下げることのできる「実践理論」を組み立てようとした。本書においてそれが一貫していることに心打たれる。
子どものこころは大人と育つ:アタッチメント理論とメンタライジング
光文社新書、2024年
本書は、アタッチメントについての理論や育児への応用が、初学者にもわかるように、温かい文体で明快にまとめられた貴重なテキストである。
帝国日本の政党政治構造:二大政党の統合構想と〈護憲三派体制〉
吉田書店 2024年
本書全体に貫通する重要な問題意識は、帝国憲法の機制のもとでの政党政治の統治構造とその変容に焦点を当て、政党内閣の成立から崩壊までを見通せる統一的な視座を打ち立てることである。
陸軍将校たちの戦後史:「陸軍の反省」から「歴史修正主義」への変容
新曜社 2024年
本書は歴史認識をめぐる世代間対立の有様や変化をていねいに描いており、同じ士官学校卒業者であってもけっして一枚岩ではなかった点の指摘は、研究史に対する重要な貢献である。
戦争のかけらを集めて:遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践
図書出版みぎわ 2024年
本書を読みながら考えたのは、戦死者における二度目の死を、座して待つことなく、能動的に呼び寄せることである。「忘れない」のその先に進む歴史実践のかたちをともに模索していきたい。
戦後初期日産労使関係史:生産復興路線の挫折と人員体制の転換
ミネルヴァ書房 2024年
現実の労働環境の悪化の中で、労働組合に寄せる人々の目線にも変化が生じている。そうした時代状況を反映して、本書が労働の歴史研究の新たなページを開く、そんな予感がしている。
現代日本の自転車産業と社会:新たな価値創造を目指して
同友館 2023年
執筆者の多くがそれぞれの研究分野で自転車に関わる研究の実績を持ち、ビジョンを描くにあたって日本自転車産業の実態に関する根拠を有している。そのため、本書の論理展開も説得力のあるものとして評価できる。
野球のメディア論:球場の外でつくられるリアリティー
青弓社 2024年
本書の議論は、(中略)メディア研究とゲーム研究、あるいはマンガ研究を架橋するうえで、きわめて有益な知見を提供してくれる。
ラグビーの世界をデザインする:ワールドラグビーの歴史とその仕事
晃洋書房 2024年
ラグビー文化と組織の独自性を浮き彫りにしつつ、広範なスポーツ文化研究や社会学研究へと接続、拡張している
はじめて学ぶスポーツマネジメントの基礎と実践
みらい 2024年
マーケティング的解釈の新鮮さを感ずるとともに、図を用いた丁寧な説明や補完的資料も多数掲載されており、初学者向けのテキストとしてもわかりやすく、質の高い(専門書に匹敵する)内容となっている
ボードゲームで社会が変わる:遊戯するケアへ
河出書房新社 2023年
本書を読めば、「ゲームが社会を変える」という命題が決して過言ではないことを実感できる。
図説 付属屋と小屋の建築誌:もうひとつの民家の系譜
鹿島出版会 2024年
本書の根底にあるのは、一般の人々のみでなく建築の専門家ですらも長い間見過ごしてきた「当たり前の事実」への眼差しであり、自然や風土、生業との密接な関わりの中で生み出された日本民家の本質をより鮮明に捉えようとする姿勢である。
よもやま歴史風土記:琵琶湖水系三都と諸国の「問故知新」
法藏館 2024年
単に説話や史料に現れる事象の紹介にとどまらず、最近の学説や学界で議論されている論点、発掘調査の成果と史料との齟齬なども交えて展開されており、(中略)さらなる知的好奇心を刺激されるものである。
豊臣政権の統治構造
名古屋大学出版会 2025年
押さえるべき分野を細部に至るまで洗い直し、ぶれない視角で統治のあり方とその本質について総合的に論じ、ふたたび「政権論」に組み上げた偉業にはひたすら圧倒される。
戦後映画の生き残り戦略:変革期の一九七〇年代
森話社 2024年
当時の映画人たちに対しては無神経な言い方になるが、衰退していく映画界の攻防がこれほどおもしろいものであったかと驚かされた。
東京タワーとテレビ草創期の物語:映画黄金期に現れた伝説的ドラマ
ちくま新書 2023年
著者の一貫したトランスメディア史の視座のもとにありながらも、しかし今度はそれを『マンモスタワー』という作品をめぐる作品論のなかから一気に描き直そうとする野心的な試みであったといえるだろう。
風呂と愛国:「清潔な国民」はいかに生まれたか
NHK出版新書 2024年
本書は、日本人は風呂が好きな国民である、という言説が、どのように歴史的に構築されてきたのかを、歴史社会学的な手法によって解明したものである。
ラフカディオ・ハーンの耳、語る女たち:声のざわめき
洛北出版 2024年
周縁化され、「雑音」とみなされた音楽のような音の世界を、(中略)しわがれ声の語りで表現する土地の人びと、芸能者の「声」に耳を傾けるハーンとは誰か、何者か― への問いと解をめぐる豊富な仕掛けに満ちている。
「読む」からはじめる日本語会話ワークブック
アルク 2024年
本書が、学習者対象の日本語クラスでだけでなく、日本語を母語とする大学生と留学生が共に学ぶ多文化共修クラスや、地域の交流の場などで広く利用され、楽しく活発なやりとりが行われることを期待する。
AI・機械翻訳と英語学習:教育実践から見えてきた未来
朝日出版社 2024年
AIの登場によって「怠惰な」語学教師は必要とされなくなるだろう。だが、AIの登場によって、語学教師ではなく、表現を教える者の必要性はより明確になったと評者は思う。